【フィギュア】(8)シーズン直前インタビュー 菊地竜生

 五輪イヤーが幕を閉じ、フィギュア界は大きな世代交代を迎えた。自己研さんに励んだオフシーズンを経て、いよいよ本格的なシーズンの幕が開く。新戦力として明大に加わった選手もいれば、今季限りで競技生活に区切りをつける選手もいる。新たな時代の始まりを前に、それぞれは何を思うのか。本インタビューでは、その胸の内をお届けする。

(この取材は9月28日に行われたものです)

第5回は菊地竜生(政経4=目黒日大)のインタビューです。


――現在のコンディションはいかがですか。
 「現在は大きなケガもなく、コンディションは比較的良い状態です。シーズン序盤なので、まだまだ伸ばしていける部分はありますが、練習の中でも少しずつ自分の感覚が戻ってきています。ここから試合を重ねながら、技術面と表現面の両方をさらに仕上げていきたいと思っています」

――現在重点的に取り組んでいる練習があれば教えてください。
 「今はジャンプの安定感を高めることと、プログラムを最後まで落とさず滑り切るための体力作りに重点を置いています。特に今シーズンは、一つ一つの要素の重要度がより高くなるので、練習でも試合を意識して、質の高い演技を繰り返せるように取り組んでいます」

――オフシーズン中の思い出はありますか。
 「オフシーズン中に家族で北海道旅行に行ったことが思い出に残っています。普段は練習やそれぞれの予定で家族みんなでゆっくり過ごす時間がなかなかないので、久しぶりに家族で旅行できて楽しかったです。おいしいものを食べたり、観光したりしながらリフレッシュすることができて、シーズンに向けて良い切り替えにもなりました」

――明大の野辺山合宿は今年で最後となります。参加されていかがでしたか。
 「大学生活最後の野辺山合宿ということで、今までとは少し違った感覚がありました。毎年当たり前のように参加していた合宿が最後になると思うと寂しさもありますが、これまで一緒に練習してきた仲間たちと最後の合宿を過ごせたことは良い思い出になりました」

――先日行われた東京夏季大会について振り返りをお願いします。
 「シーズン最初の試合ということで、まずは今の自分の状態を確認するという意味合いが大きかったです。良かった部分もありましたが、まだ練習でできていることを試合で出し切れていない部分もありました。今回見つかった課題をしっかり練習に持ち帰って、次の試合につなげていきたいと思います」

――今年のSP(ショートプログラム)について教えてください。
 「今シーズンのSPは、最後まで自分自身と戦い続けるようなプログラムになっています。疾走感と力強さを大切にしていて、短い時間の中に、自分の持っているものを全部詰め込んだプログラムです」

――SPのラストは自分との戦いとのことですが、体力面での工夫はありますか。
 「最後までしっかり動き続けられるように、陸上トレーニングやプログラムを通した練習を意識しています。特に最後の部分で疲れてしまうと、ジャンプだけではなく表現にも影響してしまうので、疲れている状態でも動きの質を落とさないことを意識しています」

――SPのイチオシポイントを教えてください。
 「やはり最後のステップの部分です。そこまで積み上げてきたものを最後一気に出し切る構成になっているので、最後まで見ていただけたら嬉しいです。また、ジャンプだけではなく、振付の部分にも注目してもらいたいです」

――FS(フリースケーティング)は『東京喰種(トーキョーグール)』ですが、選曲の経緯を教えてください。
 「以前から『東京喰種』の作品が好きで、あの独特な世界観を自分のスケートで表現してみたいと思ったことがきっかけです。音楽もすごく印象的で、力強さだけではなく、葛藤や苦しさ、感情の変化も感じられるので、フィギュアスケートで表現したら面白いんじゃないかと思いました」

――FSの中で最も力を入れている部分を教えてください。
 「曲の中での感情の変化をしっかり見せることです。『東京喰種』には激しい部分だけではなく、繊細で苦しさを感じるような部分もあるので、ただ力強く滑るだけではなく、音楽に合わせて感情を変化させることを意識しています。」

――これまでのプログラムでも曲の持つ世界観を存分に表現されてきてたと思います。今回のフリーではどのような表現を心がけていますか。
 「今回は特に強さと弱さの両方を表現したいと思っています。『東京喰種』の世界観には、戦う強さだけではなく、自分自身の中で葛藤するような部分もあるので、そういった感情までスケートを通して伝えられたらと思っています」

――両プログラムの振付師である菊地里菜さんは実の姉でもありますが、いつもどのような指導を受けるのでしょうか。
 「姉からは技術的なことだけではなく、この動きは何を表現しているのかという部分をかなり細かく言われます。姉だからこそ遠慮なく言ってもらえる部分もありますし、逆に自分も思ったことを言えるので、何度も話し合いながらプログラムを作っています」

――今シーズンの衣装についても教えてください。
 「母が衣装を作ってくれているので、プログラムの世界観に合わせて細かいところまで相談しながら作っています。既製品ではなく、自分の演技や振付に合わせて作ってもらえるので、衣装も含めて一つの作品として見てもらえたらうれしいです」

――現在のジャンプの調子はいかがですか。
 「少しずつ安定感は出てきています。ただ、シーズン序盤なので、まだ完璧とは言えません。試合になると練習とは違う緊張感もあるので、どんな状況でも自分のジャンプを跳べるように、今は成功率を高めることを意識しています」

――新ルールではジャンプの本数が減る分、重要度は増すとおっしゃっていました。基礎点が高くなる4回転ジャンプやトリプルアクセルの状態はいかがでしょうか。
 「トリプルアクセルは、今シーズンの中でも特に重要な要素だと考えています。調子がいい時の感覚はつかめてきているので、あとはそれを試合でも安定して出せるようにしていきたいです。1本のジャンプで演技全体が変わるので、技術だけではなくメンタルの部分も含めて準備していきたいと思っています。4回転ジャンプに関してはまだ調整中といった感じです」

――昨シーズンは成功イメージをつかむことが重要だとおっしゃっていました。現状二つのプログラムで成功のイメージをつかめていますか。
 「SPに関してはかなりイメージはできてきています。練習の中で良い演技ができる回数も増えてきているので、その感覚を試合でも再現できるようにしていきたいです。新FSでは試合でしっかり成功が出来ていないので次の試合で感覚を掴めたらと考えています」

――ついにラストイヤーが始まります。現在の心境を教えてください。
 「本当にあっという間だったなという気持ちがあります。大学4年間の最後ということで寂しさもありますが、それ以上に最後だからこそ悔いなくやり切りたいという気持ちが強いです。これまで積み重ねてきたものを全部出し切るシーズンにしたいと思っています」

――昨年度出場の叶わなかった全日本選手権への意識はありますか。
 「もちろん強く意識しています。昨年は出場することができなかったので、今年はまず全日本選手権の舞台に立つことを一つの大きな目標にしています。そのためにも、目の前の試合で一つ一つ結果を積み重ねていきたいです」

――以前のインタビューで来シーズンでは「自身の望む結果を出し続けたい」とおっしゃっていました。具体的に「自身の望む結果」とはなんでしょうか。
 「自分が練習してきたことを試合でしっかり出し切って、その結果として自分自身が納得できる演技をすることです。もちろん順位や得点も大切ですが、それだけではなく、今の自分ができる最高の演技だったと思える試合を増やしていきたいです」

――改めて今シーズンの目標をお願いします。
 「まずは全日本選手権に出場することです。そして、出場するだけで終わらず、自分がこれまで積み重ねてきたものを全て出し切って、納得できる演技をすることを目標にしています。大学生活最後のシーズンなので、結果だけではなく、自分自身がやり切ったと思えるシーズンにしたいです」

――最後にファンの方々へメッセージをお願いします。
 「いつも応援してくださり、本当にありがとうございます。今シーズンは大学生活最後のシーズンになります。これまで応援してくださった方々への感謝を演技でお返しできるように、一試合一試合大切に滑っていきたいと思います。SP、FSともに自分らしい演技をお見せできるよう頑張りますので、最後まで応援していただけたらうれしいです」

――ありがとうございました。

[藤岡千佳]

※写真は本人提供