柳が完封&サヨナラスクイズ 東大に白星発進/東京六大学春季リーグ戦

2016.04.16
 主将が投打の「主役」となった。初戦突破を狙う明大の先発は柳裕也主将(政経4=横浜)。9回2安打の粘投で相手打線を寄せ付けなかった。しかし、エースを援護したい打線も相手先発の宮台(東大)を最後まで攻略できず。0-0で迎えた9回裏、最後は1死三塁から柳がスクイズに成功。緊迫した投手戦はサヨナラ勝ちの幕切れとなった。

 直球を捉えると、サヨナラ勝ちを確信した。スコアボードに「0」が並び続ける試合展開、柳と宮台(東大)の投げ合いが淡々と回を刻んでいた。延長戦突入も見え始めた9回裏、先頭の佐野恵太内野手(商4=広陵)が左中間への二塁打で出塁。次打者の犠打で1死三塁の好機を作ると、打席には柳。「最後なので気合でいきました」。内角低めに来た球を難なく処理して三塁へ転がすと、三塁走者の佐野恵がホームイン。張り詰めていた雰囲気の中、チーム全員に安堵の表情が浮かんだ瞬間だった。

 明暗が分かれた両陣の9回の攻撃だった。9回表、先頭の桐生(東大)にフェンス直撃の左二塁打を浴び、犠打で1死三塁のピンチを迎える。この時、柳にとって忘れられない記憶が脳裏をよぎっていた。昨秋の法大3回戦、13回表の法大の攻撃。1死三塁から勝ち越しのスクイズを許した。目前にあった優勝を逃し、ただ下をうつむくことしかできなかった。あれから約6カ月、マウンドに立つ背番号「10」の柳は違った。「今回は冷静に周りが見えていたので良かった」。スタートを切る三塁走者を横目に、ショートバウンドの投球で意図的にスクイズを外す。打球は投手への小フライとなり、三本間で挟まれた走者も三封して併殺。わずか一瞬の判断が最終回のサヨナラ劇を呼び込んだ。
 「最近では1番悪かった」と振り返るように、久しぶりに立ったマウンドで苦しみながらの投球が続いた。「真っすぐが全部高めにいって、変化球も全然コントロールできなかった」。チームを背負う責任感は人一倍、それでも自分以上になる必要はない。「コントロールを意識して、打たせて取る」。指先の感覚を徐々に取り戻していくと、9回を投げ切り2安打8奪三振1四球。終盤には早いカウントで相手打者を手玉に取った。誰よりも、自身が成長を感じることのできた開幕白星だ。背中の「10」が柳を何回りも大きくしていく。

 「快勝」という言葉には程遠い攻撃だった。打線は8回まで走者を得点圏に5度進めるも、あと一本が出ず。8回には1死満塁から三振と一邪飛で凡退。宮台(東大)の右打者の内角を突くシンカーに差し込まれては、伸びのある直球に手が出なかった。「野手がもっと点取れば色々なピッチャーが投げられるし、余裕も出てくる」と牛島将太捕手(営4=門司学園)。チーム計8安打のうち3本は内野安打。粘り強さを見せた上で訪れた勝機を必ずものにしたい。

 圧勝で勝ち点を奪ってチームを勢いづけたい。2回戦の先発は星知弥投手(政経4=宇都宮工)が予想される。「野手がこれだけ苦しめられていると、今後のリーグ戦にも影響してくる」(佐野恵)。オープン戦から、未だに大量得点で勝利した試合はない。点差をつける試合展開で、選手一人一人がきっかけをつかんでみせる。

[土屋あいり]

打順 守備 名 前 打 安 点 率 1 2 3 4 5 6 7 8 9
◆明大打撃成績◆
1 (三) 渡辺(横浜) 3 1 0 .333 一ゴ    左飛       投ギ    二安   
2 (左) 加勢(札幌一) 3 0 0 .000 中飛       捕邪飛    遊飛         
打左 東原(天理) 1 1 0 1.00                      左安   
3 (右) 逢澤(関西) 3 1 0 .333 二ゴ       二安    三振    四球   
4 (捕) 牛島(門司学園) 2 0 0 .000    四球    四球       遊飛 三振   
5 (一) 富岡(日大三) 2 0 0 .000    投ギ    投ゴ       中飛      
二 河野(鳴門) 1 0 0 .000                      一邪飛   
6 (二) 竹村(浦和学院) 2 0 0 .000    三振       三振           
  打一 佐野恵(広陵) 2 2 0 .000                   右安   中二
7 (遊) 吉田大(佼成学園) 3 1 0 .333    一ゴ       二ゴ    右安    投ギ
8 (投) 柳(横浜) 4 1 1 .250       二飛    三ゴ    中飛    三安
9 (中) 坂田(倉敷商) 3 1 0 .333       遊ゴ       投安    二飛   
    計 29 8 1 .276                        

名 前 試 勝 敗 回 球数 安 振 球 責 率
◆明大投手成績◆
○柳(横浜) 1 1 0 9 117 2 8 1 0 0.00

◆ベンチ入りメンバー◆
10 柳(政経4=横浜) 3 佐野恵(商4=広陵) 6 吉田大(国際4=佼成学園)
11 星(政経4=宇都宮工) 4 竹村(政経3=浦和学院) 7 加勢(理工4=札幌一)
18 川口(法4=国学院久我山) 5 富岡(商4=日大三) 8 坂田(文4=倉敷商)
1 齊藤(政経3=桐蔭学園) 13 小林恵(農4=遊学館) 9 佐藤(文4=白樺学園)
17 水野(農3=静岡) 14 河野(文3=鳴門) 37 逢澤(文2=関西)
19 髙橋(総合2=向上) 15 渡辺(政経2=横浜) 38 東原(商3=天理)
2 牛島(営4=門司学園) 16 吉田有(商2=履正社) 39 越智(営2=丹原)
20 中道(商4=智辯学園) 26 中澤(国際3=高崎)
22 氷見(政経2=豊川) 24 荒木(文4=愛工大名電)
早 慶 明 立 法 東 試合 勝利 敗戦 引分 勝ち点 勝率
勝敗表 第2週 4/16現在
早大 —         ○○ 2 2 0 0 1 1.000
慶大   —      ○○    2 2 0 0 1 1.000
明大      —       ○  1 1 0 0 0 1.00
立大         — ○     1 1 0 0 0 1.00
法大    ●●    ●   —    3 0 3 0 0 .000
東大 ●●    ●        — 3 0 3 0 0 .000

試合後のコメント
自身のサヨナラスクイズで完封勝利を収めた柳主将

「(自分で投げて自分で決めた)最後は決まって良かったなと思います。(サインは直前)そうです。(難しい球)最後なので気合でいきました。(コースは)インローです。(今日の投球)立ち上がりから探り探り、その中でなんとか試合をつくりながら投げていました。調子が悪いなりに試合を作れたのは良かったかなと思います。真っすぐが全部高めに行きましたし、変化球も思うように全然コントロールできなかったので、最近では1番悪かったと思います。いつもは早い段階で修正できるんですけど、なかなかできない部分があった。でも自分のことばかりになってもいけないのでそこは割り切って試合をつくろうと考えて投げました。コントロールを意識して、打たせてとる。野手もしっかり守ってくれたので自分もリズムに乗れました。(球種は)カーブはワンバンになって、カットも真っすぐも良くなかったです。でも調子が悪いときもあると思うので、そういった中でしっかり抑えられたのは良かったと思います。(スクイズをワンバンで外したが)わざとです。走ったのは横目で見えて分かった。(当ててきたのは)びっくりしました。フライになってよかったです。球種は真っすぐだったんですけど、遅く投げました。ワンバンを投げようと思ったので。高校時代からああいうことは身についていますし、そういうところが自分の持ち味だと思うのでできて良かったです。練習もしたので。足を上げてすぐにランナーが走ったのが見えました。去年の秋の法政戦は冷静さがなくて外すことができなかったんですけど、今回は冷静に周りが見えてたので良かったと思います。(チェンジアップ)もっと使えると思うんですけど、今日は場面がなかった。自分なりに今年の冬練習しました。(調子が悪いときは)色んな自分の中の修正ポイントを全部試します。バックが守ってくれるので、追い込んで三振をとるではなく、打たせてとるコントロール重視のピッチングに切り替えることもあります。(修正ポイントについて)色々試した腕のテイクバックとか、足の使い方とか、体重移動、左腕の角度とかたくさんあります」

開幕戦で「4番・捕手」に座った牛島
「柳の調子はあまり良くなかったです。ブルペンで受けた感じも良くないなという感じでした。序盤からそんなに良くなくて、後半からは自分で調整して良くなってました。柳はダメなりに自分で工夫できるピッチャーなので、任せるではないですけど、回の終わりにこうなってるよとか話したりしました。(カットボールを多く投げた?)真っすぐが高めに浮いていたんですけどカットボールはゾーンに来ていたので使えるかなと。(9回のスクイズ阻止について)監督から逃げたら低めで外そうと言われていました。まさかああいうフライになるとは思ってなかったですけど準備はしていました。真っすぐだったんですけど柳がショーバンに投げようとしてちょっと抜いたボールでした。(自身について)1、2打席目は四球で厳しいところ来てたのでいいところだけ狙っていこうかなと思っていたんですけど、チャンスの場面自分的には打てる球を打ち損じてしまって、柳には申し訳ないことをしました。後ろにいいバッターいるのでつなげようと思ってました。今日は柳が1人で頑張っていた感じなので、野手がもっと点取れば色々なピッチャーが投げられるし、余裕も出てくるので捕手としては0点に抑えて、打者としてはもっと楽にピッチャーを投げさせられるようにしたいです」

途中出場でマルチ安打と奮起した佐野恵
「みんな宮台に苦しめられていたので、代打の準備をしながら自分が出た時に得点に絡んだり、チャンスをつくれたらいいなと思いながら準備していました。柳が1人で踏ん張っている感じだったので、最終回は何とかして試合を決めてあげたいというのと、野手がこれだけ苦しめられていると今後のリーグ戦にも影響してくると思ったので、何とか1本出そうと思ってました。それが結果につながって良かったです。絶対ゴロでもホームに帰ってやろうと思っていて、(スクイズの)サインが出て柳がきっちりいいところに転がしてくれて、本当に柳のおかげで勝った試合だなと思います。まだまだ今日打ったからどうこう言える立場ではないんで、これからも気を引き締めて1試合ずつ今までと変わらずやっていかなきゃいけないと思います」