法大倒し、3季ぶり35度目V 「粘りの野球」結実/東京六大学春季リーグ戦

2013.05.29
法大倒し、3季ぶり35度目V 「粘りの野球」結実/東京六大学春季リーグ戦
 崖っぷちから頂点へたどり着いた。1勝1敗1分けで逆王手を掛けていた明大は3対2で法大を破り、3季ぶり35度目のリーグ優勝を果たした。春優勝は5年ぶり。4敗を喫するも11年秋に続き、全カードで勝ち点を奪う完全優勝だ。6回に糸原健斗内野手(営3=開星)の適時打で同点に追いつくと、8回に敵失で勝ち越した。投げては関谷亮太投手(政経4=日大三)、山崎福也投手(政経3=日大三)のリレーで法大打線を4安打に封じた。山崎はリーグトップの6勝目。チームは6月11日開幕の全日本大学選手権に出場する。

 エースが激戦に終止符を打った。打球が左翼手のグラブに収まると、エースナンバー「11」を背負った山崎は両手を高く挙げた。ベンチから選手たちが山崎のもとへ飛び出し、マウンド付近で歓喜の輪をつくった。「本当にうれしい。絶対に負ける気はしなかった」。エースの役割をきっちりと果たした。

 同点で迎えた8回。2死三塁のピンチでリーグ2冠の4番西浦直を迎えた。善波達也監督はマウンドに駆け寄り、四球で歩かせることを打診した。それでも山崎は「絶対に打たせないから勝負させてほしい」と強気に出た。全て直球で三球勝負。右飛に打ち取り、その裏の勝ち越しへ流れをぐっと引き寄せた。8回から救援した山崎は今季11試合目、3日連続での登板。「体は疲れていた」と話すも米国キャンプで1日200球以上投げ込んだ成果が出た。

7回4安打2失点と好投した関谷<br /><
7回4安打2失点と好投した関谷

  

 頼れる右腕が試合をつくった。先発の関谷は初回こそ3四死球で失点するも、その後は直球と得意のチェンジアップを低めに集め、7回を2失点に抑えた。「点を取られるのは計算の上。もう失うものは無かった」。開き直ったことが好投につながった。7回に内野安打を放った後、足がつってしまい交代。完投を狙ったが「信頼できる後輩に後は任せた」。

 執念の一打だった。1点を追う6回1死一、二塁。5番糸原が真ん中高めの直球を振り抜くと、打球は一、二塁間を破った。貴重な同点適時打に糸原は右拳を握り、雄叫びを挙げた。「石田(法大)からは昨日タイムリーを打ったので苦手意識は無かった。気持ちで打った」と好投手相手に一歩も引かなかった。開幕前から「今年はやってもらわないと困る」と、監督の期待も高かった。序盤は対応に苦しんだ。しかしバットを拳2つ分短く持ち、コンパクトなスイングを心がけたことで調子を上げた。早大1回戦から5戦連続、慶大2回戦からは6戦連続安打。期待通り、主軸へと成長した。

明大6回1死一、二塁<br />同点打を放ち、ガッツポーズの糸原<br /><
明大6回1死一、二塁
同点打を放ち、ガッツポーズの糸原

 

 厳しさが「粘り」を生んだ。早朝5時20分から練習が始まり、約3時間程度行う。今年からトレーナーが寮に泊まり込み、夜は体づくりに励んだ。リーグ戦期間中も調整ではなく、トレーニングで自らを追い込み、試合前には1時間程度ダッシュをして本番に臨む。「リーグ戦の2ヵ月間を調整ばかりで緩めると、チームのムードも緩んでくる。伸び盛りの選手たちなので、昨年からきつめにしている」と善波監督。さらに今年は3年ぶりの米国キャンプを3週間にわたって行った。ハードな練習に加え、長距離の移動、温度差、時差への対応が、逆境にも負けない精神力を養った。4カードで1敗を喫し、勝率は2位法大を下回った。それでも連敗しない理由は日々の積み重ねにあった。

 次は日本一を目指す。全国各地の連盟代表校が集う全日本大学選手権に、東京六大学連盟代表として出場する。過去5度制覇しているが、前回優勝は32年前。久々の頂点へ、負けたら終わりの一発勝負に挑む。「強い六大学の他校に勝った代表として、もう1回粘り強い野球を4試合やっていきたい」(善波監督)。全国の舞台でも「粘り」の明大野球を見せつける。

[桑原幹久]

★優勝データ★
 明大としてはシーズン最多試合数となる16試合を戦い、10勝4敗2分けで勝ち点5の完全優勝を果たした。優勝校の最多試合数は1963年秋に慶大が記録した16試合。明大は50年ぶり、リーグ史上2校目の最多試合数タイでの優勝となった。
 また、2位に勝率を上回られての完全優勝は1968年秋早大以来、45年ぶり。

※大きな写真を最下部に置いてあります。

◆明大打撃成績◆
打順 守備 名 前 打 安 点 率 1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 (右) 高山(日大三) 4 1 1 .241 三振    右三    投ゴ    二ゴ      
2 (中) 海部(履正社) 4 0 0 .167 遊ゴ    ニゴ       二ゴ 遊ゴ      
3 (左) 菅野(東海大相模) 4 1 0 .327 一ゴ    一ゴ       三失   左安   
  左 中原(横浜) 0 0 0 .333                           
4 (一) 岡大(倉敷商) 2 2 0 .268    四球    中安    四球    左安   
5 (二) 糸原(開星) 1 1 1 .292    投ギ    投ギ    右安    三ギ   
6 (三) 大塚健(花咲徳栄) 2 0 0 .154    一ゴ    遊ゴ               
  打 西村祐(春日部共栄) 1 0 0 .250                三振         
  三 石井(履正社) 1 0 0 .200                      三失  
7 (三) 原島(国士舘) 2 0 0 .250    投ゴ    左邪飛               
  打 宮武(三重) 1 0 0 .250                三振         
  遊 宮内(習志野) 1 0 0 .143                      三飛  
8 (捕) 坂本(履正社) 3 1 0 .227       三安    三ゴ    二ゴ      
9 (投) 関谷(日大三) 3 1 0 .211       一ギ    三振    一安      
  走 伊藤剛(長野日大) 0 0 0 1.000                           
  投 山崎(日大三) 0 0 0 .346                           
   計 28 7 2 .247                        

◆明大投手成績◆
名 前 試 勝 敗 回 球数 安 振 球 責 率
関谷(日大三) 8 3 1 7 118 2 6 3 1 1.62
○山崎(日大三) 11 6 2 2 29 2 2 0 0 1.56
◆ベンチ入りメンバー◆
19 関谷(政経4=日大三) 25 岡大(政経4=倉敷商) 10 中嶋(法4=桐蔭学園)
21 岡貴(政経4=崇徳) 33 真栄平(政経3=興南) 8 中原(文4=横浜)
11 山崎(政経3=日大三) 14 大塚健(商2=花咲徳栄) 26 宮武(商4=三重)
18 今岡(文3=横浜隼人) 3 原島(農4=国士舘) 7 菅野(法2=東海大相模)
1 上原(商2=広陵) 5 糸原(営3=開星) 9 高山(文2=日大三)
17 柳(政経1=横浜) 15 伊藤剛(文4=長野日大) 24 海部(商2=履正社)
2 石畑(商4=広陵) 4 宮内(政経2=習志野) 35 石井(営2=履正社)
12 坂本(文2=履正社) 23 星(政経1=宇都宮工)
27 西村祐(法4=春日部共栄) 38 上西(営2=明大中野八王子)
勝敗表 第7週  5/28現在
明 法 立 慶 早 東 試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
明大 — ●△◯○ ○●○ ●◯○ ●△○○ ○○ 16 10 4

2 5 .714
法大 ○△●● — ○○ ○○ ○◯ ○○ 12 9 2 1 4 .818
立大 ●○● ●● — ○●○ ○○ ○◯ 12 7 5 0 3 .583
慶大 ○●● ●● ●○● —    ○○ 10 4 6 0 1 .400
早大 ○△●● ●● ●●    — ○○ 10 3 6 1 1 .333
東大 ●● ●● ●● ●● ●● — 10 0 10 0 0 .000

試合後のコメント
善波監督

「この場にいることが信じられません。ただ本当に1試合1試合粘ってくれた選手たち、スタンドにいる選手たち、トレーナーの方々、みんなのおかげです。ありがとうございます。4年生が中心になって頑張ってくれました。ベンチに入れなかった選手もスタンドで応援してくれました。みんながまとまって粘った結果だと思います。1回戦で負けて法大は本当に強い相手だと思いました。優勝どころではないとも思いました。しかし引き分けでもいい、1勝でもいいという思いで戦った積み重ねが素晴らしい結果につながりました。本当に選手が頑張ってくれました。(勝てた要因は)練習をきちっと丁寧にやってくれたことがとても大きいです。今年は春先アメリカに3週間の長い間キャンプをさせていただいてその遠征でもハードな練習、アメリカでの移動、温度差への対応、またいいチームと試合をさせていただいて、キャンプから体力面、いろんな環境への対応、技術であり、アメリカでしっかり調整した積み重ねが粘って粘っての結果になったと思います。最後、福田、中嶋とフィールドに居てほしい選手が立てませんでしたが、普段の練習の積み重ねの結果がキャプテン中嶋とショートの福田と守備の要が抜けてもカバーできたと思います。普段の練習が改めて大きいと思いました。去年と変わったのはキャプテンを中心に練習を丁寧にしたり、トレーナーさんに体のケアをしてもらったりしたところです。 (8回、石井には)左投手に振れるバッターなので、普段通りにいけよとなかなか難しいですが声をかけました。(糸原がバントを決めて)相手にプレッシャーをかけられたので何かが起こると思いました。ベンチも後押ししていたんじゃないのかな。(7回、関谷は)足をつってしまって、相手、特に大城戸くんに対してうまくいってたので次の回もと思っていたのすが、結果的に交代しました。(今季は)山崎にエース番号11をつけさせて状態が良い方を1戦目に持っていくという感覚でやっていました。(法大の1回戦以降)何とかなったのは坂本の存在が大きいです。ピッチャー、相手のバッターの状態を情報交換してリードしていました。去年と変わったのはキャプテンを中心に練習を丁寧にしたり、トレーナーさんに体のケアをしてもらったりしたところです。とにかくいい形で終われたことが信じられないです。うちにとって強い5大学、他校に勝った代表としてもう1回粘り強い野球を4試合やっていきたいと思います」

キャプテンとしてチームを引っ張った中嶋啓喜主将(法4=桐蔭学園)
「まだ信じられない気持ちでいっぱいです。今までの練習で取り組んできたことが出せて良かったです。(法大1回戦で)ケガをしてしまって翌日からはチームのために何ができるかを考えて今まではグラウンドでしたがグラウンド以外でサポートできるんじゃないかと思って、試合ではベンチワークを積極的にやりました。苦しい試合の中で一戦一戦成長していくことができました。新チームはみんな、主将の自分を支えてくれました。今日は1点を追う展開になって毎試合苦しい試合が続いていて楽な展開にはならないと思っていました。1、2点の展開ではなく5、6点を争うことを予想して臨んで自分たちのやるべきことをやろうと考えました。また、自分たちは失うものがなにもないので法政とうちだけ楽しもうと臨みました。他の大学にはないうちだけの強みでした。(優勝した瞬間は)自分がプレーしている時よりもプレッシャーがありました。決まった瞬間はうれし涙が出ました。(昨秋、目の前で法政に優勝を決められた時の)悔しさの分、うれしさもありました。監督、コーチについていって良かったです(全日本選手権では)明治らしく粘って勝ち抜いて勝ち進んでいきます」

4年生で唯一リーグ戦フル出場した岡大海内野手(政経4=倉敷商)
「春は今まで勝てていなくて優勝できてうれしいです。支えてきてくれた方に感謝しています。今までチームに迷惑をかけてしまってこの2戦で活躍できたらとボールに食らいついていって、結果ヒットになってくれました。中嶋、福田がケガでその2人の分や、練習で支えてくれた人たちには勝つことでしか恩返しできないと思っていたので勝てて良かったです」

主に2戦目の先発として投手陣を支えた関谷
「実感がまだ湧いていませんが、今までやってきたことを神宮で一人一人出しきりました。みんなのおかげで優勝できたので周りに感謝したいです。今日は粘って最小失点で抑えることを意識しました。もう失うものは無かったです。開き直って力を抜いて投げようと思いました。点を取られるのも計算の上です。味方が打ってくれるのでそこを信頼して投げられました。今シーズンはシーズン前から(山崎)福也の状態が良くてそれに負けじと思って調整してきてシーズンに入れば2人で投げて優勝するつもりでいました。(7回の途中交代は)最後まで投げようと思ったのですが、足をつってしまい、信頼する後輩に任せました。(大学選手権は)一発勝負でリーグ戦のようにはいかないので一回の試合の入りを注意してやっていきたいです」

副将としてチームを支えた原島巧内野手(農4=国士舘)
「優勝できてうれしいです。いつもは先制して守って勝つ野球が自分たちの勝ちパターンですが、今日は先制された後、しっかり抑えて同点に追いついて最後は逆転できました。(中嶋と福田が試合に出られなかったが)野球にケガはつきものなのでしょうがないとは思いますが、あの2人がいなかったらここまで来られていません。(2人がケガで出られないと分かった時は)自分たちのやれることをやっていこうと思っていました」

今季から三塁手に定着した糸原
「苦しい試合が多かったのですが粘りの野球で優勝できました。応援していただいている方の思いを優勝で応えることができて良かったです。(1点を先制されたが)みんなで攻めていこうとベンチ内で盛り上げて同点に追いつき、逆転できたんじゃないかなと思います。6回のタイムリーは執念で打ちました。ランナーが返って同点になるのを見て嬉しかったです。打席に入る前に監督から『応援してくれている方々の思いを背負っていけ』と言われました。支えてくれている仲間たちがいつも応援してくれるので、その分の思いも背負いました。絶対に打ってやろうという気持ちで打席に入りました。気持ちで打ったらよい結果につながりました。石田選手は昨日対戦してタイムリーを打ったので苦手意識は全然なかったです。今季はずっとこのような接戦が続いていたので、今日も自分たちに流れがくると思って戦いました。それで最後にチャンスがつくれました。普段通りに戦いました。追い込まれているという感じは全然なかったです。チームとして、4回戦にもつれたら自分たちのペースだと思っているので負ける気はしなかったです。大学選手権で東京六大学の代表として、勝負強い野球をして日本一を取りたいです」

新エースとしてリーグトップの6勝を挙げた山崎
「体は疲れていたけど、気持ちでいけました。ブルペンから調子は良かったです。真っ直ぐは走っていたので、押してやろうと思いました。負ける気はしなかったです。(8回は打たれたが)真っ直ぐで押し過ぎました。それだけ調子が良かったです。(2戦目に)足元の速い打球を捕れた時点で何かついてると思いました。2試合目引き分けてから、絶対にいけると思いました。キャンプから練習はたくさん積んで来ました。キャンプでは毎日200球以上投げていたと思います。16試合と長かったですし苦労はしましたが、一番うれしい形です。トレーナーさんたちやいろんな方の支えがあったから優勝できました。感謝したいです。この春は後ろに関谷さんがいる安心感があって1戦目に思い切り投げられました。支えてくれてありがとうございますと言いたいです。シーズン前には関谷さんと2人で10勝しようとシーズンに臨みました。(全日本大学選手権は)一発勝負なので全員で力を出しきれるようにいこうと思います」

不動の正捕手として投手陣をリードした坂本誠志郎捕手(文2=履正社)
「優勝できてうれしいです。今はその気持ちだけです。今まで打ち合いの試合だったので今日も打ち合いになると思っていました。ロースコアの展開になったのでランナーをためられたり、一発打たれることが怖かったです。畔上(法大)に一発打たれたときは焦りました。でもそのあと粘れたことがよかったです」

チームトップの打率3割2分7厘を記録した菅野剛士外野手(法2=東海大相模)
「(優勝できて)本当に良かったです。リーグ戦はこの試合もそうですが厳しい試合が多かったですが、粘ってみんなで練習してきたかいがありました。(8回は)二塁でアウトになってベンチで泣いていたのですが、中嶋さんを中心に励ましてくれて、切り替えることができました」

山崎のもとへナインが駆け寄ってくる<br /><
山崎のもとへナインが駆け寄ってくる

 

マウンド付近で歓喜の輪をつくる<br /><
マウンド付近で歓喜の輪をつくる

 

選手、スタンドが一体となった<br /><
選手、スタンドが一体となった

 

涙の中嶋主将<br /><
涙の中嶋主将
選手たちに支えられて胴上げされる善波監督<br /><
選手たちに支えられて胴上げされる善波監督

  

岡大も笑顔で宙を舞った<
岡大も笑顔で宙を舞った
平日にもかかわらず、多くのファンがスタンドを埋め尽くした<br /><
平日にもかかわらず、多くのファンがスタンドを埋め尽くした