(6)林陵平さんインタビュー拡大版②/サッカーW杯特集号特別企画

2026.06.14

 6月11日にサッカーW杯号外を発行いたしました。本特集では、サッカー日本代表に選出された長友佑都選手(平21政経卒=現FC東京)と早川友基選手(令3営卒=現鹿島アントラーズ)の2人に加えて、解説者として人気を博す林陵平さん(平21商卒)を掲載。そのほかにも、W杯にまつわる多彩な企画を載せております。

 本記事は、紙面に載せ切れなかった林さんのインタビューのWEB拡大版となります。(この取材は5月26日に行われたものです)

――以前から解説に興味はありましたか。
 「2021から23年まで東大で指導をして、24年は1年間、S級ライセンスというプロライセンスを取りに行きながら解説もやっていました。自分が解説者として戦っていけるというのは自信があったし、人と違う唯一無二になれると思っていたのでそこは全然心配はしていなかったです」

――解説一本にシフトしてからサッカーを見るのが嫌になったことはありますか。
 「全くないです。もともとサッカーが大好きなのでこれが自分の天職だと思っていますし、嫌になることもないです。1日中サッカーを見ていて、今日の夜中もマンチェスターシティ(FC)の解説がありますし、毎日のように解説があります」

――現役中から解説者を目指されていたのですか。
 「将来やりたいなというよりは、普通にサッカーを見ていたので(という感じです。)(初めから)サッカー解説者を目指すことはあまりないとは思うんですけど、その延長線上にサッカーに関わる仕事はしたいなと思っていました」

――解説には高い言語化能力が求められると思いますが、現役時代の林さんは思考的なプレイヤーでしたか。それとも本能的にプレーするタイプのでしたか。
 「選手時代は頭で考える必要もない(と思っていた)し、どちらかというと目の前の相手との駆け引きで、ストライカーとしてDFをどうかいくぐるかというのを考えていました」

――解説の中で最も大切にしていることを教えてください。
 「大切にしていることはたくさんありますが、その試合の現象の「なぜ」を話せるようにしています。みんな基本的に見てシュートが上手いとか、ここからクロスを上げたというのはわかると思います。でもなぜそこでクロスを上げられたとか、なぜそこにスペースが空いたのかというのを話せる人は少ないと思っていて。だからなぜをさらに分かりやすく話すというのは心がけています」

――参考にしている解説者や、好きな解説者はいらっしゃいますか。
 「あまりそういうのはいないです。自分がどれだけ成長していけるかを考えているので、解説はいろいろな人のを聞きますが、特にこの人というのはあまりないです」

――多くの解説を担当されていますが、対戦チームの情報収集にはどの程度時間をかけていますか。
 「やはり準備が一番大事なので、その試合の大体2〜3試合は絶対見ておかなければ流れがわからないので見ています。これは解説者だけではなくて学生にも言えますが、大学を卒業して仕事をした時に準備が大事だと思っていて、その仕事に対して準備ができていれば余計な緊張をせずできると思うので、その準備は大切にしてほしいです」

――今大会が初めての現地でのW杯ですか。
 「初めてです。解説者としては最高ですよね。現地でのW杯は楽しみです」

――W杯は解説者にとっても特別な舞台なのでしょうか。
 「楽しみですけど、でもいつもと変わらないです。そこは準備をしっかりして、みんなが見るのに一緒にわかりやすく、さらに同じテンションで解説できるようには心がけていきます。(初のW杯ですが)あまり緊張はしないです。W杯でも大して緊張しないと思います」

――今後は解説者を続けていきたいか、または全く違うアパレルなどの路線に行きたいかなど、ご自身のキャリアについて思い描いていることはありますか。
 「洋服は好きですけど、アパレルは別にやりたいというのはないです。そんな簡単なものではないので。プロライセンスを取りましたが、いつか指導者はという考えは意外と今はないです。解説をしていると『監督やってください』とJリーグからたくさん言われますが、解説者としてすごく充実しているので、今はそれが面白いです」

――今後明大からオファーが来たら監督就任の希望はありますか。
 「(すでに)明治からコーチとか(依頼)はあります。いい選手がたくさんいるし、明治で(監督をやったら)面白いでしょうけどね。だだ朝早いし、朝4時とかの時間帯は解説をしているのでタイミングがなかなか合わないと思います。S級(取得)の時に大学の練習に参加しないといけなくて、その時は明治のトレーニングに参加してお世話になりました。当時は佐藤恵允(令6文卒=現FC東京)とかそこら辺の年代がいました」

――中村草太選手(令7政経卒=現サンフレッチェ広島)もいらっしゃった代ですか。
 「俺はBチーム見てたけど、24年。(考える)中村草太、いました」

――近年の明大の選手と林さんたちの年代を比べるといかがですか。
 「みんな強豪高校のスタメンで出ている選手たちなので、今の方がいい選手がたくさんいると思います。それは俺らがいた時からつないできたものがどんどんチームとして強くなっていってそういう(レベルの高い)選手しか集まらなくなってきているというのが大きいかなと思います」

――S級ライセンス取得の際、ドイツに研修に行かれたと思いますが、そこで海外の指導者と日本の指導者の考え方の違いというのは感じましたか。
 「それはそうですね。俺が行った(ホルシュタイン)キールの監督はすごく戦術的で、日本で自分が指導受けていたのとはまた違って戦術的な面が向こうはすごく発達していました。その指導の仕方は多少違うかなというのがありました」

――林さんの解説において唯一無二である点を教えてください。
 「大事なのは、人と同じことをしていても面白くないわけじゃないですけど、人と同じことをしていても多分そこに埋もれてしまうと思います。だから人と違う、同じことをやっているけど人と違う特徴を出せるというのは、すごく仕事においては大事だと思っています。そういう意味では、戦術的な話をできる人って少ないと思うし、戦術の話ができて、サッカーのプレー面や自分のプレー面を話せて、あとはギャグなどのユーモアを話せて、プラスアルファサッカージャーナリストみたいな、細かい誰と誰が仲いいとか、パッションこれだとか話せる、この四つを持っている人っていないんですよ。全部に対応できる、それが特徴だと思います」

――W杯日本代表メンバーが発表され、最初にどんなことを感じられましたか。
 「『長友入ったよ、長友よかったな』って。連絡も取っていたし、彼は明治の同級生ですしね。僕は一サッカー解説者なので長友、長友って言っていたら、えーなんで。ってなるのであれ(あまり言えない)ですけど、でも素直に長友が入ってよかったなって思います」

――長友選手を予想メンバーに挙げていましたが、その理由を教えて下さい。
 「まあ入るでしょう。彼が精神的支柱になると思っていたので。ずっと自分は当たり前のようにメンバーに入っているのを疑っていなかったし、彼なら入るんじゃないかなと思っていました」

――長友選手の選出後はどのように連絡を取られましたか。
 「普通におめでとうと言ったら、『やってくるよ、W杯』って。それで『俺も現地行くからまた現地で会おう』って。これまたすごいことですよね。同級生で一方が選手で出て、一方が解説者として解説できたら、それはすごいことだと思うし、明治にとってもいいことかなと思います」

――同じく明大出身でGKの早川友基選手(令3営卒=現鹿島アントラーズ)が選ばれましたが、早川選手についてはいかがですか。
 「納得です。今、JリーグでナンバーワンのGKだと思いますし。明治(出身の)学生がめちゃくちゃ増えていますよね。この前もFC東京と(東京)ヴェルディ(の解説を)やっていてももう5〜7人ぐらい出ていました。いつも明治の後輩は1.5倍で褒めています(笑)。頑張ってほしいですね」

――早川選手のすごさを教えてください。
 「総合力が高いし、シュートストップ能力がやはりすごいと思います。セービングのところとステップが細かいので相手が何をしてきそうだなという予測もすごくいいのかなと思います」

――現状では鈴木彩艶選手(パルマ)が正GKと予想されていますが、早川選手の出場機会についてどのようにお考えですか。
 「出てほしいですけど、彩艶がケガしなければ出られないんじゃないですか。GKってそんなに変えるポジションじゃないですし。彩艶もめちゃくちゃいいキーパーなのでね」

――以前YouTubeで鎌田大地選手(クリスタル・パレス)をキーマンに挙げていたと思いますが、その意図を教えてください。
 「チームの中盤の選手なので彼が機能するかどうかが日本代表がうまくいっているかどうかがわかりやすい判断になるかなと思います。とにかく初めて見る人は鎌田がボールを触っているか、目立っているかというところを見ると、日本がうまくいっているんだな、うまくいっていないんだなというのはわかるかなと思います」

――もう一人挙げるならどなたでしょうか。
 「上田綺世(フェイエノールト)です。やはりストライカーがゴールを決めるかどうかはすごく重要ですし、どうしても日本ってCF(センターフォワード)がずっと出てきていないというか、W杯とかで誰が決めるのか、という部分で。だから彼がしっかり決めてくれればチャンスあるかなと思います」

――ボランチの枚数が少ないという懸念がある中でその点についてはどうお考えですか。
 「少ないです」

――ゲームを支配するのが鎌田選手だとすれば、あとの3人(田中選手、佐野選手、遠藤選手)はそういった役割ではないのかなとも考えられますが、森保一監督自身その部分についてはどこを重要視しているとお考えですか。
 「田中碧(リーズ)がその役割はできるかなと思いますが、ボランチ4人は確かに少ないです。4人というか、遠藤航(リヴァプール)がちゃんと復帰していないので実質3.5人という考え方です。もう1枚、個人的には必要だったかなとは思いますが、それを前線に持っていった感じには見れるかなと思います」

――初戦のオランダ戦のスタメン予想をお願いします。

 「(GK)彩艶でしょ。左から伊藤(洋輝・バイエルン)、谷口(彰悟・シントトロイデン)、渡辺(剛・フェイエノールト)、左ボランチ鎌田、佐野(海舟・マインツ05)。左がアイスランド戦(5月31日の親善試合)を見るまでわからないですが、オランダを意識するならLWB(レフトウィングバック)が鈴木淳之介(FCコペンハーゲン)。左シャドーが中村敬斗(スタッド・ランス)、一番右が久保(建英・レアル・ソシエダ)で前が上田。オランダ(守備)を意識しなければ左中村敬斗、左シャドー前田大然(セルティック)とかで、一番前に上田とかかなと思います」

――グループステージの3カ国のそれぞれの印象と注目選手をお願いします。
 「オランダは個の能力は抜群に高いです。中盤のところにはフレンキー・デヨング(バルセロナ)とフラーフェンベルフ(リヴァプール)のバルサとリヴァプールで活躍する選手がいますし、個がグループの中で一番強いチームかなと思います。注目は(フィルヒル)ファンダイク(リヴァプール)。ヘディング決められそうですね。セットプレーも怖いです。チュニジアはどちらかというと守備的なチームだと思うので、守備からどれだけ簡単に出られるかというところで、組織でしっかり我慢して守りながら攻撃に出てくる形だと思います。日本が基本的には主導権にいると思うので、日本がしっかり崩し切れるか(が大事になってきます)。チュニジアのキーマンはハンニバル・メイブリ(バーンリー)で、バーンリーでプレーしている選手がいるので、彼を攻撃・守備ともにどれだけ抑えられるかはポイントになるかなと思います。スウェーデンは日本にとって一番嫌な相手です、特にシステムも5-4-1、3-4-2-1の日本と同じ組み合わせでミラーゲームになると思うので、どうやってズレをつくり出していくかというのは日本にとっては大事になります。キーマンはギェケレシュ(アーセナル)で、一番前に合わせて選手がいるのでそれをカウンターで止められないとめちゃめちゃ難しいゲームになるのかなと思います」

――日本代表はアフリカ勢との対戦を苦手としている印象もありますがその点についてはいかがですか。
 「引いた相手をどれだけ崩せるかだと思います。特に相手は4バックで守ってくるのであれば、WB(ウイングバック)のところは時間ができて位置的優位は取れると思うのでそこの大外のところ、右ならば堂安(律・フランクフルト)、左だとその下、中村敬斗とかかなと思います。このWBのところがポイントになりそうです」

――FWに最も求められていることは何だと思いますか。
 「点を決めること、それだけです」

――率直に日本はどこまで勝ち進めると思いますか。
 「三笘(薫・ブライトン)がいればベスト8と言いたいですが、三苫がいなくなったのでね。ベスト32(進出)でブラジルかモロッコ(と対戦)でしょ。それは勝てないですよ。でもベスト8は行ってほしいです」

――日本はPKが大事になってくると思いますが、特に誰がカギになってくるでしょうか。
 「キーパー鈴木彩艶。GKが大事だと思います」

――彩艶選手のすごさについて教えてください。
 「彩艶も総合値、(特に)シュートストップの力です。でもサイズ、フィジカル能力はバケモノですよね。ちょっと瞬発力とかレベルが違います」

――最近は日本サッカーのレベルはどんどん上がってきていると思いますが、なぜ変わってきたとお考えですか。
 「それは別に一瞬で変わるわけでもないし、1年で変わるわけでもないので、やはり積み重ねじゃないですかね。日本でJリーグが始まって、いろいろな選手が海外に行き出して、個人の下部組織もそうですけど、レベルが上がっていて、一人一人が成長して、それが海外に行って評価されて。結局(評価されているのって)全員海外組じゃないですか。そういう普段のトレーニングとゲームから、トップレベルでプレーできている選手が増えているというのがレベルが上がっている証拠だと思います」

――日本人選手の強みはどういったところでしょうか。
 「規律です。すごく(日本の)特徴的なところですが、それだけでは今海外ではやっていけないと思います。アジリティ能力とかはすごく言われますけど、シンプルにアスリート能力も上がってきていて、現在のフットボールはアスリート能力がなければ海外で絶対に活躍できないので、そこも日本人はすごく上がってきているかなというのと、やはり規律の部分でしっかり常に100パーセント、120パーセントでプレーできるというのは日本人の特徴だと思います」

――ありがとうございました。

[サッカー担当一同]