(40)~FINAL CHALLENGE~ 新妻汰一「先輩の理想を追いかけ、自分たちらしい4年生像を作り上げた」

ラグビー
2019.11.06

 「真価が問われる代」。武井日向主将(商4=国学院栃木)は今年の最上級生についてこう語る。苛烈極まる対抗戦、そして連覇の懸かる大学選手権へ。激戦のさなか、4年生一人一人に今シーズンに懸ける思いについてうかがった。

 

第13回は新妻汰一(政経4=佐野日大)のインタビューをお送りします。(この取材は10月27日に行われたものです)

 

――明大での4年間を振り返ってください。

 「年を重ねるごとに上級生に上がる実感がありました。引っ張ってもらう立場だった下級生から引っ張らなければいけない立場になった時に今までの過去の4年生を見てきて、自分たちは何をしなければいけないかという先輩の理想像があって、それを追いかけていました。先輩たちの理想を追いかけて、自分たちらしい4年生の在り方を見つけたと思います。4年間積み上げてきたものは様々あるのですが、最終的には意地につながると思っています。4年間積み上げてきた中で、出し切るということもそうなのですが、最後は気持ちの部分がとても大事になってくるということを学びました」

 

――学年が上がるごとに成績が上昇しました。

 「雰囲気は入学当初とは全く違います。年々先輩たちが良くしていってくださったものがあります。それを自分たちは引き継いでいって、真価という意味で、それを自分たちがどういう価値を見出せるかということをこの1年間は考えてやっていました」

 

――明大に入ったきっかけは何ですか。

 「誘いを受けて、最初は高校の監督と話し合いました。話し合った結果、明治でラグビーをやるのが最適なのではないかという結論が出ました。自分が次のステージにチャレンジできる環境は明治しかないと思い入りました。帝京大と迷いましたけど、高校の監督とすごく話し合って、明治の方が自分のポテンシャルを生かせるんじゃないかという結論に至りました」

 

――プロップ、特に3番へのこだわりはありますか。

 「3番はスクラムの中で相手の1番と2番を両肩で背負わないといけないポジションです。自分の中では、3番が前に出なければ、スクラムは始まらないと思っているので、仕掛けるポジションであり、耐えるポジションであるという両方を兼ね備えているのが3番だと思います」

 

――スクラムへのこだわりはありますか。

 「すごくあります。ゲームの流れという面でも、セットプレーはとても重要です。スクラムが優位に立てば、バックスにも気持ち的にアドバンテージが生まれますし、チームに追い風になります。大事な場面でのスクラムは勝敗にも直結してしまいます。スクラムからチームを盛り上げるということができるので、スクラムには最もこだわってきました」

 

――最終学年はここまでいかがですか。

 「上のチームに行ったり、下のチームに行ったり行き来が激しい位置に自分はいます。下のチームに行くと下級生が多く、まだ理解していないことが多く出てきます。去年の先輩方から自分たちが教わったのと同じように僕から下級生に技術のことやアイデンティティを教えていかないといけないと感じます」

 

――4年間で印象に残っている試合はありますか。

 「やはり去年の大学選手権決勝です。上から下までみんなが優勝というベクトルに全員が向いていて、優勝した時チーム全体で心の底から喜べたこと、それが何よりも印象に残っています」

 

――今年も優勝をつかむために、これからプラスしなければいけない要素は何ですか。

 「4年生がチームを統率して引っ張っていかなければいけないです。まだまだ自分たちが4年生として下に伝えられていない部分がたくさん残っていると思うので、4年生としての責任を最後まで果たそうと思います」

 

――新妻選手はチームの中でどういう役割を果たしていますか。

 「下のチームで出場することが多い中で意見が出やすい環境は作ろうということは常に思っています。誰でもしっかり話を聞くということはすごく意識しています。下の学年が言いづらいことを積極的に発言できる環境づくりが大事だと思います」

 

――4年間で楽しかった思い出は何ですか。

 「食べることが好きなので、どこが美味しいという話を聞いてグルメ旅をしたことです(笑)。食べ物なら何でも好きです。特には寿司ですね。東京のグルメをSNSで探して休日は食べに行きます。今のおすすめは上野にある『板前寿司』という寿司屋です。平日限定で食べ放題をやっているお店です。種類が多くて、大好きです」

 

――チームはこれからさらにまとまらなければいけない時期に突入します。

 「学生として最後なので、(武井)日向(主将・商4=国学院栃木)1人に背負わすことなく、4年生全員まとまって、チームを牽引していきたいです。最後は1年生から4年生まで明確に同じビジョンが見えるように、下のチームにいることが多い自分だからこそ、伝えいければいいと思います」

 

――新妻選手にとって〝真価〟とは何ですか。

 「自分が2年生の時に決勝戦まで進んで、3年生の時に優勝しました。これからチームは勝敗で語られる時期が来ます。しかし、ただ勝つだけでは優勝する意味もないので、普段の私生活から真の日本一のチームになれるように環境を整えていきたいです。4年生主体で頑張っていきます」

 

――ありがとうございました。

 

[上松凜助]

 

◆新妻 汰一(にいづま・たいち)政経4、佐野日大高、187センチ・122キロ

偏りなく仲が良いと語る今年の4年生。その中でも特に良い選手として成田(慎一郎)選手(文4=三本木農)、熊田(裕太)選手(政経4=東海大仰星)、石井(洋介)選手(情コミ4=桐蔭学園)を挙げた