インカレ事前インタビュー③ 川島朝陽「誰よりも覚悟がある」/日本学生選手権
9月3日から4日間、大学競泳界最大の大会・日本学生選手権(インカレ)が開催される。昨年10月から『Leg4cy』というスローガンのもと、各大会で活躍してきた明大水泳部競泳部門。その集大成として、男子は総合得点500点以上での優勝、女子はシード権の維持を目標にインカレに臨む。
今回は川島朝陽(商4=淑徳巣鴨)のインカレ事前インタビューをお届けする。
(このインタビューは8月25日に電話にて行われました)
――ラストインカレを控えた現在の率直な気持ちを教えてください。
「率直な感想としては、まだ引退するという実感はあまりありません。一方で、今は素直にワクワクしている気持ちが大きいです」
――今年のインカレでは男子100メートル平泳ぎと男子200メートル平泳ぎにエントリーされています。それぞれの目標を教えてください。
「100メートルは、1分00秒5を切ってメダルを獲得することです。200メートルは、2分9秒台、10秒を切って9秒台で優勝することを目指しています」
――6月の日本選手権では6位入賞、自己ベストという結果でした。振り返っていかがですか。
「自己最高となる6位という順位で、さらに2分10秒という自己ベストで泳げたことは、すごく自信になりました。6月という、本来あるべき時期ではないタイミングでの日本選手権だったので、そうした時期でもあまり調整をせずに自己ベストを更新できたことから、力が確実についていると感じました。そういった点でも自信がつきましたし、うれしい気持ちと同時に、インカレへの楽しみや「順調だな」という安心感も得ることができました」
――今年は3月、6月の大会や、インカレの大阪開催など、例年とは異なることが多い年だと思います。こうした変化は競技に影響しましたか。
「僕自身は、全く問題ないと思っています。3月、6月、9月と大会がありますが、僕の中では3月と9月のインカレが年2回の大きな目標として決まっています。強化しながら6月の大会にも挑みましたが、そこはあくまで途中経過であって、目指す先はインカレだと考えながら練習やトレーニングに励んでいました。そのため、イレギュラーな日程でも全く問題ありませんでした。インカレの大阪開催については、少し個人的な意見になりますが、東京生まれ東京育ちということもあり、小さい頃からずっと辰巳国際水泳場や東京アクアティクスセンターで泳いできました。そのため、東京で引退できないことに寂しさはあります。やはり東京アクアティクスセンターが一番、日本一のプールだと思っているので、そこで引退できず大阪になったことは少し残念です。ただ、みんな同じ環境ですし、そこで引退するというだけで、インカレであることには変わりません。気にせず、精一杯やりたいと思っています」
――ブログでは「優勝という形でしか恩返しする方法はない」「覚悟は決まっている」と書かれていました。その「覚悟」について教えてください。
「高校3年生の時にジュニアの世界一になり、期待を胸に大学へ入学しました。しかし、大学ではなかなか結果を出すことができず、1、2年生と過ごしてきました。ようやく3年生で高校3年生の時の自己ベストを超えることができて、かなり右肩上がりの水泳人生になってきたと感じています。どうしても苦しい時期に、支えてくれた周りの人たちには、まだまだ恩返しができていないと思っています。学生として日本一にはまだなっていませんし、インカレで目標としているタイムも、9秒台、9秒9ということで、まだ10秒を切れていません。そう考えると、まだまだ自分には恩返しが足りないと思いました。最後のインカレで、最上級生として、お世話になった明治大学や、選手として活動する中でたくさんサポートしていただいたコーチ、選手、マネージャーなどの方々に、最後に何か背中で見せられるもの、言葉ではなく結果で恩返しができれば、最高の水泳人生になると思っています。誰よりも覚悟があると思っています」
――4年間の集大成として、どのような姿を見せたいですか。
「もちろん、結果で引っ張ることは大切だと思っています。それは当然のことです。ただ、それだけではなく、声かけなども大切にしたいです。僕自身も大学1年生の時にレギュラーから外れて、大会の運営スタッフのような係を務めていた時期がありました。本当に苦しい時期を過ごしてきたので、そういう人たちの気持ちも4年生の中では一番分かると思っています。インカレでは、全員が自己ベストを出してうまくいくということはあり得ません。必ず、思うような結果が出ない選手もいると思います。そういう選手を誰一人見捨てずに声をかけ、一つの目標に向かって進ませるような統率力を持ちたいです。今年はもちろん優勝して、来年、再来年と連覇が続いていくと思うので、後輩たちに自分たちが4年間培ってきたものを、言葉や行動を通して少しでも伝えていければと思っています」
――明大の平泳ぎ勢で表彰台独占を掲げています。他の平泳ぎ選手とはどのような関係性ですか。
「同期の悠真(吉田悠真主将・農4=春日部共栄)とは、ずっと平泳ぎの選手として切磋琢磨してきました。入学当初はかなり差が開いていましたが、お互いに努力を重ねて、今では大きな大会では負けることも多く、勝ったり負けたりという関係です。自己ベストも0.7~0.8秒ほどの差なので、本当にずっと切磋琢磨してきました。最後は、同期でありながらライバル、そして戦友なので、僕が勝って最後を締めくくれればと思っています。プライベートでも結構遊んでいて、同期の中でもかなり仲の良い友達です。引退レースの決勝で、真剣勝負の対決ができれば、お互いに気持ちよく終われると思います。もう一人は、200メートルでいうと後輩の篠原(煌・政経3=湘南工科大付)です。高校時代から「僕のことを尊敬しています」と言ってくれていたので、最後は当然負けるわけにはいきません。まだ一度も負けていないので、最後に勝って先輩の意地を見せたいです。そして、「来年の明治はお前に託した」と気持ちよく言えるように、最後にワン・ツー・スリーを取って、来年、再来年につなげていきたいと思っています。1年生では、100メートルでいうと大森(大森理央・政経1=山梨学院)がいます。1年生ながら一番速いので、ルーキーとして自覚を持って、必ず得点を取ってもらわないと困ります。ただ、1年生なので、のびのびと気持ちよく、初めてのインカレという舞台を楽しんでほしいです。一番速いという自覚は持ちつつも、チャレンジャーという気持ちで臨んでもらえれば、その経験が必ず今後に生きてくると思っています」
――「同期200点、総合500点、インカレ4連覇」という具体的な目標を掲げています。この数字に懸ける思いを教えてください。
「まず4連覇については、3連覇した大学しか4連覇を目指せないということもありますし、4連覇することで、僕たちは1年生の時から4年間、一度も負けなかった学年になります。『負けを知らない学年』として最後に引退できればと思っているので、誰よりも思いは強いです。最初の優勝から自分は見届けてきました。最初の優勝の時は、自分は1点も得点できず、スタンドで全レースのビデオを撮りながら、悔しい思いを噛み殺して優勝を見届けました。だからこそ、負けるということは、悔しかった自分たちの連覇を止めてしまうことになります。それは絶対にできないので、4連覇を達成したいと思っています。500点については、1年生、2年生、3年生と狙ってきました。特に2年生の時は、4年間の中では最高得点となる489点ほどだったと思います。ただ、その時の4年生は非常に強く、『黄金世代』と言われるような世代がチームを引っ張っていて、その得点でした。本当に悔しかったです。去年の僕たちの同期の得点は、その黄金世代の得点を超えていて、学年としては僕たちが史上最強と名乗っていいと思っています。だからこそ、その先輩たちが達成できなかった500点を必ず取って、500点を達成したいです。これはあまり周りには言っていませんが、過去を遡ると中央大学が509点を取った記録があるらしく、おそらく509点が史上最高なのではないかと思っています。なので、520点を目指してやっていきたいです。同期200点については、9人ほどで200点を取ると考えると、あり得ないくらい高い壁です。200点を取れば、一つの大学の得点としてもかなり高く、おそらく150点ほどでシードを取れると思います。だからこそ、200点を取って、全大学、全学年の中で一番強い学年だということを、結果で証明したいです。200点という目標は、僕たちが4年生になった時の同期会でも話しました。必ず達成できると思っていますし、同期のことを本当に信じて、必ず達成したいと思っています」
――同期との絆や、支えになった場面はありますか。
「僕自身は、大学1年生の時はレギュラーから外れましたが、2年生からは決勝に残ることができ、同期の中でもしっかり点数を取ってきたと思います。そのため、同期に何かを伝えたいというよりは、同期の姿を見て心を動かされた瞬間が多かったです。例えば、4年間レギュラーに入れなかった同期に、元気(引地元気・理工4=東福岡)という選手がいます。元気は毎年レギュラーに挑戦していて、その姿を見てきました。特に4年目は、日本選手権の突破とレギュラー獲得を目指して頑張っていました。そのレースを目の前で見てきて、人のレースで心を動かされることはあまりないのですが、あの時は素直に心から涙が出ました。結果的にレギュラーには届かなかったのですが、その過程で、僕たちが忘れていたような、泥臭くひたむきに頑張ることを改めて思い出させてくれました。一つの目標に向かって努力し続ける熱い思いや、諦めない気持ちを思い出させてもらいました。インカレでも、諦めそうになった時に元気の姿を思い出せば、諦めずにいられると思います。最近ではかなり印象に残っている場面です。やはり同期会の思い出も大きいです。試合の時だけでなく、プライベートでも同期会をして、本当に全員が参加します。みんな飲みの場で自分をさらけ出すというか、隠し事がないような関係です。弱い部分も見せてきましたし、その分、「こいつは強いな」と思うところも見てきました。本当に頼りにしていますし、全員が一つの目標に向かって信頼し合っていると思います。元気に心を動かされたこともそうですし、同期全員がお互いを信頼し、弱いところも頑張っているところも知っているという意味で、絆という点ではどの大学にも絶対に負けないと思っています。やる時はやる、楽しむ時は楽しむ。そういう仲間たちで、本当に一人ひとりを尊敬しています。かっこいい選手、マネージャーだと思っています」
――最後のインカレで、どのような先輩でありたいですか。
「一番大事なのは、結果を出して、速く泳ぐことです。これまでひたむきに努力してきた姿を後輩に示すことが、水泳選手として見た時に一番尊敬できる、かっこいいことだと思っています。優勝して、「俺はやることをやってきたんだぞ、優勝するんだぞ」という気持ちや行動を見せられたら、それが一つの形になると思います。もう一つは、恩返しや感謝です。自分がピンチの時こそ、周りにいる人を大切にしてほしいと思っています。コーチや監督、マネージャーなど、周りの人たちに、インカレ期間を通して、些細なことでもいいので感謝を伝えてほしいです。そういう姿勢を行動で見せたり、周りの人を大切にしたり、人の思いを背負って泳ぐ姿勢を後輩たちに残して、人として正しい選手になってほしいと思っています。速さだけではなく、別に速くなくてもいい。人として正しく、間違ったことをせず、周りの人を大切にできる、そういう選手になってほしいと思います」
――最後に、ラストインカレへの意気込みとチームへのメッセージをお願いします。
「ラストインカレでは、200メートルで自己ベストを大幅に更新して優勝すること、100メートルで自己ベストを大幅に更新してメダルを獲得することを、絶対に達成したいと思います。チームへのメッセージは、GO明治、500点取りましょう」
――ありがとうございました。
[杉本菜緒]
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