(11)世界遺産 空から見る地球の素顔
2年の後期、私は友達と同じ授業が少なく、朝が寒いため蒲団から出る気もせず、先生とは仲良くなれず、とてもとても1時間半ほどかけてまで大学へ行く気がしなかった。実際行っていなかった。寝て生きていた。
そんな腐っていた時期に出会った授業、地理学B。ある日、「世界遺産 空から見る地球の素顔」というDVDを見せられた。教室は暗くなり「あ、絶対寝てしまう」と私は思ったが、スクリーンに次々と映し出される美しい景色に目が覚めた。空から見る地球の素顔と言う通り、鳥になって世界を飛び回っているような気分だった。キト市街(エクアドル)、グレートバリアリーフ(オーストラリア)、ロワール渓谷(フランス)、カトマンズ盆地(ネパール)、知床(日本)……夢中でメモを取っていた。授業で感じたことのないわくわく。一番感動したのはアメリカ、グランドキャニオン。広くて大きくて地球ってすごい!家で寝ている場合じゃない!!と強く思った。いつか見に行けることを願って習字に残した。
就活も近づき単位にも危機感が出てきはじめ、遊びたくてもお金はなく、何もできず憂鬱になるこの頃。しかしグランドキャニオンと書いた紙はあの時のわくわくを思い出させる。学生という身分では、すべての願いを実現することはできないかもしれない。しかしだからといって、出会いや発見がないとは言い切れない。ふとしたきっかけで興味の幅が広がるのだ。寝ているばかりではもったいない。いますぐに空からグランドキャニオンを見下ろすことはできないが、そのためになにかできることはあるはずだ。いつかこの目に焼き付けるまで。
第12回は佐藤慧が担当します。
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