(2)年長者と若者でともに高めあえる関係を築き、豊かな社会を

1999.01.01
(2)年長者と若者でともに高めあえる関係を築き、豊かな社会を
 第2回の担当は大根田千尋です。

 ウィンブルドン2009。鮮やかな緑のコートの中、大会規定の涼しげな白いウェアとは対照的に息をつく暇もない熱い戦いが繰り広げられた。王者に返り咲きグランドスラム最多優勝記録を樹立したフェデラーを筆頭に、決勝戦で予想外の大健闘を見せたロディックやベスト8入りしたフェレロにヒューイット……。今大会は“ベテラン勢の復活”に彩られた。

 その中に、クルム伊達選手がいた。主催者推薦枠で13年ぶりに戻って来たウィンブルドンの舞台。彼女は長年の経験から培った知恵とテクニックを駆使して戦った。まさにベテランのテニスだった。昨年4月に復帰を決意したクルム伊達選手。復帰の理由を「若い選手へ刺激を与えるため」と語っていた。

 孔子は「故きを温めて新しきを知る、以て師と為るべし」と言っている。古いことに習熟してさらに新しいこともわきまえてゆけば、人の師となることができるという意味だ。この言葉をヒントに考えるならば、古いものと新しいものが共存する社会こそ立派な社会であるとわたしは考える。

 今の社会はどうか。確かに古いものと新しいものは存在している。しかしわたしには、食なら和食と洋食、音楽なら演歌とJ-POPなど、年長者と若者ではあらゆる分野においてジャンルがはっきりと区切られているような、共存とは遠いイメージだ。互いに別々の世界を創造し、殻にこもってしまってはいないだろうか。年長者は若者に知恵を授け、若者は年長者を押し上げる躍動を見せる。そういった関係が理想ではないか。

 「刺激を与える」。クルム伊達選手は、本来若者がなすべき役割までも担っている。社会においてそうならないよう、若者は努力していくのがよい。不況に新型インフルエンザと、脅威の影にさらされている今こそ、年長者と若者で共に明るい社会をつくっていきたい。しかし、まだまだわたしたちの関係は希薄だ。まずは、互いの心の内をしっかりと理解し合うことから始めようではないか。

[大根田千尋]

第3回は中田浩貴が担当します。