【フィギュア】(11)シーズン直前インタビュー 周藤集
五輪イヤーが幕を閉じ、フィギュア界は大きな世代交代を迎えた。自己研さんに励んだオフシーズンを経て、いよいよ本格的なシーズンの幕が開く。新戦力として明大に加わった選手もいれば、今季限りで競技生活に区切りをつける選手もいる。新たな時代の始まりを前に、それぞれは何を思うのか。本インタビューでは、その胸の内をお届けする。
(この取材は9月25日に行われたものです)
第8回は周藤集(政経2=ID学園)のインタビューです。
――現在のコンディションはいかがですか。
「今、シニアデビューに向けて4回転を試合できちんと決められるように練習している状態です」
――オフシーズン中の思い出は何かありますか。
「リンクメイトとご飯に行ったり、サウナに行ったり、あとはみんなで映画見たりしています」
――後輩もできて迎えた明大の野辺山合宿はいかがでしたか。
「駿くん(佐藤・令8スケート部卒)と佳生(三浦・政経3=目黒日大)と光翔くん(大島・令7政経卒)がいて、みんな4回転を跳んでいてすごく今までで一番勉強になる合宿です」
――具体的に4回転はどのように教わったのか詳しく教えてください。
「見て学ぶ部分もたくさんあったのですが、佳生からは昔から4回転などいろいろなことを教えてもらっていて。今回の合宿でも『ちょっと肩が回りすぎている』とかいろいろ教えてもらったので、教わったところを整理して、4回転につなげていきたいなと思っています」
――7月のアクアカップの際に2週間後にNHK杯の選考会があるとおっしゃっていました。NHK杯の選考会についてはいかがでしたか。
「選考会では、あまり完成度が高くない4回転を入れたことによってジャンプが失敗してしまって、他もちょいちょいミスがあって選考からは漏れてしまって。一瞬というか、結構落ち込んでいたのですが、あとは全日本(全日本選手権)に向けて全力で練習していくしかないなと思って、最近はリセットして全日本に向けて頑張っています」
――選考会では緊張しましたか。
「練習でも跳べていない、4回転を入れるというのはめちゃくちゃ緊張しました」
――4回転について試行錯誤されていると思います。コンスタントに跳べていた時期と、成功のカギは何だと思われますか。
「骨折の直前までは普通にコンスタントに降りていて。やはり骨折してからシングル(ジャンプ)などからやり始めて、全部感覚が違う中で4回転まで感覚を戻すのがなかなか難しくて、今まだ迷走中という感じです」
――骨折してから感覚が違うというのは具体的には何かありますか。
「骨折前よりもいろいろなところが(悪くなっていて)『今日はここが調子悪いな』『足のここら辺が調子悪いな』といった日もたくさんあったりします。そういう点でも全然感覚が違っていってしまいますし、あとはエッジの乗る位置などもまた全部一からだったので、なかなか調整が難しかったです」
――うまくはいかない中で練習のモチベーションはどのように保っていますか。
「モチベーションがあまりなくても、とにかく練習するしかないので。あとは骨折前に対等に戦っていたライバルたちに、ちゃんともう一度同じフェーズで戦えるところまでやはり戻したいっていう気持ちが一番強かったです」
――すでに何回か大会に出場していますが、改めてジュニアとシニアの違いは何かありますか。
「ジュニア3年目の頃よりかは結構筋肉もついて少し鈍い感じも出てきているので。大人の体になっていくことによって鈍さが出てきて、それが出すぎると4回転では瞬発性が必要になって、そこ(の調整)が今難しいところです」
――昨季の全日本選手権の結果から強化指定選手Bに指定されました。その点について何かありますか。
「やはりまず強化選手に戻って、トップの人たちと一緒に練習したいっていう気持ちがすごく強かったので。やはりみんなと練習したいっていう気持ちで強化選手まで戻れてすごく良かったです」
――一緒にスケートをしているチームの方やライバルの方たちが自分の中で励みになっているということはどのような時に感じますか。
「やはりMF(フィギュアスケートアカデミー)にはいろいろな強い選手が今年男子で来て、みんな練習にさらに喝が入っている感じがして。最近効率の良い練習にばかりに目がいってしまって、ジュニアの時のような少しがむしゃらにひたすら練習するという心を忘れていたなというふうに思いました。なので、最近はジュニアの子達を見習って、自分も跳ぶ本数を増やしてみたりして、効率もいい、質と量を両方できたら一番いいことだと思っています」
――「効率のいい」というのは、具体的にはどういった練習メニューだったのでしょうか。
「やはり骨折してからいろいろなところが痛くなるので、試合前は、無駄に跳びすぎない、フォームが毎回違うのに跳ばないというような効率のよさでした。ですがジュニアの頃はそういったことを気にしすぎず、自分がジャンプを跳んでいることを楽しんでいた感じだったなと思って。とは言ってもやはりジュニアの頃は今よりも試合でジャンプがはまる確率も悪かったので、今のよさを残しつつ、ジュニアのころの熱心というか、楽しさをもまた付け加えられれば、骨折前よりもさらにいい自分になれるのではないかなとは思っています」
――現在のジャンプはどのような感覚なのでしょうか。
「トリプルアクセルまでは、あまり考えすぎなくても跳べるジャンプという感じで、少しこなす作業になってしまっていて。4回転はやはり全然確率とかも良くないですし、まだほんの少しだけ他のジャンプと比べて恐怖心もあるので、4回転は締めるだけでもちょっと楽しいという感じです」
――では、今季のプログラムについて移っていきます。まずはSP(ショートプログラム)について教えてください。
「今季のSPはイルディーヴォの『ある愛の歌(Grazie Amore Mio)』という曲で、『もう天国に行ってしまった恋人を想うように踊れ』と先生に言われて、シーズンではずっとそれをイメージして練習しています」
――FS(フリースケーティング)についてはいかがですか。
「FSは『エクソジェネシス(Exogenesis:Symphony Pt.3(Redemption))』という曲で、やはり前半の絶望、暗くて落ち着いた曲調と後半からどんどん盛り上がっていくところでしっかりメリハリをつけていければいいなと思っています」
――曲はどのように決めたのでしょうか。
「普段は先生に2、3曲候補を提示されるのですが、今年は自分で先にこれを滑りたいと言って、先生も『今年はそういう系統の曲でもいいかもね』と言って決まりました。(それはSP、FSどちらともでしょうか。)そうですね。」
――滑りたいと思ったきっかけはありますか。
「SPは元々僕がとても好きな曲だったので選んで、FSは去年ソ・ミンギュ選手(韓国)が使っていて、すごく滑らかに踊っていいなと思ったのと、2023年の全日本、僕が骨折した時の全日本で山本草太くん(中京大)が使っていて、すごいいいなと思って僕も使いました」
――表現はどのように自分の中で組み立てていますか。
「歌詞があったら訳して、自分でその曲の中の人がどういう感情だったり、どういう風景の中でこの曲を踊っているのかとか、あとは曲調に一番合う動きを自分で鏡で見て表現してみたりします」
――表現のブラッシュアップという点ではどういったことを意識していますか。
「リンクの先生方からは動きが滑らかすぎるとか、弱い曲調の時はそれでいいけれど、強い曲調に切り替わる時にまだ滑らかな動きをしていると言われることが多くて。普段あまり感情とかが目に見えてわかるタイプではないので、踊りでははっきりと指先までしっかり力強くするようにしています」
――プログラムの注目してほしい部分教えてください。
「SPはステップシークエンスでの細かい足さばきだったり、正確にエッジが踏めるように練習してきたので、そこを見てほしくて。FSは前半から、皆さんの楽しいところから後半にかけて盛り上がっていくメリハリのところと、コレオシークエンスのイーグルを見てほしいです」
――前回のインタビューで、オフシーズンからきちんと自分のやることを考えて、ひたすら努力する必要があるとおっしゃっていました。自分のやるべきことというのは何と考えて、今どのような練習をされてらっしゃいますか。
「やはり4回転はもちろんで、あとは中庭先生(中庭健介氏)にも言われているのはシニアの人たちと対等に1年目から渡り合うには、とにかくスケーティング、ジャンプとジャンプのつなぎで、ジャンプを降りてすぐに表現に向かうというところをずっと練習していきます」
――スケーティングの面ではどのようなことを意識されていますか。
「僕は昔からエッジを深めにしてしまう特徴があって、練習中でも深く踏みすぎて、上半身も上についていってしまって、転んでバランスを崩してしまうことが多くあって。東京ブロックのSPでも、ステップで転んだりして、ちょっとこれはまずいなということで、スケーティングのレッスンを入れてもらいました。エッジを深く踏むけれども上半身はきちんと止まったまま自分のエッジがどこに乗っているかを把握する練習をしています」
――来シーズンとか新しく始まるシーズンに向けて、具体的にどんなシーズンにしていきたいかっていうのをお願いします。
「僕の中で、NHK杯の選考会で負けたのが本当に悔しかったので、シニア1年目のシーズンとしてはこの選考会に出ていたメンバーの人たちにはやはり全日本で勝ちたいという思いが強いので。一番は全日本でしっかり先輩方に食らいついて、勝つことです」
――現在のプログラムの完成度は自分の中でどれぐらいだと感じていて、よくしていくためにはどういうところを意識したいですか。
「ついこの前、中庭先生にまだ全然プログラムできてないと言われたので、伸びしろがあると思っています。今は40%ぐらいでシーズンも始まっているので、ちょっと焦り気味ですが、どんどん全日本でしっかりピークを迎えられるようにしたいです」
――やはり中田璃士選手(西武グループ)も意識されますか。
「一番身近にいますし、ジュニアからずっと一緒に戦ってきたのでそうなのですが、やはり今、技術的に全然勝てるレベルにはまだいけてないので、まずは選考会メンバーにしっかり勝てるようにという目標を立てています」
――では最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
「いつも応援ありがとうございます。今シーズンはきちんとシニアの選手だなと思ってもらえるぐらいのスケーティングだったり、表現力だったりをしっかり大会で見せれるように頑張ります」
――ありがとうございました。
[藤岡千佳]
※写真は本人提供
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