(3)安打の軌跡② 100安打、そして記録への挑戦

2015.09.11
 数字の重圧と戦い始めた。通算安打記録を1本上回る数字である128という数字をバットのグリップエンドに刻むようになった3年春。目指す数字を明確にして迎えた3年次は、春秋それぞれ19安打を放つ活躍ぶり。自己最多タイとなる20安打には惜しくも及ばなかったが、圧倒的な存在感を示した。そして遂に迎えたラストイヤー。4年春には徐々に迫ってくる偉大な選手たちの記録に並び、追い越し、それでも「見ている数字が違う」と自らを鼓舞し続け、117安打まで積み上げた。

<3年次(2014年)>
 100安打まであと38安打とし、背番号38を付けて迎えた3年春。開幕カードの東大戦では2試合で1安打と湿りがちだったが、2カード目の慶大戦で打棒が爆発。3試合で7安打を放ち波に乗ると、その後もコンスタントに安打を量産。「ボール球を振らなくなった」と好調を維持し、打率は1年春以来の3割台、さらには自身3度目のベストナイン受賞と飛躍のシーズンとした。シーズン終了時には通算81安打と、安打数現役トップに躍り出た。

 「ヒットを20本打つ」と強く意気込み臨んだ3年秋。髙山は背番号を20に変え、通算100安打達成へ序盤から驚異のペースで歩み寄る。開幕から8試合連続で安打を放ち、計14安打。100安打まで数本に近づいてからは「考えすぎて結果が出なかった時もあった」と振り返るが、調子を落とすことなく最終戦で偉業を達成。怪物・髙山俊の名を六大学史に刻んだ。
 神宮の杜が歓喜に沸いた。100安打まで、あと1本として迎えた立大4回戦。5回に迎えた3打席目、田村(立大)の直球をはじき返し遊撃手の頭を越えた打球は、左前への安打となった。この1本で、3年次では史上初となる通算100安打達成。前日の3回戦ではボール球に手を出す場面が目立ち、無安打に終わっていた。それでも重圧に負けることなく「昨日の反省を生かしてしっかりボールを見極めた」。持ち前の修正能力を発揮した一打だった。

<4年春(2015年)>
 きっかけは冬のオフ期間だった。2014年の年末、次の背番号をどうするかを記者から尋ねられた。その時には何も浮かんでいなかったという髙山だが、数日のオフの間に考えると、年始の練習始めに善波監督に背番号1を希望することを申し出た。「安打を何本打つとかだけではなくて、何でも1番になりたいと思ったんです」。野手が1番を付けることは極めて異例だが、髙山の強い意志を汲んだ指揮官は申し出を受け入れた。
 晴れて「1」を付けた髙山は偉業達成へさらに歩みを進める。考えながらの打席が増え、無安打に終わる試合も増えたが、序盤に1本が出た試合では固め打ちを見せ、3カード目の法大2回戦では1本塁打を含む4安打と大爆発。「調子がいいときも悪いときも、どんな形であれヒットを打つ」。終わってみれば打率は3割3分3厘と、打者としての幅が広がったシーズンとなった。

 4年春を終え、岡田彰布(元阪神ほか)に並ぶ歴代6位タイの117安打としながらも「もう少し打てた」と自己評価は厳しかった。目標とする数字はさらに先。「最後のシーズンなので、チームのための1本を」。ラストシーズンに懸ける思いは強い。

シーズン 試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 打点 盗塁 犠打 四死球 打率
◆髙山 3年、4年春成績◆
3年春 14 56 19 4 0 1 8 5 0 7 .339
3年秋 14 53 19 3 1 3 6 1 0 12 .358
4年春 12 51 17 2 0 2 6 5 0 3 .333
通算 93 366 117 22 6 8 44 16 3 35 .320

次回の特集は9月13日(日)「記録を達成してほしい、達成させたい」 善波達也監督インタビューです。