春の大一番! 昨年度大学王者・帝京大に勝利/第11回関東大学春季大会Aグループ

ラグビー
2022.05.30

 真冬の国立競技場に無情なホーンが響いたあの日から約4カ月半。ついにやってきた、昨年度大学王者・帝京大との一戦。取っては取り返す接戦となったが、粘った明大が見事勝利。太陽が照り付ける夏日の静岡で、今年度最初のリベンジを果たすことができた。

 

◆5・29 第11回関東大学春季大会Aグループ(エコパスタジアム)

▼対帝京大戦

 ○明大35{14―12、21―14}26帝京大

 

 試合序盤、帝京大の強靭(きょうじん)なアタックを前になかなか敵陣に攻め込めず先制トライを許してしまう。「練習から帝京大をターゲットにしていたが、思っていたより圧があった」(左ウイング石田吉平主将・文4=常翔学園)。しかし前半22分、流れが変わる。敵陣5メートルライン付近でのマイボールラインアウトからモールでそのまま前進し、フッカー松下潤一郎(法3=筑紫)がグラウンディング。「モールが行ける方向に全員で統一していくことができ、まとまって組むことができた」(松下)。昨年度FW勝負で負けていた相手に、明大の重戦車の力を見せつけた瞬間だった。その後相手にトライを献上するも、今度は個人技が光る。前半38分、相手ボールのスクラムを押し込みマイボールに。スクラムから出したボールを左へつなぎフルバック安田昂平(商2=御所実)が大きくゲイン。そのままボールを足に掛け、相手ディフェンスを振り切る俊足で走り切りトライを決めた。FWとBKの見事な連携プレーで会場も盛り上がりを見せ、明大は14―12の2点リードで試合を折り返す。

 

 後半も接戦は続く。後半7分、明大のラインアウトからモールを組み松下が持ち込みトライを挙げる。このまま帝京大を突き放したかったが、昨年度大学王者は簡単な相手ではなかった。ディフェンスのスキを相手のBK陣に走られ、立て続けに2トライを献上。逆転を許してしまう。「反省をするよりも次のプレーをどうするかを重点的に話した」(左ロック山本嶺二郎・法3=京都成章)。昨年度の悔しさを胸に戦っている紫紺の戦士たち。決してこのまま終わるわけにはいかなかった。「技術もあるが結局気持ちの部分。気持ちで負けたら(試合も)負ける」(大賀宗志・営4=報徳学園)。後半34分、そんな思いがプレーに現れた。敵陣5メートルラインでのマイボールラインアウトからモールを形成し、FW陣で前へ突っ込んでいく。そして最後は紀伊遼平(営4=桐蔭学園)が片手で意地のグラウンディング。コンバージョンゴールも決まり、28―26と逆転に成功した。しかしこれで終わらないのが今試合の明大。試合終了間際、敵陣でフェーズを重ね攻撃を続ける中、スタンドオフ伊藤耕太郎(商3=国学院栃木)が空いたスペースに走り込んできた秋濱悠太(商2=桐蔭学園)にパス。秋濱からパスを受けた安田が相手を振り切り、勝利を決定づけるトライを決めた。「(試合が)拮抗(きっこう)していた中でのトライでとてもうれしかった」(安田)。そしてノーサイド。最終スコア35―26で強敵を相手に大きな勝利を手にした。

 

 昨年度の全国大学選手権・決勝の帝京大戦で目立っていたのは、セットプレーやコンタクトにおいての劣勢。しかし今試合で見られた明大は昨年度とは全く違ったものだった。スクラムでは終始優勢に立ち、5本のトライのうち3本はラインアウトモールからのトライ。「(スクラムで)8人で一緒のタイミングで押すことを意識した」(松下)。ディフェンス面でも、フィジカルの強い帝京大に対して、当たり負けすることなく食い止めるシーンが何度も見られた。「ゴール前に迫られてもそこで反則をしないでやり切れて良かった」(石田)。今試合の勝利は、昨年度の悔しさがあってのものだろう。最終目標である大学日本一に向けて、明大ラグビー部は大きな一歩を踏み出した。

 

[豊澤風香]

 

試合後のコメント

石田

――今試合のゲームプランを教えてください。

 「フィジカルバトルで負けないということです。昨年度はフィジカルで負けていたところがあったので、体を張って全員で負けないようにしていました。あとは反則をしないことがテーマでしたが、何回も反則してしまったのでそこが課題だと思います」

 

松下

――ラインアウトを振り返っていかがですか。

 「ラインアウトは僕のミスが多くてあまり良くなかったです。(原因は)僕が相手のディフェンスを意識しすぎて高めに投げてしまったことです。自分の中でプレッシャーを受けてしまいました」

 

山本

――チーム全体のディフェンスを振り返っていかがでしたか。

「ディフェンスは試合前にダブルタックルで入ろうと話し合っていました。それを全員意識していて、コンタクトのところで負けることはなかったです」

 

伊藤耕

――全体を通して良かった点を教えてください。

「個々のコミュニケーションで、いつもより声掛けができていたので良かったと思います」

 

安田

――これからの意気込みを教えてください。

  「秋シーズンに向けてしっかりと体を作って課題点を修正し、全勝で勝ち切りたいと思います」

 

大賀

――試合前はどのようなことを意識していましたか。

 「昨年度1度も勝てていない相手で、全員リベンジしたいという気持ちがありました。しっかりと気持ちが入った準備ができていました」