B戦今季初勝利! 前半の反省生かし東海大を圧倒/練習試合
6月らしい涼しい気温の中行われた東海大B戦。前半はモールを押し込んで得点を挙げるなど明大がリードする展開もあった。しかし相手のディフェンスに苦しみ、2点ビハインドで試合を折り返す。後半はバックス陣を中心に華麗なパスを展開し、最終スコア50―26で今年度初となるB戦勝利を収めた。
◆6・4 練習試合(会場非公開)
▼対東海大B戦
◯明大50{17―19、33―7}26東海大
序盤は自陣でのプレーが続く。試合が動いたのは前半12分だった。スタンドオフ土肥恵太(政経4=秋田工)からのパスを受け取った左フランカー最上太尊(商1=仙台育英)が相手ディフェンスのスキをつき先制。前半24分には敵陣ゴールライン付近でブレークダウンを重ね、追加点が決まるように思われた。しかし相手の粘り強いディフェンスに阻まれ、敵陣22メートルまで戻される苦しい展開が続く。前半27分、再び試合が動く。敵陣22メートルでのマイボールラインアウトからモールを展開し、そこからフッカー金勇哲(営2=大阪朝鮮)が抜けてトライ。「みんなでモールをしっかり押して取ることができた」(金勇)。流れは明大に傾いたかと思いきや、その後連続で東海大に得点を許してしまう。しかし前半37分、敵陣22メートルからパスを受け取った土肥がグラウンディング。「前半を通してディフェンスで勢いに乗れなかったので、自分で前に出たときにトライを決められて良かった」(土肥)。このまま勝ち越すかと思われたが、試合終了間近で東海大に得点を許してしまい、17―19で試合を折り返す。
後半は明大らしい力強いプレーが見られた。後半7分、マイボールラインアウトからモールを組み、東海隼(情コミ1=光泉カトリック)が抜けてトライを決める。「前のスペースが空いていたことを全員でコミュニケーションを取って共有していたので、決められて良かった」(東)。続く16分、敵陣22メートルで土肥のキックパスを受け取った東がグラウンディング。しかし23分、相手ボールのラインアウトからの度重なるブレークダウンを止め切れず、29―26と点差を縮められてしまう。それでも緊張が張り詰める試合展開を長くは続かせない明大。32分には強力なタックルでターンオーバーを誘うと、平翔太(商1=東福岡)からパスがつながり、右センター吉田輝雅(政経2=東海大相模)が追加点。「平のサポートに入れるように意識していたのがトライにつながった」(吉田輝)。その2分後にはバックス陣で攻撃を展開し、仲間航太(文1=常翔学園)がトライを決める。後半終盤は明大が主導権を握り続けた。42分にはフルバック山川遥之(営1=尾道)がダメ押しの追加点を決め、最終スコア50―26で試合を終えた。
前半は相手のディフェンスに苦しみ、思うように得点を上げられない展開が続いた。しかし後半はバックス陣のパス展開や、コミュニケーションを多く取っている姿が多く見受けられ「コミュニケーションとコールをしっかりしようと話していた」(東)。
春季大会も残り2週間。今試合で活躍した選手の中にはまだ初紫紺をまとっていない選手も多い。「紫紺を着て対抗戦、選手権に出られるように頑張る」(ナンバーエイト吉田爽真・情コミ2=國學院栃木)。今季と来季に選手が着用しているのはラグビー部創部100周年の記念ジャージー。彼らが伝統の重みと共にフィールドを駆け回る姿を見るのが今から楽しみだ。
[森口絵美理]
試合後のコメント
金勇
――今試合を振り返っていかがですか。
「前半最初2トライできて流れに乗れていたのですが、最後に東海大に押されてトライをされてしまって逆転されてしまったのが反省点です。ただ、B戦でずっと負けていたので久しぶりに勝てたのが良かったと思います」
右ロック武内慎(商4=石見智翠館)
――今試合ではゲームキャプテンでした。
「自分たちの早いセットというのを出すためにコンタクトの面で勝たなければいけないというのがありました。ずっと呼び掛けて、チームのコンタクトで勝たないとセットもできないというのは滝澤(佳之)コーチもおっしゃっていたので、そこに実際に自分たちで取り組もうという声掛けはしていました」
吉田爽
――セットプレーを振り返っていかがですか。
「前半メンバーはしっかり組めて、後半メンバーは前半の相手の組み方を見て修正したり、ラインアウトも何個かミスしたところがあったのですが、相手の強みであるモールを止めたり、アタックでもトライを取れたので良かったと思います」
土肥
――今試合で心掛けたことはありますか。
「スタンドオフという司令塔の立場なので、しっかりFW、BKに指示してやろうと思っていました。11月ぐらいからスタンドオフをしてなかったので自分からしっかり声を出して味方をしっかり盛り上げようと意識しました」
吉田輝
――今試合のテーマを教えてください。
「全体ではクイックセット、BKではコミュニケーションがテーマでした。前半、敵陣で攻めている時にいいアタックができなくて、そこでもっとコミュニケーションをBKがしていれば点につながるアタックができたのかなと思います」
仲間
――帝京大との練習試合から今試合に向けてどのように準備してきましたか。
「自分がスクラムハーフにポジションが変わったのでパスをしっかりすることと、この1週間で『1年生がよく元気がない』と言われていたので、そこのところを自分たちからよく声を出すように意識して頑張りました」
東
――次戦に向けて強化していきたい部分を教えてください。
「もう少しディフェンス面で体を張れるようにしていくことと、まだコールが少ないので声を出していきたいと思います」
関連記事 RELATED ENTRIES
-
笑顔で終わった廣瀬組/卒部試合
ラグビー 2024.02.054日、八幡山グラウンドで廣瀬組の卒部試合が行われた。グラウンドには大勢の関係者やファンが駆けつけ、朝降っていた雨も昼には止み、笑顔の絶えないにぎやかな試合となった。選手、スタッフ含め4年生29名が紫紺のジャージに袖を通し各学年との試合に臨んだ。 第1試合の1年生戦ではウイングに入った学生スタッフの児嶋基(情コミ4=明大中野)と大宮修平(理工4=明和)が躍動する。また、不京大也(営4=明大中野八王子)がラインアウトでジャンパーとなりチャンスを演出。選手、スタッフが一丸となって勝ち星を挙げた。トライを決めようとする児嶋 第2試合の2年生戦ではスクラムハーフ中山律希 (政経4=天理)が巧みなボールさばきをみせ、右ウイング山本嶺二郎 (法4=京都成章)が2トライ。「今シーズン初めてのトライだったのでうれしかった」。その後中山、山本が見事なコンバージョンキックを見せ観客を魅了した。コンバージョンキックを決める中山 最終試合の3年生戦では3年生が円陣を組み、1、2年生の花道を抜けて登場。会場の空気を上手につかむと全員ラックや、千手観音という奇策を講じ、4年生を苦しめる。それでも地力で勝る4年生がリードしラストワンプレー。廣瀬主将が4年生ベンチに声を掛けるとベンチにいた全選手がグラウンドに駆け込んだ。全員がラインアウトに参加し、心を一つにしたモールを体現。ハイブリッド重戦車の名に恥じぬ押し込みでトライを挙げた。最後のコンバージョンキックは4年生全員が次々とキックをする振りが繰り広げられ、最後に廣瀬主将が蹴りノーサイド。「最後キャプテンが蹴るって決まっていたけど、こういう形で終われたのは僕たちらしかった」(林哲平・文4=東海大相模)試合終了直後3年生たちに廣瀬主将は盛大に胴上げされ、無事卒部試合は終幕した。 全員ラインアウト 「もうとにかく楽しかった」(廣瀬)。試合を通して、ユーモアが溢れるプレーが見られ、部員はもちろん観客を笑顔にさせた。試合後には部員全員が整列し、廣瀬主将が挨拶。最後はグラウン内でそれぞれが記念撮影をするなど、各自が残りわずかとなった八幡山グラウンドでの時間を惜しんだ。『ONE MEIJI』を体現した100代目ラグビー部の悲願の夢は後輩へと託された。最後のコンバージョンキックを決める廣瀬[保坂啓太郎]READ MORE -
【瓦版】廣瀬組 悲願の日本一逃すも示した『前へ』/全国大学選手権
ラグビー 2024.02.045年ぶりの日本一奪還を目指し挑んだ全国大学選手権(以下、選手権)決勝。挑んだ相手は選手権2連覇中の帝京大。落雷や大雪など厳しい天候の中、激しい攻防を見せ奮闘するも、悲願の優勝には届かず。だが最後まで『ONE MEIJI』を体現し、2年ぶり13度目の準優勝で幕を閉じた。 「ファンと選手が一つになって日本一の集団を目指す」(左センター廣瀬雄也主将・商4=東福岡)。年内終戦に終わった昨年度から『ONE MEIJI』をスローガンにチームをつくり上げてきた。経験豊富な選手たちが多く「ここ数年を見てもレベルの高いチーム」(神鳥裕之監督・平9営卒)と期待値も高かった。だが、決して順風満帆な1年だったわけではない。春シーズン後にはネガティブな練習態度を指摘され「4年生でミーティングをした」(左ロック山本嶺二郎・法4=京都成章)。秋シーズンは感染症による選手たちの体調不良、廣瀬のケガによる欠場など予想外の問題がチームを苦しめた。しかし、その度に全員でカバーし合い『ONE MEIJI』となることで困難を乗り越えた。 迎えた決勝。落雷による試合中断や激しい降雪など厳しい環境となる。試合も先制を許し、苦しい展開に。それでも前半35分以降立て続けにトライを決め、王者・帝京大に詰め寄った。後半は、主導権を握られ劣勢に。最後まで『ONE MEIJI』となり諦めない姿勢を見せ続けるも、目指し続けた頂には一歩届かなかった。悲願の優勝とはならなかったが、試合を通して明治コール、試合後には廣瀬コールが国立競技場をこだました。また、部員席で試合を見守っていたノンメンバーたちが、涙を浮かべグラウンドの選手たちに手を振る姿も。「スタンドを見て悔しさと申し訳なさがこみあげた。だが、コールをされるともう後悔しようがない。明治を選んで主将をやらせていただいて、本当に幸せな瞬間だった」(廣瀬)。廣瀬組が最後に見せた80分間の死闘は、ファンからも選手からも愛された‶日本一のチーム〟であることを示した試合だった。 「(先輩たちは)明大の『前へ』という言葉を僕たちに明確に示してくれた。しっかり引き継いで『前へ』を体現したい」(ナンバーエイト木戸大士郎・文3=常翔学園)。4年生が残した思いは次の世代へ。この先も明大ラグビー部は皆に勇気と感動を与え続けてくれるに違いない。 [安室帆海] READ MORE -
帝京大に完敗 5年ぶりの日本一ならず/全国大学選手権
ラグビー 2024.01.145年ぶりの日本一を懸け挑んだ帝京大との決勝戦。前半は序盤こそ相手にリードを許す苦しい展開となるも終盤に2トライを立て続けに取り、12―14と反撃ムードで折り返す。しかし、後半はペナルティーも重なり流れは帝京大に。リードを広げられる中、最後まで反撃の糸口をつかむことはできず。最終スコア15―34で敗れ、2年ぶり13度目の準優勝で今年度の明大の戦いは幕を閉じた。 ◆1・13 全国大学選手権(国立競技場)▼対帝京大戦 明大15{12―14、3―20}34帝京大○ 開始早々、試合が動いた。前半3分、帝京大の左サイドへの展開とステップワークに対応できず、先制点を献上。直後のコンバージョンゴールも決まり、7―0とリードを許してしまう。その後は両者チャンスを作るもディフェンスが粘りを見せ、得点にはつながらず。前半22分には落雷の影響により選手がグラウンドから退くと、結果的に55分という長時間の中断となる。異例の状況下となり、コンディション維持が難しい中、試合再開直後にはラインアウトモールから追加点を許し、リードを広げられる。相手に流れが傾いたかのように思われたが、前半35分に反撃開始。敵陣5メートルのラックからパスで左サイドに小刻みに展開すると、最後は大外に構えた右センター秋濱悠太(商3=桐蔭学園)が3人のタックルをかわし、トライ。「前半の大事な1本目のトライを取れて良かった」(秋濱)。さらに39分、帝京大のノックオンで敵陣深くのスクラムを獲得。セット後、スタンドオフ伊藤耕太郎(商4=国学院栃木)からのパスを受けた左ウイング海老澤琥珀(情コミ1=報徳学園)が抜け出し、グラウンディング。「4年生のおかげで取れたトライだった」(海老澤)。12―14と両者譲らぬ展開で試合を折り返す。 「ハーフタイム中には、問題ない。大丈夫だと話した」(中山律希・政経4=天理)。確かな手応えをつかみ迎えた後半も雨と雪が降り続ける悪天候の中、開始。ところが、そのようなグラウンド状況の影響からか明大は立て続けにペナルティーを犯してしまい、ペナルティーゴール2本を決められ、点差を広げられてしまう。その後も必死の攻防を続けるも、相手の攻撃を止められることができず、点差が徐々に拡大。「簡単にボールを手放してしまった」(スクラムハーフ萩原周・商4=大阪桐蔭)。23分に左センター廣瀬雄也主将(商4=東福岡)がペナルティーゴールを決め、3点を返すが反撃もここまで。その後も相手の追加点を阻止できず、最後は15―34で無情にも終わりを告げるホーンが鳴り響いた。 明大の伝統に誇りを持ち、日本一奪還を掲げひたすらに走り続けた今年度。しかし、王者・帝京大の壁は高く、すぐそこにあった栄冠にはまたも届かなかった。それでも、試合後帝京大が歓喜の輪を作る中、国立競技場には廣瀬コールが巻き起こった。「本当にたくさんの方が応援してくれていたんだなと。明治を選んで主将をやらせていただいて、本当に幸せな瞬間だなと思い、いろいろな感情が込み上げた」(廣瀬)。「間違いなく100年で一番いいキャプテンだったと思う。副将として隣でラグビーができて幸せだった」(左ロック山本嶺二郎・法4=京都成章)。100周年という節目に優勝という記録は残せなかったかもしれない。だが、間違いなくチーム廣瀬の1年間は感動を与え続け、多くの人々の記憶に残っただろう。そして、その姿は次の明大の100年間を担っていく後輩たちの目にも色濃く映ったと同時に思いをつなげたに違いない。4年生が成し遂げられなかった日本一という夢を追いかけ、これからも明大ラグビー部は〝前へ〟と進み続ける。 [廣末直希]READ MORE