牛島がサヨナラ本塁打 延長戦を制し早大に先勝/東京六大学春季リーグ戦

2016.05.14
 今季2度目のサヨナラ勝ちを決めた。「明早戦」の幕が切って落とされたこの日、明大は4回に牛島将太捕手(営4=門司学園)の左越え本塁打で先制に成功。1-1で迎えた8回、先発の柳裕也主将(政経4=横浜)が勝ち越しの一打を浴びるも、その裏に同点に追い付き試合は延長戦へと突入した。両者譲らず迎えた11回、牛島がこの日2本目となる本塁打を放ち3-2でサヨナラ勝ち。手に汗握る延長戦、最後は4番の一振りで終止符を打った。
 その瞬間、バットを握り締めた手が右手拳へと変わった。延長11回裏、打席に立ったのは先頭の4番牛島。カウント2ボール1ストライクから小島(早大)の少し高めに浮いた137kmの直球を見事に仕留めた。「入ってくれましたね」(牛島)。打球は左翼席へと吸い込まれていくサヨナラのホームラン。ダイヤモンドを一周すると、ベンチから飛び出したチームメイトに手荒い祝福を受けた。法大3回戦で4安打1打点の活躍を見せると、この日は4番に昇格して3安打2打点。4回には先発・竹内(早大)の変化球を捉え、先制の本塁打を叩き出した。8回には同点に追い付いた直後、1死満塁と一打逆転の場面で打順が回るも空振り三振。しかし、そこで終わらないのが今の牛島だ。最終回となった11回、最後は前の打席で差し込まれていた小島(早大)の直球に食らい付いて放物線を描いた。1試合2発、そしてサヨナラ本塁打は野球人生で初の出来事。まだ見ぬ境地へ――「お祭り男」の名を他に譲るつもりはない。

 神宮球場に足を運んだ観客の視線が、ただ一点に集中する。その先にはマウンドに立つ柳。試合開始のコールとともに先頭の真鍋(早大)を見逃し三振に仕留めると、そこから圧巻の奪三振ショーが始まった。牛島の外角低めに構えたミットに、糸を引いたような直球が吸い込まれていく。変化球の落ちもよく3回から5回には6者連続の空振り三振。6回、先頭の木田(早大)に変化球をレフトスタンドへと運ばれ同点に追いつかれるも、その後に出た走者を好フィールディングで抑え、流れは渡さなかった。
 8回3安打2失点の結果にも「後半もっと頭を使っていければよかった」。1-1の同点で迎えた8回、1死二塁から8番吉見(早大)に左越えの適時二塁打を浴びて勝ち越しを許してしまう。この回、先頭の八木(早大)に四球を与えたときだった。自分への怒りを表すかのように、柳はグラブを叩いていた。ここにエースの矜持(きょうじ)がある。「柳があそこまでやってくれているから、みんなで何とかしようとするのが出ている」(牛島)。チームはその裏に同点に追い付くと、延長戦で女房役の牛島が試合を決めた。投げては9回から齊藤大将投手(政経3=桐蔭学園)、星知弥投手(政経4=宇都宮工)の継投リレーが相手打線を封じ込めた。試合後には「チームが勝ててよかった」と相好を崩した柳。チームの勝利のために、その右腕を振り続けている。

 「厳しいゲームになっても動じずに、苦しい場面を戦えるようになってきた」(佐野恵太内野手・商4=広陵)と試合を重ねていくごとに成長を見せている選手たち。2回戦ではさらなる総力戦が予想されるだろう。「今日よりも強い明治で明日を迎えられるように」(柳)。連勝で勝ち点奪取へ、紫紺ナインは歩みを止めない。

★4年生が生み出した8回の同点打★
 最上級生の意地を見せつけた。1-2で迎えた8回裏、四球と犠打で1死二塁の好機をつくると打席には代打の小林恵大内野手(農4=遊学館)。カウント3ボール1ストライクから貴重な四球を選んで出塁した。すると続く代打の中道勝士捕手(商4=智辯学園)も「前のバッターが必死になってフォアボールを選んでくれた」とその思いをきれいなセンター前でのヒットでつなぐ。これで無死満塁、見せ場十分の場面で打順は佐野恵に回る。2番手・吉野和(早大)の投じた変化球を捉えると、打球は二遊間の間を抜ける同点打に。4年生の底力を見せつけて絞り出した1点だった。「どんなときでも4年生以下の選手が出て自信を持ってプレーするためには、後ろにいる4年生がしっかりしないといけない」(小林恵)。チームを引っ張り続ける最上級生、頼もしいの一言に尽きる。

[土屋あいり]

打順 守備 名 前 打 安 点 率 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
◆明大打撃成績◆
1 (二) 竹村(浦和学院) 3 0 0 .125 遊ゴ    二ゴ       三振               
  打 富岡(日大三) 0 0 0 .111                                 
  打 小林恵(遊学園) 0 0 0 .167                      四球         
  走右 佐藤(白樺学園) 0 0 0 .308                            一ギ   
2 (右) 加勢(札幌一) 3 0 0 .214 遊ゴ    左飛    二ゴ                  
  打 中道(智辯学園) 1 1 0 .600                      左安         
  投 齊藤(桐蔭学園) 0 0 0 .500                                 
  投 星(宇都宮工) 1 0 0 .200                            三振   
3 (一) 佐野恵(広陵) 4 2 1 .341 四球       中飛    一ゴ    中安    中安   
4 (捕) 牛島(門司学園) 5 3 2 .342 右安       左本       右飛 三振       左本
5 (左) 東原(天理) 4 1 0 .250 遊ゴ       二ゴ       右安 二ゴ         
6 (遊) 吉田大(佼成学園) 3 0 0 .308    遊ゴ    遊ゴ       投ギ    三振      
7 (中) 逢澤(関西) 2 0 0 .233    二ゴ       投ゴ                  
  打 河野(鳴門) 1 0 0 .333                  二ゴ            
  中 坂田(倉敷商) 1 0 0 .200                         右飛      
8 (投) 柳(横浜) 2 0 0 .222    三ゴ       三振                  
  打 越智(丹原) 0 0 0 .200                      四球         
  二 太田(広陵) 1 0 0 .222                         二ゴ      
9 (三) 渡辺(横浜) 2 0 0 .303       捕邪飛   左飛       投ギ    四球   
    計 33 7 3 .257                                 
名 前 試 勝 敗 回 球数 安 振 球 責 率
◆明大投手成績◆
柳(横浜) 8 4 1 8 114 3 11 1 2 0.96
齊藤(桐蔭学園) 5 0 2 1 15 0 1 1 0 1.93
星(宇都宮工) 6 1 0 2 29 0 3 1 0 1.13

◆ベンチ入りメンバー◆
10 柳(政経4=横浜) 3 佐野恵(商4=広陵) 6 吉田大(国際4=佼成学園)
11 星(政経4=宇都宮工) 4 竹村(政経3=浦和学院) 7 加勢(理工4=札幌一)
18 川口(法4=国学院久我山) 5 富岡(商4=日大三) 8 坂田(文4=倉敷商)
1 齊藤(政経3=桐蔭学園) 13 小林恵(農4=遊学館) 9 佐藤(文4=白樺学園)
17 水野(農3=静岡) 14 河野(文3=鳴門) 37 逢澤(文2=関西)
23 森下暢(政経1=大分商) 15 渡辺(政経2=横浜) 38 東原(商3=天理)
2 牛島(営4=門司学園) 16 高瀬(営2=長崎西) 39 越智(営2=丹原)
20 中道(商4=智辯学園) 24 荒木(文4=愛工大名電)
22 氷見(政経2=豊川) 35 太田(商3=広陵)
明 立 慶 法 早 東 試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
勝敗表 第6週 5/14現在
明大 —   △○●○ ○●○ ○ ○●○ 11 7 3 1 3 .700
立大   — ○ ○●● ○○ ●○○ 9 6 3 0 2 .667
慶大 △●○● ● — ○○    ○○ 9 5 3 1 2 .625
法大 ●○● ●○○  ●● — ●○○    11 5 6 0 2 .455
早大 ● ●●    ○●● — ○○   8 3 5 0 1 .375
東大 ●○● ○●● ●● ●● — 10 2 8 0 0 .200

試合後のコメント
8回3安打2失点の力投を見せた柳

「チームが勝ててよかったかなと思います。(サヨナラ打の牛島選手)キャッチャーとしてもバッターとしても頼もしい存在だなと思います。今日はやっぱり牛島がホームランを2発打ってくれたのがデカかったです。(5回まで10Kも)途中でつかまりだしたので、後半もっと頭を使っていければよかったかなと思います。(4年生)しっかり4年生がやってくれている。4年生が活躍しないと勝てないと思うのでこの調子でレベルアップしながらやっていければと思います。(次戦への意気込み)明日も今日よりも強い早稲田でくると思うので、今日よりも強い明治で明日を迎えられるようにしたいです。ピッチャーがしっかり抑えて守って勝つ明治の野球ができればなと思います」

先制、サヨナラの本塁打を放った牛島
「(打った瞬間は)感触的にはよかったんですけど、入ってくれましたね。8回もチャンスだったのですが、小島投手の真っ直ぐが全然見れなくて下を振ってしまい、次は手を加えて打ててよかったです。今年は8番とか打順は悪かったのですが、4番で使ってもらって嬉しかったですし、期待に応えようと思いました。(1本目のホームランは)真っ直ぐかカットかそのへんで、風もあったんでのってくれたかなと。(2本目は)ストレートです。コースは真ん中の外右くらいです。柳に勝ちをつけようってやっているのですが、柳がああいう形で代わって、柳があそこまでやってくれているからみんなで何とかしようとするのが出ているのかなと。自分の配球もですけど、柳が投げたい球っていうか柳も配球してくれるので楽ではありました。(去年まで試合には出ていなかったが)人がいないのはしょうがないので、自分がやるしかないっていうかバッティングならバッティング、守備なら守備をやるだけでくだけです(今季3号目)冬の間監督がずっとついてくれて指導してくれるのでその成果が充分に発揮できたのかなと。上体だけでなく、下半身で打っていくのを意識しました。(下半身を鍛えるために)スクワットとかできることをやってます。(1試合に2発は今まで)ないですね。サヨナラもないんじゃないですか。高校も。サヨナラヒットもないと思います。(高校通算ホームランは)15本です」

8回に貴重な四球を選んだ小林恵
「もともといつでも代打の準備はしているので、同じポジションの佐野が活躍している中自分も活躍したいと思って毎日練習取り組んでいるのでチャンスであればあるほど自分も気持ちが燃えます。いつでも準備はしているので急にピッチャーが変わっても落ち着いていけました。もともと積極的に打ちにいくタイプなんですけどあの場面はピッチャーの方が苦しいと思ったので自分は冷静に、良い球がきたら打とうという気持ちで打席に立ちました。やっぱりチームが勝つというのが一番嬉しいことなので、自分がつないで2人ヒットを打ってくれたおかげで勝ちにつながったと思うので、チームが勝てたことが一番嬉しいです。(4年生について)結局チーム全体として1、2、3年生がミスしても4年生がカバーできるようなチームづくりを新チーム始まってからしてきているので、どんなときでも4年生以下の選手が出ても自信を持ってプレーするためには、後ろにいる4年生がしっかりしないといけないというふうに思っているので、たとえスタメンじゃないとしても自分ができる仕事を毎日練習してチーム一丸となってやっている感じですね。率先して4年生が練習なり試合なり引っ張ってやっている結果が良いチームワークになって結局が出ているんだと思います。1球1球重みを感じながらベンチも試合に出ている選手も一体となってやっているので、そこでベンチにいる選手、試合に出ている選手と分離しないために常に全員が1球に集中して声を出してやっています。やっぱり最高学年がしっかりしないとチームはまとまらないと思うので、今いい感じでこのリーグ戦きていることもやっぱり4年生が中心になってやっているのが結果になっていると思います。日頃の成果が出ているなと思います。(牛島のサヨナラホームランは)いやもう最高ですね。ベンチから飛び出ましたし、まだ勝ち点は取ってないですけどこの一勝のために今日きたので、勝てて本当にうれしいです。個人としてはいつでも試合に出られるような準備を最初からつくっといて、チームとしては優勝を目指してやっていくために明日の試合は絶対大事な試合になると思うので、今日、今からしっかり気持ちを切り替えて、明日から一戦一戦やっていくだけです」

8回に同点打を放った佐野恵
「明治らしいといえば明治らしい試合でしたけど、もっと楽に勝たなきゃいけないとも思いますし、柳に勝ちを付けてあげたかったなという思いもあります。打順のことはそんなに意識はしていなくて、どの打順でも自分が求められていることは同じだと思うので、チャンスで1本出せたのは良かったと思います。(同点打)ボール気味で多分変化球だったんですけど、どうしても追い付かないといけない場面だったんで、何とか食らいついて、飛んだところも良かったんで何とかできたのかなと思います。(10回は)ホームでアウトになってしまったんですけど、仕事はできたのかなという感じです。東大戦に負けたところから始まって試合を重ねてきて、リーグ戦を進めるなかでどんどん強くなっていかなくちゃいけないということは首脳陣から言われていて、自信をつけるところは自信をつけて、自分たちの戦いをしなきゃいけない試合は続くので粘るところは粘ってやっていきたいです。厳しいゲームになっても動じずに、苦しい場面を戦えるようになってきたのかなと思います。明日も厳しい試合になると思うので、ピッチャーを援護できるように野手陣も修正して戦いたい」

同点打のお膳立てとなる安打を放った中道
「前のバッターが必死になってフォアボールを選んでくれたので、そいつのために打とうという気持ちで打席に向かいました。(打った球は)内に入りすぎていたので覚えていないです。球が遅いというのはデータにあったので、もう引っ張らずにセンター返しでいこうという感じでした。感触は良かったです。監督から常に4年生が引っ張っていけというのは言われているので、あそこは4年生の意地を見せれて良かったかなと思います。(延長戦)全員が勝つといつ気持ちでいたので、いけると思いました。牛島とはずっと切磋琢磨(せっさたくま)してやってきたので、それは仲間として嬉しかったです。頼もしかったです。(明日に向けて)まだまだ優勝が決まったわけではないので、挑戦者の気持ちでいきたいなと思います」

好救援で自身初白星を挙げた星
「(登板したときの気持ち)前に柳、齊藤が必死につないでくれたので自分もゲームが決まるまで0で抑えようってなりました。(勝ちがついたこと)中継ぎというポジションなので勝ちというのはあまり意識していない。うまくゲームを勝ちで締めくくれたので自分はそれでいいかなと思います。勝ちが欲しくないといえば嘘になるんですけど、抑えという立場なので最後ゲームを締めることしか自分は意識してないです。(自分としては)法大戦の入りは自分的にはあまり良くないようなゲームの入りでしたし、厳しい戦いがこれから増えていくと思うので、後ろでチームのみんなにも信頼されるようなピッチャーになっていきたいと思います。(状態が上がっているが練習は)ブルペンで普段からピッチングする際にも、アウトコース、インコースのコースは勿論なんですけど、高さもしっかり意識して今までずっとやってきてるので、それがゲームの中で成果になって出てきているのかなと思います。(良くなっているところ)フォームのバランスが徐々に良くなってる感じはします。特に変えた部分はないですけど、ゲームに入る気持ちのモチベーションの持ち方であったりとかは少し考えたりしました。気持ちが先走ってしまうようなタイプなので、ブルペンにいるときは気持ちをなるべく落ち着かせて、行くぞって言われてから気持ちを上げていくようなイメージです。気持ちが先走って投げ急いでしまうような部分は、キャッチャーにも言われるので、そこは意識してやりました」

1回を無失点に切り抜けた齊藤
「法政戦で勝っている場面で出させていただいて失敗して、本当に勝ち負けにかかってくる場面で毎回投げさせてもらって、慶應戦でもそうだったんですけど、そういう場面を任せてもらっているっていうのは信頼されているということでもあると思うので、その期待に応えるという思いで投げました。今日は調子は良くなくて全然満足していないので、また次、機会があれば絶対いい投球ができるように、頑張りたいです。投げるのは短いイニングなので、任せられる部分をしっかり投げたいです」