
慶大制し5連勝 課題を次戦へつなげ/関東大学対抗戦Aグループ
関東大学対抗戦(以下、対抗戦)5戦目の相手は慶大。試合序盤から明大ペースで一気に攻撃を開始し、慶大ディフェンスを突破していく。FW陣、BK陣ともに持ち味を発揮し、セットプレーでもパスやランでも幾度となく好機を演出した。後半の苦しい時間帯もなんとか持ちこたえ、最終スコア66―40でノーサイド。課題は出たものの、明大の粘り強さを見せつける内容となった。
◆11・5 関東大学対抗戦Aグループ(熊谷スポーツ文化公園ラグビー場)
▼対慶大戦
○明大66{47―14、19―26}40慶大
最初に流れをつかんだのは明大。前半2分、BK陣を中心にパスを展開し、右ウイング安田昂平(商3=御所実)が敵陣22メートルラインまで相手ディフェンスにつかまれながらもゲイン。その後フルバック秋濱悠太(商3=桐蔭学園)からパスを受け取った左ウイング海老澤琥珀(情コミ1=報徳学園)がインゴール左側にダイブし幸先良く先制点を挙げた。まだまだ明大の勢いは止まらない。4分にはスクラムハーフ萩原周(商4=大阪桐蔭)のゲインでチャンスメークし、萩原からボールを受けた右センター平翔太(商2=東福岡)がディフェンスを振り切りトライ。「チームをより良くするためにいいプレーをしようと心掛けていた」(萩原)。ノーホイッスルで連続トライを奪った。BKの華麗なパスとランが目立つ中、FWのセットプレーも輝いた。15分、敵陣ゴールライン付近でのマイボールラインアウト。モールを形成し、FWが一気に押し込んでいく。最後は右プロップ為房慶次朗(文4=常翔学園)がトライを決め、点差を19点に広げる。その後に慶大に失点を許すも、左センター廣瀬雄也主将(商4=東福岡)のキックが今試合絶好調。「八幡山でずっと練習してきたので、今日試合でできて良かった」(廣瀬)。35分に廣瀬主将が50:22を決めると、一気に敵陣22メートルラインまでエリアを戻し流れは明大へ。マイボールラインアウトも難なく成功し、フィールド左側にパスを展開していく。そしてスタンドオフ伊藤耕太郎(商4=国学院栃木)からパスを受けた秋濱がグラウンディング。終始明大が試合をつくり、前半スコア47-14で試合を折り返した。
後半はなかなか明大が強みを見せられない時間が続いた。後半8分にトライを奪うも、その後は敵陣深く攻め込むことができない展開に。そして18分、21分と立て続けにトライを奪われ、流れは完全に慶大へ。だがこのままでは終わらないのが明大。流れを明大に傾けたのは、25分のマイボールスクラムだった。スクラムからパスを繰り広げ、海老澤が自陣から敵陣22メートルラインまでゲインを披露。そして最後は萩原が中央にグラウンディングを決めた。「流れが慶應にあったので、あの場面でトライを取れて良かった」(萩原)。その直後にもキックパスのこぼれ球を拾った平翔が快走を見せトライ。「今週のテーマである『ハングリー』の中にイーブンボールっていうのがあったので、ボールを奪ってトライにつなげられて良かった」(平翔)。今試合3本目のトライを決め、再び点差を突き放した。しかし試合終了間際は自陣でのプレー中心となり、明大の我慢が強いられる時間となった。そして35分、42分とまたもや立て続けにトライを献上。慶大のペナルティーも好機に生かせず、最終スコア66―40で試合は終了した。
「若い選手が多かったので、あまりコミュニケーションが取れていなかった。自分たちの時間ではない時に、どれだけやりたいラグビーができるかが大事」(伊藤耕)。後半、慶大に主導権を握られてしまう時間もあったが、特に規律面での課題を多く見つけ収穫もあった明大。「ペナルティーが多くてディフェンスするどころかそのままトライを取られてしまった」(ナンバーエイト木戸大士郎・文3=常翔学園)。次戦の相手は対抗戦、全国大学選手権ともに連覇中の帝京大だ。明大の悲願の大学日本一のためには絶対に倒さなければいけない相手。今試合の課題を修正し、次戦に向けてレベルアップする明大に期待がかかる。
[森口絵美理]
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