関西王者・天理大に完敗 国立決勝を前に潰える/全国大学選手権
無情にもノーサイドを告げるホーンが聖地に鳴り響く。歓喜に湧く漆黒のジャージーを尻目に紫紺の戦士たちは肩を落とした。4年連続の決勝進出を懸けた全国大学選手権・準決勝。相手は一昨年同じ舞台で優勝争いを繰り広げた天理大。開始2分で先制を許すと、その後一度もリードを奪うことはできなかった。東西リーグ戦王者の直接対決は、15―41で西の横綱に軍配。11日に控える国立を前に、箸本組は姿を消した。
◆1・2 全国大学選手権(秩父宮ラグビー場)
▼準決勝 対天理大戦
明大15{5―19、10―22}41天理大〇
観衆9000人に見守られる中、試合は早々と動く。前半2分、ディフェンスの空いた大外にボールを振られ、先制点を献上。再三、課題として挙がっていた「試合の入り」で後手を踏んだ。以降、試合は均衡状態にもつれ込む。得点が動かぬまま迎えた23分、風穴をこじ開けたのは明大だった。ピッチ中央でのラインアウトからボールを展開。フェーズを重ねながらじわりじわりと敵陣に進出していくと、ディフェンスの間隙を突いた右ロック髙橋広大(情コミ4=桐蔭学園)から右ウイング石川貴大(政経4=報徳学園)にボールがつながり、右隅にグラウンディング。同点に追いついた。
勢いに乗じたかったが「ディフェンスで差し込まれてしまった」(スタンドオフ森勇登・政経4=東福岡)。その後は天理大の息もつかせぬ猛攻に翻弄(ほんろう)された。自陣での苦しい時間が続く中、トライを連取され5―19。2トライ差を追いかける展開で前半を折り返した。
後半に入っても形勢は崩せなかった。開始10分で2トライを先んじられてしまう。それでも執念を見せ、12分、15分と立て続けにトライを奪取。光明を生み出したが、反撃の狼煙(のろし)もここまで。終盤さらに追い打ちをかけられ、最終スコア15―41。漆黒の壁は想像よりもはるかに高かった。
「相手に立ち向かっていく。何度でも立ち上がる」(スクラムハーフ飯沼蓮・営3=日川)。今試合、掲げたチームテーマは〝Stand Up〟。試合終了間際、逆転が困難な状況に立たされても、紫紺の戦士たちは闘志を燃やし続けた。ペナルティーを獲得した後半39分、選択したのは今年1年間、ずっと強みにしてきたFWのスクラム。「このままでは終われない」(左ロック片倉康瑛・法4=明大中野)。ノーサイドの瞬間まで死力を尽くした。
「敗者になるな」。試合後、田中澄憲監督は選手たちに声を掛けた。巣立つ4年生も、残るメンバーも次なるステージに向け、前を向く。「今までやってきたことを否定するつもりはない。切り換えて次に進みたい」(飯沼)。王座奪還、国立決勝、今年成しえなかったこれら〝4文字〟は次の世代へと託された。
[髙智琉大朗]
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