柳、魂の20K完投勝利! 延長12回制し優勝へ一歩前進/東京六大学秋季リーグ戦

2016.10.15
 3時間半を超える熱戦を制した。先発の柳裕也主将(政経4=横浜)は早大を9回まで3安打で抑えこむ圧巻の投球。しかし打線が相手先発の竹内(早大)を打ちあぐね、1―1のまま延長戦に突入。なおも均衡が続くが最終回、佐野恵太内野手(商4=広陵)のフェンス直撃適時三塁打と牛島将太捕手(営4=門司学園)の右犠飛で2点を入れて勝ち越しに成功。柳は延長戦以降も安打を許さず、12回3安打で完投勝利を飾った。これにより立大の勝敗次第で16日には優勝が決定することとなった。

 最後の打者を三振で打ち取ると、大きな雄たけびをあげた。3-1で迎えた12回裏、2死一塁の場面。回ってきたのは4番・木田(早大)。一発同点のピンチで、渾身の変化球を投げ込んだ。木田のバットは空を切り、喜びに沸く明大ベンチ。実は登板前、柳は両脚をつるという非常事態に見舞われていた。善波達也監督からも心配されたが、答えたのは一言。「きてるけど、いけます」。自分から逃げないため、チームに不安を与えないため、表情には一切出さない。見せるのはマウンドに向かう背番号10の姿だけ。献身的なその心意が、勝利の女神を呼び寄せた。
 積み上げた20個の「K」が、今日の投球を物語る。「マウンドに上がった時のフォームがそのままはまった」と、立ち上がりから最高潮。5回に木田(早大)と佐藤晋(早大)の連続安打で1点を失うも、その後許した安打は1つのみ。牛島の強気なリードが後押しし、変化球がさえ渡った。縦にも横にも、あるいは曲げ幅までも変化するカットで三振を量産。累計で321奪三振と川上憲伸氏(平10商卒)の311奪三振を超え、リーグ歴代11位に躍り出た。20日にはドラフトが控えるが「あくまでもチームが勝てるように、ドラフトのために投げているわけではない」と主将の姿勢は崩さなかった。
 
 好投を続けるエースへの思いが、決勝の一打を生み出した。12回表、先頭の竹村春樹内野手(政経3=浦和学院)が10球粘って四球で出塁すると、逢澤崚介外野手(文2=関西)が巧みな犠打でチャンスを広げる。迎えるは3番・佐野恵。4球目、甘く入った球を芯で捉えると打球はフェンス直撃の三塁打となった。続く4番はそれまで無安打の牛島。「チャンスで打てなかったので、一本出したいなという思いがあった」(牛島)と打ち上げた球は、帰塁に十分な右犠飛に。値千金のダメ押し打で、勝利を確信させた。
 しかし、全体では11残塁と満足とはいえない結果。8安打6四死球の好機を生かせずに延長戦に持ち込んでしまった。得点力で勝ち進んできた打線に掛かった、一旦のブレーキ。この嫌な流れを引きずらず、早大2回戦では見違える打撃を期待したい。

 開幕7連勝は実に20年ぶり。くしくも同じく投手主将を務めた川上氏が投げていた時以来となる。歴史に名を残すほどのチームとなりつつある現・紫紺ナイン。2回戦も激戦が予想されるが「もう自分たちは勝つしかない」(佐野恵)と気合いをのぞかせる。春秋連覇は、もはや夢の話ではない。栄冠は、すぐそこまで近づいている。

[三ツ橋和希]

打順 守備 名 前 打 安 点 率 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
◆明大打撃成績◆
1 (二) 宮崎(履正社) 4 1 0 .286 右安    遊ゴ    左飛    遊ゴ               
  二 竹村(浦和学院) 1 0 0 .250                         中飛    四球
2 (中) 逢澤(関西) 4 1 0 .167 捕ギ    左飛       左安    投ゴ    二ゴ    投ギ
3 (一) 佐野恵(広陵) 4 2 1 .375 死球    中飛       中二    死球    一ゴ    中三
  走 吉田有(履正社) 0 0 0 —                                    
  一 中澤(高崎) 0 0 0 1.000                                    
4 (捕) 牛島(門司学園) 4 0 1 .250 一ゴ       三ゴ    三振    四球    三振    右犠飛
5 (左) 川口(国学院久我山) 6 1 1 .375 右安       左飛    三振    左飛       中飛 一ゴ
6 (右) 萩原(九州学院) 2 0 0 .222 三振       三振                        
  打右 東原(天理) 1 0 0 .500                三ゴ                  
  打 太田(広陵) 0 0 0 —                      死球            
  右 加勢(札幌一) 1 1 0 .500                               右安   
7 (遊) 吉田大(佼成学園) 4 1 0 .455    三振       一ゴ    右安 三振       死球
8 (投) 柳(横浜) 5 0 0 .231    遊ゴ       遊ゴ    左飛    中飛    二ゴ   
9 (三) 渡辺(横浜) 5 1 0 .360    三振       左安    投ゴ    三振    右邪飛   
    計 41 8 3 .311                                 

名 前 試 勝 敗 回 球数 安 振 球 責 率
◆明大投手成績◆
○柳(横浜) 5 4 0 12 149 3 20 1 1 0.98
◆ベンチ入りメンバー◆
10 柳(政経4=横浜) 3 佐野恵(商4=広陵) 6 吉田大(国際4=佼成学園)
11 星(政経4=宇都宮工) 4 竹村(政経3=浦和学院) 7 加勢(理工4=札幌一)
1 齊藤(政経3=桐蔭学園) 5 中野(法3=桐光学園) 8 逢澤(文2=関西)
19 森下暢(政経1=大分商) 14 宮崎(文3=履正社) 20 萩原(営4=九州学院)
23 髙橋(総合2=向上) 15 渡辺(政経2=横浜) 28 東原(商3=天理)
29 伊勢(営1=九州学院) 16 吉田有(商2=履正社) 35 中澤(国際3=高崎)
2 牛島(営4=門司学園) 24 河野(文3=鳴門) 37 越智(営2=丹原)
13 小林恵(農4=遊学館) 25 川口(法4=国学院久我山)
35 西野(政経1=浦和学院) 26 太田(商3=広陵)
明 立 慶 早 法 東 試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
勝敗表 第6週 10/15現在
明大 — ○○ ○ ○○ ○○ 7 7 0 0 3 1.000
立大    — ● ○●○ ○○ ●○○ 9 6 3 0 3 .667
慶大 ●● ○ —    ●○○ ○○ 8 5 3 0 2 .625
早大 ● ●○●    — ●○○ ○○ 9 5 4 0 2 .556
法大 ●● ●● ○●● ○●● —    10 2 8 0 0 .200
東大 ●● ○●● ●● ●●    — 9 1 8 0 0 .111

試合後のコメント
完璧な投球で勝利投手となった柳
「今日は心と身体を上手くコントロールできて、制球に困ることはありませんでした。基本的に試合で調子が悪くても、その日その日の投球に合わせて微調整していくタイプなんですけど、今日はマウンドに上がった時のフォームがそのままはまって上手くいきました。例えば、ボールを引っかけてしまったときに上手く体を開くように調整したり、ここから腕を振ればここにいくとか、スライダーやカットもどこで離せばどのぐらい曲がるかとか。今日はそれが最初から上手くいったのが良かったです。(20奪三振について)三振に関しては牛島が上手くリードしてくれて、今日は勝負どころで厳しい球を投げられたのでそういう結果につながったんだと思います。今日は全ての球種で三振を取れましたし。カットボールは縦に曲げてます。(最後は両脚つっていましたが)12回マウンドに上がったときからですね。でも、今日は自分が降りたら駄目な試合だったので。投げられないことはありませんでしたし。(監督が出てきたのは)マウンドに上がってすぐですね。「脚、どうだ?」って聞かれて、思わず「きてます」って心の声が出ました。そこで言わないのも違うと思ったので、向き合ってやっていこうと。「きてるけど、いけます」って。(あまりそのような素振りは見せませんでしたが)見せないようにしてました。チームメイトを不安にさせたくないっていうのもそうですけど、あからさまにそういうのを出すと自分が崩れていっちゃいそうで。チームのことを考えてもそうですし、自分の中で逃げるようなことはしたくなかったです。相手にも見せると弱みになりますし。(失点したときは)無死三塁になって点を取られてしまいましたが最小失点で抑えようと思って、乗り切ろうと切り替えました。打たれた球も甘くはありましたが、打たれるときは打たれるんで。打者も必死にやってきてますし。(奪三振数321で川上憲伸を抜き、リーグ歴代11位に)三振は一つ一つ積み重ねていければいいと思ってます。嬉しいことですけど試合中は記録のためにやるわけではないので、三振を取った結果記録になればいいかなと思います。ツーストライクまで追い込んだら狙いにいきますし、三振を取った方がいいと思った場面では狙っていくようにしてます。(打者のタイミングを外す落ちる球が多く見えます)スプリットではなくて、カットを縦に曲げてます。フォークは投げてないです。11回の空振りの連続は縦のカットですね。(カットは)縦と横と、あと曲げ幅も大きく変えてます。(ドラフト目前ですが)気にはなりますけど、ドラフトのために投げているわけではないので。あくまでもチームが勝てるように。チームのためにっていう部分を評価してもらえればと思います。(チームは川上憲伸さんが投げていた時以来の20年ぶり7連勝)一戦一戦を必死に戦った結果なので、今日よりも集中して明日からも一球一球集中してやっていきます」

ダメ押しの右犠飛で勝利を決定づけた牛島
「(最終回の犠打)佐野がいい流れを作ってくれたので、その流れに乗っただけですね。(それまでは無安打)チャンスで打てなかったりもあったので、一本出したいなという思いがありました。(柳さんの調子は)良かったと思います。カットボールは相手に合ってなかったので、その合ってない球をそのままいきました。(早大2回戦への意気込み)今日1勝できて、もっとピッチャーを楽にできたら良かったんですけど、明日はもっと野手が頑張って勝てるようにします」

初回に適時打を放った川口
「率直に柳を勝たせることができたので良かったです。もう本当に今日は打者が苦しんだ戦いだったんですけど『柳を勝たせる』という言葉が自然とああいう勝利になったのかなと思います。自分は元ピッチャーだったので、柳があれだけ頑張っているのは気持ちが分かりますし、早く点を取ってあげたいという気持ちが強かったです。(先制打)初戦はチャンスが少ないだろうと思っていて、そのチャンスを生かせれば明治ペースに試合をもっていけるだろうと思っていたのでそこは結果を出せて良かったです。ストレート中心だったので、ストレートだと割り切ってあそこはいきました。感触は良かったです。(空き週で)今引っ張りがちなので、どうしてもアウトコースを攻められたら弱い部分があって。右方向に強い打球を打つというのを空き週でやっていたので、それが1打席目に出て良かったです。今日勝っていい流れで来ているので、明日も勝って立教戦に臨みたいです」

決勝点となる中越適時三塁打を放った佐野恵
「(最終回の適時打)柳が頑張ってたので、野手のみんなで点取ってあげようって言ってたので、助けられてよかったと思います。ちょっと上がりすぎたかなと思ったんですけど、あそこまで伸びてくれてよかったです。(柳投手の好投)引き分けにするにはもったいない柳の投球だったので、何とか勝ち星を付けれてよかったです。(明日の早大戦で優勝が決まる可能性)もう自分たちは勝つしかないので、勝った結果がどうなる組み合わせになるかわからないですけど、勝つことだけ考えて頑張ります」