インカレ開幕直前特集 座談会①

 1年の集大成となる大会がいよいよ始まる。12月9~10日に日大生物資源科学部体育館にて全日本大学対抗選手権(以下、インカレ)が開催。昨年度は団体7位に終わり涙をのんだ。目標の3位入賞へ、チーム一丸となって全国の猛者たちに挑む。  本特集ではインカレ登録メンバーによる座談会の様子をお届けします。第1回は深田幸暉(農4=埼玉栄)、坂口颯基(政経4=須磨友が丘)、深見健(政経2=安曇川)、森本凌功(営2=紀北農芸)ら4選手による対談です。(なお、この取材は11月25日に行われたものです)  ――インカレメンバーに選ばれた感想を教えてください。深見 「自分は去年も出させていただきましたが、調子よく点数面でも貢献できたと思います。今年は去年以上に貢献できるように頑張ろうと思っています」深田 「まさか最後の最後で選ばれると思っていなかったので、やると決めたからには最後までやり切れるように頑張りたいと思っています」坂口 「最初にありがたいという気持ちが一番強くて、昨年も出させていただいたんですけどもふがいない結果に終わってしまったので、今年は昨年以上に点数を取れるように頑張りたいと思っております」森本 「僕は正規のメンバーではないですが、坂口先輩が出られない場合にその補欠として正規になって最後は頑張ってチームに貢献したいと思います」 ――今年度の大会を振り返っていかがでしたか。深見 「自分は正直調子が悪い時がずっと続いていて、いろいろ試したけれどうまくいかないことが多くて、かなり苦しんだ時期でした。いろいろ試していって今調子は上がってきていると思うので、今までで一番苦しんだ時期だとは思いますが自分の身になったというか、勉強になった1年だったなと思います」深田 「自分も今年は不調の方で、最後にも関わらずもう諦めた雰囲気とか出したりして前半から中盤にかけてボロボロだったので、ここから乗り越えて上げていけたらいいなと思っています」坂口 「詰めが甘い1年だと思っていて、10月ごろからぎっくり腰になってしまって今も引きずっていますが、そういったこともこれから残り少ない中調子をどんどん上げていけたらいいなと思っています」森本 「試合はたくさん出ましたが、やはりむらがあったりいいとき悪いときがあったので、今回の試合に出るときは最後は調子を合わせて頑張っていきたいなと思います」 ――深田選手と坂口選手、深見選手と森本選手は同期ですが、お互いの印象を教えてください。深田 「対策とかこうと決めたことは絶対やるような性格だと思っているので、今回の試合でもきっと大活躍をしてくれると思います」坂口 「4年間一緒にいますが負けず嫌いな性格だと思っています。試合とか勝負事においても今回が最後の試合にお互いなるので、負けず嫌いさを発揮して彼も大活躍してくれるんじゃないかなと思います」深見 「本人も言った通りむらがある性格というか、やる気あるときとないときの差がすごいとは思いますが、しっかりやる気あるときは自分が調子落ち始めてモチベーションが落ちているときとかに引っ張ってくれたりするので、すごく頼りがいがある同期です」森本 「深見は自分たちの学年でも一番競技力が強く、練習における姿勢が自分たちの学年の中で一番意識が高くて、尊敬する部分しかないです。今回はこの試合に向けてすごく対策や研究しているのですごい結果を出してくれると思っています」 ――今のチームの雰囲気を教えてください。深見 「去年も雰囲気を見ていて思いましたが、調子が上がっている人は多いと思います。特に4年生は最後の試合になる人が多いので、ウエイトに対する姿勢が今まで以上に向き合っているなというのは感じます。自分もそうだし4年生も全体がいい結果で終われるように雰囲気づくりするのが大事だなと思っています」深田 「やはりインカレってこともあってチーム全体が盛り上がっているなっていう印象ですね。メンバーに選ばれた人だけではなく、メンバー外の人もメンバーの背中を見てみんな頑張り続けるいいチームになっていると思っています」坂口 「一言で言ったらがっつりしています。4年生だけではなく、1、2年生から3年生、メンバーに選ばれなかった人も試合の残り日数が近づくにつれて意識も高まって、それぞれの練習に向き合っている感じはします」森本 「チーム全体でインカレに向けて切磋琢磨(せっさたくま)して全員でそこに向かえてると思うので、このまま自分たち出る出ないに関わらず出る選手を最高のコンディションで送れるように自分たちもサポートするつもりです」 ――ウエイトリフティング部のSNSで投稿されている練習風景では本番さながらの声掛けが印象的ですが、意識していることはありますか。深見 「試合もそうですが、個人競技でありつつも周りの支援があると自分もやる気になるというか、やらないといけないといういいプレッシャーになり、練習でもやはり大事なことだと思うのでみんな声出すようにはしています」深田 「そうですね。深見君が言った通りだと思います」坂口、森本 「間違いないです(笑)」 ――競技をする上での原動力を教えてください。深見 「自分は大学4年の時に地元の滋賀県で国体があって、それが一番の目的として今やっています。正直今の滋賀県もレベル高くて今の自分でも国体でいい順位取るだとか、そもそも国体に出られるのかっていうのも怪しいラインですが、今までお世話になった人たちに恩返しできるようにと考えているのでそこを目標にしています」深田 「原動力としてはやはり毎回新記録とかに挑戦することの楽しさとか、成功したときの達成感やうれしさが染みついているので、それを原動力に頑張っています」坂口 「僕は大学の大舞台であるインカレに出場したいという気持ちと、やはり数字が重量を上げることによって増えていく楽しさ、そういったものを原動力として練習に日々取り組んでいます」森本 「自分の原動力としては、応援してくれている家族とか友達とか祖父母などが試合の際にラインをくれたりするので、すごく頑張りたいと思っています」 ――競技に打ち込む毎日ですが、何か息抜きの方法はありますか。深見 「自分はどちらかというと外でというよりはゆっくりする方が好きなので、ゆっくりアニメ見たり最近は部屋でよく桃鉄(桃太郎電鉄)とかやったりしているので、そういうので楽しみながら休んでいます」深田 「自分も外に出て活動するというよりは室内にいて、趣味がプラモデル製作なのでそういうので精神統一したり、あとは後輩と一緒にゲームをしたり自分でゲームしたりと普通に過ごしています」坂口 「僕もどちらかというとインドアなので、最近は呪術廻戦よく見ているんですけどそれが息抜きですね」森本 「自分はアウトドアで外でもバリバリ遊んでいます(笑)」 ――最後に団体3位入賞に向け、個人の目標を教えてください。深見 「自分は去年2位に入らせてもらいましたが、正直他大学の争いでたまたま抜けて2位になったというだけなので、今年はしっかり実力で優勝目指していきたいです」深田 「自分は点数とかランキング表である程度分かってはいますが、それよりも1点でも多く取ったり、できるだけ成功本数を増やしていい試技をして、次につなげるような試合にしたいなと思っています」坂口 「昨年も出させていただいたんですけど点数を取ることはできなかったので、今年は1点でも多くの試技を成功させて、チームの団体の得点のために少しでも助けになればいいかなと思っています」森本 「試合に出た時には1点でも多く取って団体3位に貢献できるように頑張ります」 ――ありがとうございました。 [高橋佳菜]
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大会後半戦 自由形で魅せた田渕 2個の銀メダル獲得/ジャパンオープン

 後半戦を迎えたジャパンオープン。海外勢や高校生が存在感を見せ、大いに盛り上がりを呈した。その勢いに乗り明大勢も躍動し、自己ベストや好結果を連発。中でも、松山陸(商4=春日部共栄)は今大会2個目の銀メダルを獲得、田渕海斗(情コミ3=日大藤沢)は3日目に400メートル自由形、4日目には800メートル自由形で銀メダルを獲得した。 ◆11・30~12・3 ジャパンオープン(東京アクアティクスセンター)◆3日目▼男子50メートル背泳ぎ2位 松山 25秒16▼男子400メートル自由形2位 田渕 3分49秒127位 庭野 3分53秒63▼男子200メートルバタフライ6位 上川畑 1分57秒84 ◆4日目▼男子800メートル自由形2位 田渕 7分56秒94▼男子50メートル自由形8位 五味 22秒82▼男子200メートル平泳ぎ7位 廣島 2分12秒65  大会3日目には男子50メートル背泳ぎで松山が登場。銀メダルを獲得した前日の勢いそのままに会心の泳ぎを見せた。得意のバサロキックで好位置につけると、大接戦を繰り広げ優勝争いを展開する。タッチの差で前日の男子100メートル背泳ぎに続き2位となったが、予選決勝ともに自己ベストを更新。「陸上でのトレーニングだったりウエートトレーニングが爆発的なスピードにつながる」(松山)と、練習法を変えたことによる今大会好調の要因を明かした。  大会3日目の男子400メートル自由形、最終日の男子800メートル自由形では田渕が銀メダルを獲得。両日ともに、強豪・オーストラリアのマシュー・ガレアとの白熱した戦いを繰り広げた。また、男子400メートル自由形では2年ぶりとなる自己ベスト更新。「去年のジャパンオープンと比べるとやはり速くなっているので、その点で自信がついているなという感触とこれがオリンピックイヤーかという気持ち」(田渕)と自身の確かな成長を実感し、来年3月の国際大会代表選考会(以下、パリ五輪選考会)に向けての熱意を示した。  廣島偉来(政経3=淑徳巣鴨)は、最終日の男子200メートル平泳ぎに出場。決勝に進出し、7位となったもののレース内容には納得いかず。「(本格的な練習は)まだ何もできていない」(廣島)と、これから厳しい練習で追い込んでいく覚悟を見せた。さらに廣島はパリ五輪選考会のみならず、来年2月にカタールで行われる世界選手権にも出場する。「カタールでいいタイムを出して、3月のパリ五輪選考会に臨めれば」(廣島)と大舞台をも糧にしようとする心意気をあらわにした。  それぞれが手応えや課題をつかんだ4日間。多くの選手が見据えるのは3月のパリ五輪選考会だ。冬の強化期間を充実させ一段と成長し、1人でも多くの選手が憧れの舞台への切符をつかむ3月になることを期待したい。 [中川美怜、橋本太陽] 試合後のコメント松山――タイム面ではいかがでしたか。 「24秒を出したかったのであまり満足できていないですし、明らかにオーストラリアの選手と接戦だったのは分かっていたのですが、勝ち切れなかったですね。やはり優勝したかったので、まだまだ課題がたくさんあるなと感じています」 田渕――自由形の強豪国のオーストラリアの選手に対して接戦を繰り広げました。実際に泳いでみてどんな経験を得ましたか。 「今大会で9レース目になったので疲労はもちろんあったんですけど、もう少し速く泳げたなというのが正直なところです。こうして海外選手と真剣勝負できたという点ではいい経験になったかなと思います」 廣島――ここ最近の調子はどう体感されてますか。  「練習もまだ全然積めていないですし、レースの練習もしていなくて、まだ何もできてない状態です。 12月と1月で上げていきたいなと思います」
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(54)インカレ直前インタビュー⑨/阿部稜汰

 12月7日より全日本大学選手権大会(以下、インカレ)が開幕する。今季は関東大学1部リーグ戦で連覇を逃したものの、3位入賞を果たし14大会連続22回目の出場となるインカレ。明大の戦いは12月10日、2回戦から幕を開ける。悲願の王座奪還へ。一戦の負けも許されない戦いが今、始まる。 今回はDF阿部稜汰(政経4=日章学園)のインタビューをお届けします。 ――今年度ここまでを振り返っていかがですか。  「勝ち点の問題があったり、恵允(佐藤・文4=実践学園)がドイツに行ったりなど、いろんなことがあったと思います。しかし、その中でリーグ戦で3位に入って、毎年出てるインカレの出場権を獲得したことは、部員全員が一体となってやってきたからこその結果だと思います。これまでを振り返ると、非常にいい結果なのではないかと思います」 ――4年生唯一のSBとして思いをお聞かせください。  「これまでの先輩方は強烈なサイドバックの人たちが多くて、それに比べると自分は実力不足です。栗田さんからも日頃から言われているんですけど、4年生の中でSBが1人しかいないという中で、これまでの試合で4年生として圧倒的な力を見せられていないと思っています。残りのインカレで少しでも明治のSB像というものを高められるようにしていきたいなと思っています」 ――明大での4年間を振り返っていかがですか。  「自分は宮崎の日章学園から来て、本当に明治に入れたこと自体が奇跡でした。サッカーの成長もそうですし、人間として成長できた部分がすごく大きいと思っています。ここで培ったものは今後自分がサッカーをするにしても社会に出ていくにしても、絶対に生きてくるものだと思います。明治大学に来て学べて良かったと思う部分でもあります」  ――4年間で成長された部分をお聞かせください。 「サッカーの部分だと、攻撃参加の回数は高校時代に比べて圧倒的に増えました。それは栗田さんが日頃から明治のサイドバック像を追求していて、自分もそれを追求することで攻撃参加の回数だったり、得点に直結するプレーを意識していました。そこがサッカーで最も成長できた部分です。日常ではやっぱ人間力がやはり一番成長できました」 ――ご自身の考える人間力とはどのようなものですか。 「明治の選手は他の大学の選手に比べると、常に自分にベクトルを向けています。チームが悪くなった時に誰かのせいにするのではなく自分にベクトルを向けて、自分にできることはないかと問題が起きた時にそれに対処する力ですね。自覚や責任がないとできないことだと思います。自覚と責任を持っている選手は、一つ一つのプレーのこだわりや意思の強さが絶対プレーに出てくると思います。そういう部分が人間力と言える部分なのではないかと思います」 ――栗田大輔監督からの言葉で印象に残っているものはありますか。  「知的野蛮人という言葉です。知的に賢く動く人間も良いと思うんですけど、そこに野心というか、ギラギラしたものがないと絶対に上には行けないという話をされていました。自分もその通りだと思いました。野心を持って知性を持って立ち回るというところが、サッカーでもそれ以外の部分でも成長につながると感じています。心の中に一番残っています」 ――同期への思いをお聞かせください。  「とても大好きです。今まで中学や高校など、いろいろな同期と会ってきましたけど、16人部屋での共同生活を通して仕事もあったので、今まで生きてきた中で一番絆が深い同期です。これから社会に出てそういう人たちに出会えるかといったら絶対そうじゃないと思います。自分にとっては一生の財産、そういうかけがえのない存在ですね」 ――インカレに向けて意気込みをお願いします。  「自分が試合に出る出ないに関わらずチームが勝つことで、今まで支えてくれた人たちに恩返しをできるのが一番だと思います。残りの期間で自分がチームに対してできることを考えて行動して、自分が出た際には絶対に誰よりも走り、見ている人たちに感動を与えられるようなプレーをします。チームとしてもそのようなサッカーをできるようにして、優勝したいなと思います」 ――ありがとうございました。 [岩田英佑] ◆阿部 稜汰(あべ・りょうた)政経4、日章学園、171センチ、68キロ
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(55)インカレ直前インタビュー⑩/岡哲平

 12月7日より全日本大学選手権大会(以下、インカレ)が開幕する。今季は関東大学1部リーグ戦で連覇を逃したものの、3位入賞を果たし14大会連続22回目の出場となるインカレ。明大の戦いは12月10日、2回戦から幕を開ける。悲願の王座奪還へ。一戦の負けも許されない戦いが今、始まる。 今回はDF岡哲平(政経4=FC東京U―18)のインタビューをお届けします。 ――同期への想いをお聞かせください。 「仲間でもありライバルでもあり、家族のような存在で本当に助けられました。切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間なので、本当に一生大切にしたい仲間です」 ――直近の目標をお聞かせください。 「来年加入するFC東京の開幕戦にスタメンで出ることが直近の目標です。そして、来年度の夏に開催されるパリ五輪に出て活躍したいです。まずは自チームで結果を残して、そこにつなげたいと思います」 ――今後伸ばしていきたい部分をお聞かせください。 「プロは大学サッカーと違って、フィジカルやスピードが別次元だと思います。基礎的な身体能力を上げて、予測や準備の荒さをもっと磨かないといけないと思います」 ――新寮と旧寮を振り返っていかがですか。 「前の寮では、16人部屋ということもあってみんなの距離感が近く、本当にコミュニケーションが取りやすいなというふうに思っていました。そこは良かった面だと思います。逆に今の寮になって広くなった分、選手と選手の距離感が遠くなって、コミュニケーションが取りづらいということを思っています。それを改善するために選手間でミーティングの量を増やしたりしています。ただ、今の寮のメリットとしては、本当に施設が綺麗なので快適に過ごせます。筋トレルームも料理も完備されてるので、とても使いやすくて良いです」 ――明大でのプレーも残り1カ月となりましたがいかがですか。  「明治は今年結果を残せてないので結果を残すことと、残り1ヶ月は全力で自分が出せる力を100パーセント出し切って取り組みたいと思います」 ――初戦に対する思いをお聞かせください。 「普段は戦うことのないチームと初戦から当たるので、明治らしいサッカーをして、明治のサッカーを体現できたら、自ずと結果はついてくると思います」 ――インカレへの意気込みをお願いします。 「仲間たちとサッカーをする時間を少しでも増やすために、目の前の一戦一戦に集中して戦いたいと思います」 ――ありがとうございました。 [岩田英佑] ◆岡 哲平(おか・てっぺい)政経4、FC東京U―18、186センチ、83キロ
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江川がSPから巻き返し総合優勝 男子は菊地が優勝/都民体育大会

 都民体育大会は2日目を迎え、男女ともにFS(フリースケーティング)の試合が行われた。明大からはSP(ショートプログラム)1位の菊地竜生(政経1=目黒日大)、2位の松井努夢(政経4=関西)、女子はSP3位の江川マリア(政経2=香椎)と5位の堀見華那(商3=愛知みずほ大瑞穂)が出場した。 ◆12・2〜3、10 都民体育大会(ダイドードリンコアイスアリーナ)  江川は前日のSPでは本領を発揮できず3位からのスタートとなった。「SPの失敗は、メンタル的な問題が大きくて技術的なこと自体は問題なかったので、切り替えて自信をもって臨んだ」と気持ちを新たにFSの舞台へ。「マリアちゃんがんば!」という客席からの大きな声援と拍手を受け、にこやかに滑り出した。しなやかな上半身の動きと安定したスケーティングで観客を江川の『O』の世界観に引き込む。「落ち着いて跳ぶことができた」と冒頭の3回転ルッツを成功させ、続く五つのジャンプを見事着氷。跳び上がってから着氷するまでの飛距離が長く、ブレのないジャンプでその実力を示した。最後のサルコーは「最後のジャンプだと思って力が入り過ぎてしまった」と惜しくも転倒。それでもSPからの追い上げを見せ1位に輝いた。  本人は「順位以上に、SPとFSを合わせることができなかったのが一番悔しい」と振り返る。江川にとって今大会は全日本選手権(以下、全日本)へのステップとしての役割もあった。今回の大きな収穫を糧に、いよいよ大本命の試合へ挑む。(写真:笑顔で踊った堀見)  FSは鮮やかな青とスカートのフレア部分に黄色を取り入れた爽やかな衣装の堀見。黒く大人っぽい衣装のSPとはまた違った魅力で『ラ・ラ・ランド』を踊る。プログラム構成の難易度を上げ臨んだ今回は「とにかく逃げないで攻めようという気持ち」で挑んだ。試合前に入念にジャンプの動きを確認し、気持ちを整える。6分間練習でも何度もジャンプを跳び感覚をつかむ姿が見られた。冒頭の3回転ルッツでは転倒してしまったが「最初のルッツやループは、しっかり締めることができた」。跳ぶジャンプの種類が増えたことで見応えのあるプログラムとなった。そして堀見の一番の魅力である演技中の笑顔は今回もきらきらと輝いた。「体力が最後までもたなかった」と振り返ったが『Someone in the crowd』の盛り上がりに合わせたフィナーレでは観客の手拍子も誘い、華やかにステップを踏んだ。 (写真:力強い演技をした菊地) 「前日のSPでの失敗をFSでは成功させたい」。菊地は強い意志を持って最終滑走に登場した。6分間練習では何度もジャンプを確認していたが、本番では冒頭の4回転サルコーから失敗。ジャンプでのミスを連発し「ミスを引きずって良くない演技をした」と悔しさを見せた。  勇ましいリズムを刻む音楽に乗せ、大きなジャンプとスピードあるスケーティングで迫力満点の滑りを見せる。そして曲調が変わる中盤では静かなメロディーに合わせる演じ分けによって、強弱のある滑りとなった。シニア仕様のこのプログラムは、菊地の鋭い表情と力強いジャンプをより引き立てる。シニアの枠での経験を積み、深みのある演技を見せる姿に一層期待がかかる。(写真:深いスケーティングを見せた松井) 「出番を待っている間も深呼吸をたくさんしていた」と緊張感を見せた松井。「絶対にジャンプのパンクだけはしたくない」と語っていたが、冒頭のトーループから失敗。続く3回転サルコーと2回転トーループの連続ジャンプは成功させた。ジャンプでの惜しい失敗はいくつかあったが『ファンタスティック・ビースト』の世界観は最後まで演じ切り、試合後は「やってしまった」と少しの悔しさの中にも明るく前向きな表情を見せた。  そして、試合後にファンの方から花束をもらったという。「僕が中学や高校生くらいの時から見てくださっていて、最後の試合にも来てくださっていたのが感慨深くてすごくうれしかった」。ずっと続けてきたスケートの大会は、ファンや両親、コーチが見守る中、総合3位で表彰台に立って別れを告げた。  各選手がそれぞれの目標に向かって努力を重ねている。結果や順位にとらわれず、技術や反省点を生かし今後のさらなる成長に期待がかかる。 [新村百華] 試合後のコメント江川――FSの内容はいかがでしたか。 「前半はよく動いていたのですが、だからこそ後半の動きのもたつきが目立ってしまうので、もっと後半を強化しないといけないなと思いました」 ――全日本への意気込みや目標を教えてください。「全日本ではSPもFSもしっかりそろえて、昨年のリベンジをしたいです」 堀見――演技を振り返ってみての感想を教えてください。 「体力が最後までもたなかったなという印象です。やはり、難度も上げたし転んでしまったのでそこが体力を奪われてしまった原因だと思います。でも、新しい事に挑戦したことで課題も見つかったので、いい試合でした」 ――総合5位という結果はどのように受け止めていますか。 「結果については、実力通りというかもう少しジャンプが決まれば上にいけたなという感じです。もっと上位を目指して、ジャンプをしっかり成功させられるように頑張りたいと思いました」 菊地――シニア仕様のプログラムでしたが、表現面などで意識したことなどがあれば教えてください。 「東インカレ(東日本学生選手権)で初披露でしたが曲が途中で止まってしまったので実質今回が初披露でした。身体の上下の動きを意識していました」 ――次戦に向けての目標を教えてください。 「インカレ(日本学生氷上競技選手権)に向け気持ちを切り替えてベストな演技をできるよう頑張ります」 松井――演技を振り返ってみていかがでしたか。 「ジャンプが全て入らなかったのは惜しいところではありますが、コレオシークエンスも滑れたし、最後も体力は残っていたから最後のステップも動けたのでそれは良かったかなと思います」 ――最後の大会への特別な思いはありましたか。 「試合後にファンの方が花束をくださったのですが、それが本当にうれしかったです。そこで少し終わりという実感が湧きました。僕が中学や高校生くらいの時から見てくださっていて、最後の試合にも来てくださっていたのが感慨深くてすごくうれしかったです。それをいただいた時は少し泣きそうになりました」  
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