見せつけた確かな成長 〝明治テニス〟躍進の夏へ/全日本学生選手権総括・関東大学リーグ戦展望(男子)

2022.08.26

 今年もこの季節がやって来た。日本一を決める全日本学生選手権(以下、インカレ)、そして全日本大学対抗王座決定試合(以下、王座)進出を懸けた関東大学リーグ戦(以下、リーグ戦)と大学テニスにおいて重要な大会が続く。インカレでは男子が6年ぶり単複ベスト4進出という歴史的快挙、女子は単複ベスト16が最高ではあるものの粘り強いプレーで爪痕を残した。インカレ閉幕から約1週間後にスタートするリーグ戦に向け弾みをつける大会となった。

 

◆8・15~21 全日本学生選手権(四日市テニスセンター)

▼男子シングルス

 町田――ベスト4

  徳――ベスト16

 飯田――3回戦敗退

 野田、太田――1回戦敗退

▼男子ダブルス

 町田・副田組――ベスト4

 村田・山中組――ベスト16

  徳・宮永組――1回戦敗退

◆8・28~9・10 関東大学リーグ戦(各大学テニスコート)

 

【男子】

 今年の男子部は一味も二味も違う。昨年度のインカレは全員が予選からスタートし、シングルスの16強入りが最高成績。「昨年は結構ぼろぼろで負けてしまった。技術や試合の巧みさが劣っていた」(上原真吾監督)と他校に比べ精彩を欠く結果であった。しかしコーチの指導日増加や体力強化など、取り組み方を見直したことで「チーム指数、テニスの偏差値が非常に上がった」(上原監督)と、選手のプレースタイルにも変化が見られるように。変革の成果がまず表れたのは5月の関東学生トーナメント(以下、春関)だ。町田晴男子部副将(文4=四日市工)がシングルス準優勝ベスト4にシングルスで徳航太男子部主将(営4=法政二)、ダブルスで村田英夢(理工1=麗澤瑞浪)・山中朝陽(文1=四日市工)組が入る。インカレ本戦出場権をシングルス3人、ダブルス1組が決める大快挙であった。

 

 そんな明大勢の勢いは四日市でも顕在だった。予選から勝ち上がったメンバーも含めシングルス5人、ダブルス3組が本戦で激闘。特に男子部で6年ぶりとなった、単複ベスト4入りは大きな収穫だ。「自分の中で大きく成長を感じる」(町田)。「全国の舞台でベスト4まで勝ち残れたのは自信になる」(副田温斗・営3=四日市工)。ダブルスは予選から、町田はシングルスも並行して勝ち進み、かなりの連戦を強いられた。体力的に厳しい中で集中力、そして強い気持ちを保ち続ける粘り強さが躍進の裏にあった。近年明大の課題であったダブルスで、町田・副田組が春関王者や強豪・早大ペアを打ち破ったことは大きい。加えて、今大会は3回戦敗退であったが春関3位の記録を持つ村田・山中組、長くペアを組み続ける徳・宮永竜聖(法4=石川県私立金沢)組も控え、明大ダブルスの層の厚さが追い風となる。リーグ戦では先に行われるダブルスでチームを勢いづけたい。

 

 一方、シングルスでは町田だけでなく徳もシードで登場。上位進出も狙えるところだったが、肩の痛みが響き4回戦で棄権する形に。しかし今までの3年間は3回戦敗退止まりで「1、2、3年生の結果をしっかり超える」(徳)と意気込んだ通り、自己最高のベスト16でインカレを終えた。本戦初出場の野田成佑(商3=大分舞鶴)、太田翔(法2=大分舞鶴)は共に1回戦敗退ではあったものの、予選から勝ち上がった自信と次への課題を得る。「昨年は出られていなかった子たちが本戦に上がり、若いメンバーの粘り強さを拾えた」(上原監督)。リーグ戦や来年度以降に向け新戦力の台頭へ期待が持てる。

 

 最終目標は「王座優勝」。王座進出に向けチームのために〝一勝〟を挙げることを誓う。「リーグ戦は全員で王座を狙って、全員で愛媛に行けるように」(徳)。例年にない、今年度の層の厚さを武器に、全員で夢の舞台へ足を掛ける。8月28日の初戦は王座16連覇中の早大が待ち構える。しかし、ここまでたとえ強敵であっても果敢にチャレンジし打ち破ってきた明大。その実績と自信が〝明治テニス〟の夏を簡単には終わらせない。

 

[出口千乃]

 

コメントはこちらから