柳4安打完封! 立大に先勝し完全Vへ王手/東京六大学春季リーグ戦

2016.05.21
 幕が上がった優勝決定戦、2-0で先勝を決めた。先発の柳裕也主将(政経4=横浜)は9回4安打で今季2度目の完封勝利。打線は4回、無死一、三塁から相手投手の暴投で先制点を挙げる。6回には5番吉田大成内野手(国際4=佼成学園)がダメ押しの犠飛を放ち、エースを援護した。38度目のリーグ制覇、3季ぶりの優勝まであと1勝だ。
 魂の121球だった。「今までは大事な試合で完封しきれていなかった。絶対に完封してやろうと思った」(柳)。相手に土がつくまで、マウンドは誰にも譲らない――その気持ちを伝えて見せた。「逃げずに攻めていこう」と牛島将太捕手(営4=門司学園)とのバッテリーは直球中心に試合を組み立てる。初回、球数を稼がれながらも4番笠松(立大)を直球で見逃し三振に切って取ると柳はさらに勢いづく。強気の真っすぐで打者を圧倒し続け、9回まで得点圏に走者を進めたのはわずか2回。直球で押した分に変化球も生き、相手打線に的は絞らせなかった。最後は138kmの直球でセカンドゴロに打ち取ると、その場で白い歯を光らせた。今季2度目となる完封勝利、5つ目の白星を手中にしたエース。これで防御率も相手先発の田村(立大)を上回り、リーグトップへ躍り出た。「最多勝、防御率、奪三振」の投手三冠へと大きく近づいたが、数字以上の貢献度がある。「しっかり投げられたことで、チームも乗っていける」(柳)。マウンド上にある背番号「10」の立ち姿は誰よりもたくましい。次戦のために、今の自分ができることをやり遂げた。

 これが「明治」の粘り強さ。「柳が抑えて、点を取って勝つ。明治が一番やりたい野球をできた」(佐野恵太内野手・商4=広陵)。得点を生み出したのはきれいなヒットでも、ホームランでもない。それでも泥臭く、ただ目の前の一球に食らいついた。先制を狙う打線は4回、先頭の4番牛島がストレートの四球で出塁。ここで続く吉田大がヒットエンドランを仕掛けると打球は相手二塁手の股を抜けて、無死一、三塁の好機に。打順は6番逢澤崚介外野手(文2=関西)に回ると、田村(立大)が投じた4球目が暴投となり1点を先制。3塁走者の牛島はホームインと同時に大きく吠え、ベンチは大きな盛り上がりを見せた。
 ダメ押し点が欲しい中で迎えた6回には先頭の3番佐野恵が一塁線を破る二塁打を放ち、犠打で1死三塁にすると打席には吉田大。「とにかく田村(立大)を打って勝とうという意識があった」。直球に食らいつき、レフト方向へファールフライを飛ばすと「頭から行こうと最初から決めていた」と三塁走者の佐野恵が必死のヘッドスライディングで生還。貴重なダメ押し点をもぎ取り、テンポ良い投球を続けていた田村(立大)をこの回でマウンドから引きずり下ろした。「みんなで頑張ろう、粘り勝とうという気持ち、声を出して伝えようという気持ちでやっている」(加勢一心外野手・理工4=札幌一)。負けられない初戦を勝ち切れた要因、それはチームの一体感の中にある。

 悔しい記憶を、歓喜の瞬間へと塗り替える。昨季の最終カードは初戦を取り、優勝へと王手をかけた後で法大に連敗。目前にあった優勝が逃げていき、その場に立ち尽くすことしかできなかった。新体制となって迎えた今、優勝はもう目の前に見えている。「明日の1球目から、全員で目標に向かっていく」(柳)。紫紺ナインに迷いはない。全員野球で6季ぶりの完全優勝を決めてみせる。

[土屋あいり]

打順 守備 名 前 打 安 点 率 1 2 3 4 5 6 7 8 9
◆明大打撃成績◆
1 (二) 竹村(浦和学院) 4 1 0 .219 中飛    三安    左飛    二ゴ      
2 (左) 東原(天理) 2 0 0 .259 投ゴ    四球    三振            
  左 加勢(札幌一) 1 1 0 .222                      二安   
3 (一) 佐野恵(広陵) 4 1 0 .302 一邪飛    中飛       右二    三振   
4 (捕) 牛島(門司学園) 1 0 0 .333    四球    四球    投ギ    三振   
5 (遊) 吉田大(佼成学園) 2 0 1 .304    投ギ    二失    左邪犠飛    三振   
6 (中) 逢澤(関西) 3 2 0 .300    二ゴ    中安    中安          
7 (右) 荒木(愛工大名電) 3 0 0 .118    三振    投ゴ    三振         
  右 佐藤(白樺学園) 0 0 0 .286                           
8 (投) 柳(横浜) 3 0 0 .190       三振 遊ゴ       右飛      
9 (三) 渡辺(横浜) 3 0 0 .256       遊ゴ    遊ゴ    左飛      
    計 26 5 1 .258                           
名 前 試 勝 敗 回 球数 安 振 球 責 率
◆明大投手成績◆
○柳(横浜) 9 5 1 9 121 4 8 1 0 0.83
◆ベンチ入りメンバー◆
10 柳(政経4=横浜) 3 佐野恵(商4=広陵) 6 吉田大(国際4=佼成学園)
11 星(政経4=宇都宮工) 4 竹村(政経3=浦和学院) 7 加勢(理工4=札幌一)
18 川口(法4=国学院久我山) 5 富岡(商4=日大三) 8 坂田(文4=倉敷商)
1 齊藤(政経3=桐蔭学園) 13 小林恵(農4=遊学館) 9 佐藤(文4=白樺学園)
19 髙橋(総合2=向上) 14 河野(文3=鳴門) 37 逢澤(文2=関西)
23 森下暢(政経1=大分商) 15 渡辺(政経2=横浜) 38 東原(商3=天理)
2 牛島(営4=門司学園) 16 高瀬(営2=長崎西) 39 和田慎(商1=常総学院)
20 中道(商4=智辯学園) 24 荒木(文4=愛工大名電)
22 氷見(政経2=豊川) 34 宮﨑(文3=履正社)
明 立 慶 法 早 東 試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
勝敗表 第7週 5/21現在
明大 — ○ △○●○ ○●○ ○●○ ○●○ 14 9 4 1 4 .692
立大 ● — ○○ ○●● ○○ ●○○ 11 7 4 0 3 .636
慶大 △●○● ●● — ○○    ○○ 10 5 4 1 2 .556
法大 ●○● ●○○ ●● — ●○○ ● 12 5 7 0 2 .417
早大 ●○● ●●    ○●● — ○○ 10 4 6 0 1 .400
東大 ●○● ○●● ●● ○ ●● — 11 3 8 0 0 .273

試合後のコメント
今季2度目の完封勝利で5勝目を挙げた柳

「今までは、大事な試合で完封しきれてなかったので、絶対に完封してやろうと思いました。1球1球、腕を振るというか、終盤に点を取られることが多いので、終盤になっても気持ち切らさずに、腕を強く振ることだけ考えました。(終盤は鬼門だったが)終盤に点を取られることが多かったので。今まで、前半変化球で多く空振りをとれたのですが結局終盤で点を取られるケースがあったので、今日は変化球で逃げずに、真っ直ぐで押しきれたのでそこは良かったと思います。(今までにないパターンか)はい。徹底して強い真っ直ぐを投げました。(早稲田戦は)5回までしっかり投げられて、6回から捕まり出したので、今日は気持ちを切らさずに投げようと思いました。(善波監督から完封を勧められたか)自分から申し出ました。今まで自分がビシッと完封するというのが無かったので、今日は何とかしようと思いました。明日につながると思います。自分一応キャプテンやってるので、しっかり投げられたことで、チームも乗っていけるというか安心できる部分もあると思います。この1週間は勝ち点取ったら優勝というカードなので、今までの試合よりは緊張感もありましたけど、今日は緊張することなく、むしろいい方に捉えて、自分が冬の間にやってきたことだけを意識して投げようと思いました。(主将として明日に向けて)明日の立教は今日よりも強い立教で来ると思うので、しっかりいい準備をして、明日の1球目から全員で目標に向かっていければいいなと思います」

攻めの気持ちで柳をリードした牛島
「柳の球がよかったので今日も、柳と話し合って話し合った通りの試合展開ができたと思います。真っすぐも、コントロールは途中から付いてきたんですけどよかったです。(変化球が入らなかったからストレートを多く投げたのか)そうですけど、いいところには(変化球が)来ていたのであまり気にしてはいなかったです。相手の感じを見て逃げないでという風にやりました勢いのあるチームなんですけど、逃げずに攻めていこうと話し合ってました。終盤までみんななかなか追加点が取れてなくて、今日はそこで追加点取ってなかったら嫌な雰囲気になっていたと思うのですが、吉田がいいところで打ってくれたから、そこでいけるではないですけど柳の気持ちの面でも1点ならまだ大丈夫という気分で投げていたと思います。(受けている感じとして柳は)全然変わらずよかったと思います。(立大は)一番警戒するクリーンアップなのですが、クリーンアップにヒットはしょうがないかなっていう、その前にランナーをためないというかクリーンアップというのはピッチャーのパワーなのでギアをそこだけ低くしてやりました。早稲田の時に、休みというか星を投げさせて柳を投げない形を取ったのですが、そこでまた柳が責任感を感じて、俺がやってやるというスイッチが柳の中で入ったのかなと。(正捕手としての自分の成長は)ピッチャーが自分よりはそれを知っているので星とか柳とかにも助けてもらっています。(捕手として意識していることは)逃げないですかね。もう攻めて攻めてって感じですね」

8回に代打で内野安打を放った加勢
「自分は2年生の頃からずっと控えでやって来たので、自分が役割を与えられたときにしっかりやろうという気持ちでやってます。(ヒットが出ない展開だったが)明治はそういう野球でずっと勝ってきてるので、みんなで頑張ろう、粘り勝とうという気持ちで、(自分は)ベンチだったので声出して伝えようという気持ちで一生懸命やってました。(ヘッドスライディングでヒットをもぎ取ったが)自分はいつもそういう風にやってきているので、いつも通り全力プレーでやりました。(明日の試合に向けて)昨年もここまで来て優勝を逃しているので明日で絶対に決めるという気持ちで、頑張ります」

6回の犠飛にヘッドスライディングで生還した佐野恵
「柳が抑えて、点を取って勝つという明治が一番やりたい野球をできたかなと思います。(二塁打は)それまで打球が上がってフライアウトになっていたので、打球を抑えようと思って打席に入った。飛んだコースも良かったし、1点欲しいところでヒットを打てたので良かったと思います。感覚は悪くないんですけど、ミスショットみたいなのが多いので今からもまた調整していきたいと思います。(犠飛は)大成(吉田)も何とかしようとやっていてフライも十分なフライが上がったんで何とかセーフになろうと思いながら走りました。最初から頭から行こうと決めてました。クロスプレーになるなら頭から行った方がいいかなと。去年はここから負けているので、ここでまた気持ちを引き締めて明日から戦っていきたいです」

6回にダメ押しの犠飛を放った吉田大
「去年ここから負けているので、嬉しいですけど、まだ明日の試合に目が行ってしまいます。初戦田村だったので、柳をどうにかして勝たせたくて、防御率もそうですし、柳は1個負けているので、とにかく田村を打って勝とうという意識があったので、降板させて勝つことができて良かったです。去年ここから負けているので、明日絶対取って優勝したいと思います」

3回に絶妙なセーフティーバントを決めた竹村
「大事な試合というのもあって、ちょっと緊張しました。(勝ちきれた要因)柳さんがしっかり抑えてくれて、守る人が守って、ワンチャンスをものにできたんじゃないかなと思います。柳さんはいつも通り腕振れてて、相手のこともしっかり読みながら落ち着いていました。(3回のセーフティーは)どんどんストライクを取りにきていてテンポが良かったので、そのまま打っていったら相手に流れがいってしまうなと思って、ファールでもいいから1回バントを入れて間を取ろうと思いました。(明日)死ぬ気で勝ちにいきます」

マルチ安打で好調を維持している逢澤
「打席に入るとき、優勝がかかっているとかそういうことは特に意識していなくて、その1打席1打席に集中していました。(プレッシャーは)感じていません。やっぱり柳さんが頑張られているので、それに応えて柳さんを助けてあげたいっていう気持ちをみんなが一番に持っていると思います。自分が伸び伸びプレーできるような、活躍しやすいような環境を先輩方がつくってくださっています。自分も渡辺もそうなんですけど、伸び伸びとやれています。(今日一番の勝因を挙げると)グラウンドに出ているメンバーもそうなんですけど、ベンチも一体となって全員でできたことが勝ちにつながったと思います。(明日)チャンスで回ってくることがあると思いますが、そこでチームを勢い付けられるようなバッティングを一本できればいいなと思います」