【硬式野球】繋げ。(75)ドラフト特別企画 報徳学園高・大角健二監督インタビュー

10月22日、ドラフト会議で阪神タイガースから1位指名を受けた榊原七斗外野手(情コミ4=報徳学園)の高校時代の恩師である、報徳学園高・大角健二監督にお話を伺った。
(この取材は10月15日、27日にオンラインで行われました)
大角健二監督(報徳学園高)
――榊原七斗選手(情コミ4=報徳学園)の入学当時の印象はいかがでしたか。
「中学生の頃から見ていて、技量的には走攻守そろった、すごくバランスの取れたいい選手ということは分かっていたのですけれども。入ってきた時からあいさつとか、人に対して丁寧な姿勢とか、そういう人間性がより一層入学の時に分かってですね。そういう意味で人としてもしっかりした子だったので、順調に成長していってくれるだろうなという印象は持ちましたね」
――高校2年生の秋からエースナンバーを背負っていたということでしたが、高校時代はどのような選手でしたか。
「投手としてはエースナンバーを背負うくらいですから、本当に信用があってですね。ボールのスピードも140キロを超えていましたし、コントロールもいいですし、試合をつくれる頼りになるエースでしたね。そして打ってもホームランを打ちますし。でも、一番僕が驚いたのは守備力だったんです。エースナンバーではありながらセンターを守った時の守備範囲の広さ、送球の強さ。彼の外野の守備というのは、後にも先にも右に出る者はいないというか。私も報徳ではコーチと監督になって二十数年見ていますけど、外野の守備は今までで一番じゃないかなと思いますね」
――守備力が光る要因はどこにありますか。
「足は速いんですけれども。その足の速さ以上にスタートが誰よりも速くてですね。だから、足の速さ以上に速く見える守備ですね。例えば50メートルが6秒フラットだったとしたら、それ以上のものをプレーの中では感じさせてくれるんですね。バッターが打った瞬間にはもう動いている状態ですので、もうなんなら打つ直前にはもう体重移動が始まっているというような。打球に対する勘というのは素晴らしいものだなと思っていました」
――それはやはり入学当時から備わっていたものなのか、高校3年間でレベルアップしたものなのか。どちらになりますでしょうか。
「経験を積んで磨きはかかったと思うんですけども。もともとそういう素質はありましたね」
――榊原選手との会話など一番記憶に残っているエピソードはありますか。
「彼は本当に強く叱ることもなかったです。ただ、コロナに左右された名残があった代ですので。そういう意味では本当に苦労もいっぱいありましたね。秋の県大会も彼はエースナンバーで、なんとか秋の県大会も出られたんですけど。大会直前まで練習できなかったりとかコロナの感染者が何人もいたりしたので、しんどい状態の中でも、しっかり一つにチームがまとまってしっかりやってくれた代でした。あの代は榊原はもちろんなんですけれども、本当にチームが一丸となって、チームのためにみんなが自己犠牲を惜しまずやってくれた代なので。そういう学年の中で榊原も成長ができたんじゃないかなと思うんです。彼には『ここまで欲しかった』とか『エースとして中心選手として最後甲子園に連れて行ってほしい』というようなことは言っていましたね」
――榊原選手の性格を一言で表すと、どのような選手だと考えていらっしゃいますか。
「報徳は二宮尊徳の教えなんですけど。二宮みたいな人間です。人のために尽くせるし、絶対に自分に能力があるんだけれどもおごらない。人のために動くし、人に優しい性格ですね」
――明大へ進学する際、何か進路に関するアドバイスはされましたか。
「はい。本人がまずピッチャーとしても、野手としても頑張りたいと言って、六大学でやりたいということを言いましたので、(当時)DH(指名打者制)がない六大学へ。そんな中で、明治大学の当時の田中(武宏)前監督に来ていただいてお声掛けをいただきました。伝統も実績も大学野球界をけん引する立派な大学なので『ぜひお世話になったらどうだ』という話はしましたね。田中前監督が、明治大学からドラフト2位でヤクルトに行かれた『丸山(和郁選手・令4商卒=現東京ヤクルトスワローズ)選手2世にする』ということを言われたのは記憶していますね。そして、明治へ行ってからなんですけど、今度は今の戸塚(俊美)監督にごあいさつさせてもらった時は、『丸山を超える存在にさせます』ということを言っていただいて。本当に大事にしていただきましたし、いい環境で、彼が成長できる環境でやらせてもらったなと思いますね」
――榊原選手の大学でのプレーはいかがですか。
「バッターとしては高校時代から比べたら、3ランク4ランクレベルアップしているなという感じで。高校時代はまだ波があったんですけども、本当に対応力といいますか。逆方向にもしっかり強い打球が打てたりだとか、タイミングもしっかり取れるようになったりだとか。高校の時はまだピッチャーとしての評価の方があったと思うんですね。もともといいものはいいんですけど、それが打者としてここまで成長してくれるとはという感じですね」
――大学日本代表としての活躍はいかがでしたか。
「日の丸を背負って、ジャパンに選ばれて、そしてレギュラーで出させてもらっているというのは同じプロに行くにしても大舞台を踏んでいるのと踏んでいないのとではまた訳が違うので。たくましくなって、いい経験させてもらっているなと。その中で、またひるまずに結果に結びつけているところがすごいなと思って。優しい子なんでね。大舞台でどこまでやれるのかなというのは少しだけ不安なところではありましたけれど。全然心配をよそにしっかりやってくれましたね」
――今でも連絡を取られる機会はありますか。
「連絡を取るどころか、彼の方からリーグ戦前とリーグ戦後は毎回、春も秋も必ず連絡があり。こちらに戻ってきた時は必ずあいさつに来てくれて。前も世界大会から帰ってきた後は、帰国後に連絡もくれましたし、節目には必ず連絡をくれる子ですよ。本当に律儀ないい子ですよね」
――改めて榊原選手のプレーとしての魅力はどのようなところにあると思いますか。
「走攻守でハイレベルな力を身につけてくれていますんで、子供たちが見てかっこいいなとか、こういう選手になりたいなと思えるようなプレーができる子になってくれたんじゃないかなと思います。それをプロの世界でも今と変わらず存分に発揮して、子供たちに夢を与えられるような選手になってほしいですよね」
――最後に榊原選手にどのような言葉を贈りたいですか。
「これがゴールではなくて、スタートラインなので、目標高く。プロになっても、今までと変わらない姿勢で、野球にも人にも向き合える立派な野球人になってほしいです。そして子供たちに夢を与えてほしいというふうに思います」
――榊原選手に阪神タイガースからのドラフト1位指名を受けてお祝いのメッセージをお願いします。
「阪神タイガースドラフト1位おめでとう。高校時代は最高に熱く力のあった代だったけれど、甲子園に出させてやれず苦労をかけてしまいました。しかし、榊原のドラフト1位指名で皆に勇気と希望、そして歓喜の瞬間を与えてくれて感謝しています。以徳報徳の精神で感謝の心をエネルギーに換えて、プロの世界での活躍を祈っています」
――ありがとうございました。
(写真はご両親提供)
※本インタビューを含めた「明大スポーツ新聞第559号(ドラフト特集号)」は10月29日に発行いたしました。ぜひ、併せてご覧ください。
[小松錦葵]
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