先発・水野1失点の好投で勝ち点奪取 優勝の行方は早慶戦に/東京六大学秋季リーグ戦

2017.10.24
 今季最終戦を勝利で締めくくった。前日の試合で相手エース・宮台から逆転勝利を収めた明大。2回戦の先発を務めた水野匡貴投手(農4=静岡)は9本の安打を許しながらも7回1失点の好投で通算6勝目を挙げた。打線は5回に河野祐斗内野手(文4=鳴門)が勝利を決定づける左前適時打を放つなど勝負強さが光った。小刻みに得点を積み重ね9安打6得点。今季8度目の二桁安打とはならなかったが、各選手がきっちりと役割を果たしての勝ち点となった。これで明大は優勝ラインの勝ち点4に乗せ、40度目のリーグ優勝へ望みをつないだ。

 最終カードで4年間を象徴する粘りの投球を見せた。今季第2先発として安定した活躍を期待された水野。立大2回戦で1年半ぶりの完投勝利を挙げ、完全復活したかに思われた。しかしリリーフとして登板した慶大1回戦では、延長10回に押し出しの死球を与え敗戦投手に。翌日の慶大2回戦では先発を務め、無失点に抑えるもテンポの悪い投球をしてしまい3回途中で降板。気持ちの準備ができておらず、首位攻防戦でチームに貢献することができなかった。背信の投球から空き週を挟み迎えた最終カード。「リーグ戦でユニホームを着るのは最後。悔いが残らないように投げました」(水野)。毎回のように安打を許したが、これまで培ってきた要所をしのぐ投球で一度もリードを許さなかった。特にその姿が見て取れたのが6回裏、1死満塁の場面。2本の安打と死球でこの試合一番のピンチを背負う。一塁側スタンドからの声援が一層強くなる場面で、打席には打率3割台の代打・岡(東大)。最後は144㎞の渾身(こんしん)の直球で見逃し三振に切って取った。一つ目のピンチを乗り切ったが、なおも満塁で打席には6回から登板していた相手エース・宮台。前日は齊藤大将投手(政経4=桐蔭学園)から2安打を放つなど打撃にも力がある。一打で相手に詰め寄られてしまう緊迫した場面で、もう一段階ギアを上げた。2ボール1ストライクからの4球目。外角を突いた直球を捉え、打球は左翼方向へ。快音とともに、グラウンドの選手たちとスタンドの観客が一斉に打球方向を見上げる。左翼手の添田真海外野手(法2=作新学院)が懸命に追いかけフェンスぎりぎりで捕球すると、マウンドで声を上げグラブをたたいた。絶体絶命の場面で得点を許さなかった右腕は、ラストシーズンにふさわしい投球を見せた。「最初の方はチームに迷惑を掛けたが、中盤、最後は勝利に少し貢献できたと思う」(水野)。慶大戦の悪夢を晴らすかのような108球だった。

 最上級生の一打が今季を物語る。3点リードで迎えた4回裏。東大に3本の安打が飛び出し1点を失う。追い上げムードを断ち切りたい中で迎えた5回表の攻撃。四球と犠打で得点圏に走者を置き、打席には河野。「何とか流れを相手にやらないようにすぐに1点返したい」(河野)。その思いとは裏腹に、2球で追い込まれてしまう。しかしここから3番手・宮本(東大)の際どい球をしっかりと見極め、フルカウントまで持ち込んだ。投手有利の状態から五分に戻し、6球目を捉えると打球は三遊間を抜け左前へ。粘りの一打で貴重な追加点を挙げ、相手の反撃の芽を摘んだ。「あれが勝負を決めたといっても過言ではない」(中野速人主将・法4=桐光学園)。今季を通して目立った4年生の勝負強さが最終戦でもチームに勝利をもたらした。

 優勝争いは明大と慶大の2校に絞られている。勝率の差で慶大に次ぐ2位で迎えた今節。明大が東大に連勝で勝ち点を4に伸ばし、単独首位に立った。最終週の早慶戦で早大が慶大に1勝でもすれば、明大の優勝が決まる。今季リーグ戦は齊藤の完封勝利から始まり、立大1回戦での河野の決勝ソロ本塁打、水野の1年半ぶりの完投勝利など4年生の勝負強さが光った。しかしそれでも完全燃焼したとは言えない。「やり切ったとは思えていないのが正直なところだが、待つしかない」(竹村春樹内野手・政経4=浦和学院)。もう一度神宮の舞台でプレーするために。あとは運を天に任せる。

[桐山雄希]

試合後のコメント
4年生の活躍を喜んだ中野
「春よりもチームが団結できて、4年生が活躍できたシーズンだったと思います。勝負どころで4年生が打ったり、齊藤、水野の4年生が相手を抑えて、主力の4年生が活躍して勝ってきたので、底力が出たと思います。勝利への執念とか勝ちに対する気持ちがみんな前面に出ていたのでまとまっていけたんだと思います。そこが今季の勝因だと思っています。(秋に強い要因は)今だから分かるけど、監督の指導力はすごいと思います。ジャパンの監督をやるすごい人ですし、精神的な強さをとても鍛えて下さいます。そういうのもあって、接戦でも負けないようになったのかなと思います。(5回の河野の適時打)あれはとても大きかったです。あれが勝負を決めたと言っても過言ではありません。4年の意地というか、勝負どころで打てるっていうのはさすがだと思います。もともとやる気に満ち溢れていて、ガッツのある選手なのでああいう場面で打ってくれるとチームも盛り上がります。河野以外にも、昨日から宮﨑が代打で出てしっかりつないでくれたし、春樹だって要所で打ったり守備でチームを助けてくれたりして頼もしいです。水野も調子が悪い中でも粘りの投球で1点に抑えてくれているし、4年生が競ってる場面で力を発揮してくれたと思います。(最終回で自身に代打)あれはちょっと緊張してしまいました(笑)。でも最後に同じ神奈川出身の宮台と真剣勝負できて良かったです。(優勝は早慶戦の結果待ち)もちろん次の試合もやる気でいます。今できることを100%やって、次も勝つ気で準備したいと思います。あとは早稲田に頑張ってもらいましょう(笑)」

適時打を放った河野
「(5回の適時打)取られた後すぐだったのですが、何とか流れを相手にやらないようにすぐに1点返したいと思ってました。2アウトランナー、三塁、打つか打たないかで結構大きい場面だったんですけどしっかり粘り強くいけたのがいい結果につながったと思います。2球で追い込まれてからツースリーまで持っていって自分のペースに持ち込めたのが狙い通りでした。(総括)自分の結果より優勝を目標にやってきたのでこの試合で優勝を決められなかったのは悔しいんですけど、今やるべきことはしっかりできたと思います。(東大の投手について)継投が多かったので、出てきたすぐの回にしっかり攻略するということをみんなで話してました。(4年生の代打の際、声掛けをされていた)それはもう4年間やってきた同級生なので、何とか打ってほしいという気持ちで。打席に立っている人が情報とか与えてあげた方が打ちやすいと思って声をかけました。(六大学リーグは終わり)苦しい時の方が多かったんですけど、好きな野球をここまで続けてこれて良かったと思います」

今季エースとして安定の投球を見せた齊藤
「出番があれば投げるつもりでいたので、結局最後はホームランを打たれて点差は縮まっていましたし、投げる準備はしていました。(ラストリーグが終了)優勝が決まらない状態で終わってしまったので、まだ終わった感がなくて中途半端な気持ちなんですけど。慶應戦でしっかり勝てていたら優勝が決まっていい形で終われたと思うので、残念です。どちらにしろ11月の中旬ぐらいまでしか試合はないので、その試合があるかは分からないですけど、あるものだと思って。早慶戦で結果が決まるまでは気持ちを切らさずに準備しておきます」

副将としてチームを引っ張ってきた竹村
「チームが勝ったことは良かったんですけど、個人的には全く納得のいく成績ではありませんでした。もし神宮大会に出場できるなら、もっと修正して、もう一段階レベルアップして臨みたいです。(今日の勝因は)しっかり打つべきところで打てたからだと思います。添田から逢澤まで毎試合のようにヒットを打っていましたし、上位打線のつながりが良かったですね。水野も守っていて守りやすかったですし、周りに声を掛けていたのでいい姿で投げられていたんじゃないかなと思います。(最後のリーグ戦)絶対に勝ちたいという思いが、毎回そうではあるんですけど、今日は最後なので特に強かったです。(試合後は)人事を尽くして天命を待つではないですけど、やることはやったので待とうということを話しました。やり切ったとは思えていないのが正直なところですが、待つしかないので。この先に向けて準備をしていくだけですね。(秋全体を振り返って)慶應戦で1勝もできなくて、一戦一戦が大事になってくるあの場面で勝ち切れないところはやっぱりチームとしての弱さがあったのだろうと思っています。(その中でも春との違いは)打線のつながりとピッチャーの齊藤、水野がよく投げてくれたことだと思います。(個人的には)序盤の調子を終盤で崩してしまいました。打席での余裕を持てるように、これからもっと実戦を想定した練習をしていきたいです。(まずドラフトが控えているが)どきどきしています(笑)。それだけです」

7回1失点と粘投した水野
「リーグ戦でユニホームを着るのが最後なので、悔いが残らないように投げました。(最後先発として意識したこと)勝つだけです。(7回1失点)ヒット多く打たれてしまったんですけど、ランナーが出てから要所をしっかり締められたのでそこは良かったかなと思います。(投げていて気持ちは)どんどん上がっていきました。(9回の円陣で声を掛けてた)4年生が最後あまり出たことがないやつが出ると決まっていたので、そいつらに絶対回そうとみんなでいこうと伝えました。(9回4年生がたくさん出た)『悔いのないように思い切っていけ』と声をかけました。4年間頑張ってきたチームメートが最後ああいう舞台で、なかなか出ることができない場所だと思うので、そこに出れたことが自分もすごくうれしかったです。(リーグ戦最後で初ヒット)それはオマケですけど(笑)、ヒット打てたのでよかったです。(秋リーグ振り返って)最初の方はチームに迷惑を掛けたんですけど、中盤、最後はみんなと野球ができて、勝利にも少し貢献できたと思うので良かったです。(優勝は慶大次第)自分たちのプレーで取り返すことはできないですけど、この1週間は私生活だったり、野球以外の面でもみんなで一生懸命やって、少しでも運を味方につけられるようにしていきたいと思います。(今の率直な気持ち)優勝したいです」

2打点を挙げ勝利に貢献した高瀬
「取りあえず2連勝で終わることができて良かったです。(打撃)ランナーがいる場面で内野が下がっていて内野ゴロを打とうと思って打てたのでその辺は良かったと思います。(宮台とその他の投手の印象)宮台投手は一番いい投手というのは感じましたけど、他が劣っているという印象はなかったです。(チームの中での立ち位置)レギュラーを維持するのは難しいと思うんですけど、もう少し結果を残せるようになれば信頼された選手になれるかなと思います。(リーグ戦の総括)うまくいった部分もあったんですけどそれ以上にミスもしましたし、未熟だなと感じる部分も多かったので、いろんな収穫があったリーグ戦だったと思います。この経験を生かして悪い部分を修正していければと思います(今後に向けて)優勝はなくなっているわけではないので、神宮大会に向けて活躍できるように準備していきたいと思います」

追い討ちをかける適時二塁打を放った渡辺佳
「勝てたことが一番良かったです。(今日の試合が終わって打率3割6分4厘)シーズン通して良かったので、個人的には良かったです。(今日は)序盤は良い当たりを全部取られてしまったんですけど、気にせず自分の打撃をやったことがその後の2安打につながりました。(今季は)チームとしても雰囲気が良かったですし、4年生が引っ張ってくれたことが一番良かったです。神宮大会には出られるかまだ分かりませんが、来年度は先輩たちのそういう姿を見習っていきたいです。(9回には出場機会の少なかった4年生の起用も)中野さんとかも出てきましたし、特別な思いは当然ありました。今年1年間は部屋も一緒で、同じポジションでずっとやってきたので、一緒にフィールドで守れて良かったと思います。普段は出ていない方もたくさん出ていらっしゃって、いろいろと目に焼き付けました。(試合後は)2連勝した後は早慶戦を待つだけなので『寮生活などをしっかりして、気を抜かずに結果を待とう』っていう話をしました。とりあえず、優勝の望みをつなげて良かったです」

今季5割2分4厘の活躍でチームに貢献した添田
「(最終戦での先発起用)今日の朝に言われました。昨日から準備はしていたので、いつでもいける状態にはしていました。勝たないと優勝はないので、勝つことを大前提にという気持ちで臨みました。(2安打)結果はそこまで意識していないのですが、打てたというのは良かったです。(シーズンを通して)好調は維持できたと思います。バットはずっと振れていたので、そこは自分の成長を感じることができたところだと思います。(打率は5割超え)ここまできたら5割は超えたいと思っていたので良かったです。(優勝は結果待ちですが思うことは)みんな優勝したいと思ってやっているので、そこは願うだけです。もう一回寮生活からしっかりやって、運を持って来られればと思います。神宮大会にもみんな行きたいですし、優勝もしたいので、出られると思って準備もしていきたいです」

先発の水野をリードした清水風
「(水野さんとのプラン)出だしでそこまで調子が良くなかったので『変化球中心で攻めていこう』というのは話し合っていました。(調子が悪い中でも)カットボールがとても良くて有効に使えたと思います。(初回以外、ランナーを背負いましたが)そうですね。高めに抜けていたので絶対に長打を避けるためにも低め低めを意識したからだと思います。ランナーは出しても絶対に点は取られないようにしようという意識でした。(秋では初めての先発マスク)緊張はしていましたね。昨日、しっかりとビデオを見て研究もやっていつでもいける準備はしていたんですけど緊張はしました。(橋本さんへのライバル意識)やっぱり橋本さんは実力が自分よりも上だと思うんですけどその中でも自分のスタイルを貫いて負けじと全力プレーでやっていきたいと思っています。(今季の投手陣を振り返って)春よりも先発もそうなんですけど中継ぎ陣がすごく安定していて特に4年生の最後に対する気持ちも伝わってきましたし、髙橋さんを中心に中継ぎ陣もつないでくれましたので確実に来年にもつながる活躍だったと思います。(ブルペンの雰囲気)球を受けていた感じブルペンから気持ちも入って調子も良かった状態が続いたからこそ先発投手も全力で最初から投げれたのだと思います。(リーグ戦の日程を終えた)来年は絶対に正捕手になれるように冬の練習を頑張りたいと思います」

打順 守備 名 前 打 安 点 率 1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 (遊) 竹村(浦和学院) 4 0 0 .286 四球    三邪飛 三振    中飛    二ゴ   
2 (左) 添田(作新学院) 4 2 0 .524 遊ゴ    右二 左飛 左二    四球   
  走左 稲見(日大三) 0 0 0 .500                        
  左 田中(明大明治) 0 0 0 .—                           
3 (三)一 渡辺佳(横浜) 4 2 2 .364 二ゴ    一ゴ 四球 右中二    中安
4 (中) 逢澤(関西) 4 1 0 .310 三振    右二 投ギ   遊飛    三振   
5 (右) 越智(丹原) 5 1 0 .310    左中二    三振   中飛    三振    三振
6 (二) 河野(鳴門) 2 2 1 .313    捕ギ 四球 左安    二安      
  打 吉武(福岡大大濠) 1 0 0 .000                         三振
  二 吉田(履正社) 0 0 0 .000                           
7 (一) 高瀬(長崎西) 3 0 2 .417    一ゴ    野選 左飛    四球      
打三 中野(桐光学園) 1 0 0 .000                一ゴ
8 (捕) 清水風(常総学院) 1 0 0 .333    三ゴ                  
打 宮﨑(履正社) 0 0 0 .375       四球         
   捕 橋本(佼成学園) 2 0 0 .212                三振 三併   
9 (投) 水野(静岡) 2 1 1 .111       三振 四球 中安       
   打 荒井海(前橋育英) 1 0 0 .000                一飛
  投 髙橋(向上) 0 0 0 .000                           
   計 34 9 6 .293                           
名 前 試 勝 敗 回 球数 安 振 球 責 率
○水野(静岡) 6 3 1 7 108 9 8 2 1 2.63
髙橋(向上) 7 2 1 2 43 3 3 1 2 3.65
10 中野(法4=桐光学園) 20 水野(農4=静岡) 6 竹村(政経4=浦和学院)
1 石毛(文1=高崎健康福祉大高崎) 4 河野(文4=鳴門) 7 越智(営3=丹原)
11 齊藤(政経4=桐蔭学園) 5 渡辺佳(政経3=横浜) 8 逢澤(文3=関西)
17 三輪(国際3=日大三) 14 宮﨑(文4=履正社) 9 稲見(法3=日大三)
18 髙橋(総合3=向上) 15 荒井海(商4=前橋育英) 37 和田(商2=常総学院)
28 入江(政経1=作新学院) 16 高瀬(営3=長崎西) 39 渡邉涼(商1=広陵)
2 氷見(政経3=豊川) 26 吉田(商3=履正社) 46 田中(文4=明大明治)
12 清水風(商1=常総学院) 27 添田(法2=作新学院)
22 橋本(総合2=佼成学園) 44 吉武(政経4=福岡大大濠)
明 慶 法 立 早 東 試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
明大 — ●● ○○ ○○ ○●○ ○○ 11 8 3 0 4 .727
慶大 ○○ — ●△○● ○○    ●○○ 11 7 3 1 3 .700
法大 ●● ○△●○ — ○△ ○○ ●● 12 5 5 2 2 .500
立大 ●● ●● ●△ — ○○   ○○ 10 4 5 1 2 .444
早大 ●○●    ●● ●● — ○○ 9 3 6 0 1 .333
東大 ●● ○●● ○○ ●● ●● — 11 3 8 0 1 .273