水谷(隼)準決勝苦戦もV2達成/ジャパントップ12

1999.01.01
 劣勢をはねのけた。全日本選手権男子単を圧勝で優勝した男が、もがき苦しんで優勝を果たした。準決勝でゲームカウント1ー3まで追い込まれるも、そこから逆転勝ち。決勝ではストレート勝ちをおさめ、優勝賞金100万円を獲得。大会2連覇を達成した。

 幾度となく窮地に立たされながら、耐えて、耐えて逆転勝ちを呼び込んだ。笠原(早大)との準決勝。相手の勢いに圧倒され、ゲームカウント1ー3と追い込まれたが、土壇場になってようやく王者のギアが入った。
 「リードされるまで気持ちが乗らなくて、やっと5セット目くらいから声も出て、足も動いてきて気持ちも乗り始めた。1-3となった時、全日本ではなかった追いこまれた場面になって逆にわくわくした」(水谷(隼))。
 全日本で見せたような強打は鳴りを潜めたが、強心臓の男は要所でラリーを制し着実にポイントを重ねて巻き返した。 
 タイムも有効に使い危機を乗り越えた。ゲームカウント3-3の最終ゲーム。ここでも水谷(隼)は4-7と劣勢に立たされた。これ以上のリードは許されない場面で、水谷(隼)がタイムを取った。1分間のタイムの後、3連続で点を奪い同点とし、流れをグッと引き寄せた。たまらず笠原もタイムをとったが、刻(とき)すでに遅し。水谷(隼)は一度引き込んだ流れを渡さず、一気に試合を決めた。フルセットの末、ゲームカウント4-3で逆転勝ち。勝利を決めた瞬間、ジャンプして雄叫びを上げた。

 吉村(野田学園高)との決勝では、吹っ切れたように暴れた。準決勝で世界選手権代表の張(東京アート)を倒したシンデレラボーイをゲームカウント4-0で下した。「準決勝の苦しい試合を乗り越えたことで決勝で良い試合ができた」(水谷(隼))。どんどん強打してくる高校生をあざ笑うかのように、多彩なサーブにバックハンドや緩急を織り交ぜかわした。「今回は決勝で戦った選手もだけど、全体的に若い選手の多い大会だった。その中で見たら自分は中堅だけど、まだまだ世代交代はさせない」と水谷(隼)。王座のイスを譲る気は毛頭ない。

 100万円の使い道に関しては「去年はチームメイトにご飯をごちそうしたけど、今年はフルコースにしてあげたい」とチーム思いの一面を見せ、さらに去年よりランクアップを約束。また漫画・ワンピースの単行本60冊など「賞金払いで大会前にいろいろ買ってしまったので、優勝するしかなかった」と負けられなかった意外な理由も漏らした。

 試合内容はヒヤリとさせられる場面があったが、優勝インタビューでは「結果はよかったが内容には満足していない。もっと上を目指したい」と水谷(隼)。自信に溢れた王者の姿だった。