(10)西東京・八王子OB対談 大池稜✕米原大地【後編】

硬式野球
2018.08.09

 夏の甲子園100回記念特別企画。第5弾は、大池稜内野手(政経1=明大中野八王子)と米原大地投手(情コミ1=八王子)の〝西東京・八王子対談〟をお送りします。対戦経験も多いお二人に、甲子園への思いと在学当時の思い出を語っていただきました(この取材は7月29日に行ったものです)。

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――八王子高は〝ありんこ軍団〟、明大中野八王子高は〝粘りの野球〟で知られています。

米:前監督の時に「(日大)三高や早実には力では勝てないから、小技を駆使して勝とう」という意味で名付けられて、今までも横断幕に書いてあったんですけど、甲子園に出るまで自分たちの中で「俺たちはありんこ軍団だ」っていう意識は一切なかったですね(笑)。

大:自分たちも三高や早実と違ってスター選手もいないので、練習の時から「最後に粘り勝つには」とよく話し合っていました。周りに注目選手も多いので、スターがいない中で勝てるようにっていうのは、西東京で戦う中では大事なのかもしれないです(笑)。


――他にも何か〝西東京あるある〟はありますか。

米:(東海大)菅生はチャンステーマのリズムが八王子に似ているので、菅生の応援を聞いても「自分が応援されているみたいだな」と思って投げられるんですけど、意外と創価戦が投げづらくて。創価の応援はリズムも変わっていて、迫ってくる感じがして怖いんです。西東京の先輩、三輪さん(昂平投手・国際4=日大三)も共感してくれました(笑)。


――米原選手は高校2年次、その創価高、早実高、東海大菅生高を破り、念願の甲子園出場を決めました。

米:神宮もプロが使う球場で「そんなに違うものかな」と思っていたんですけど、いざ出てみると全く違って。全国の高校野球をしている人たちが、何のためにこんなに必死になって「甲子園、甲子園」と言っているのかが、その瞬間に分かった気がしました。「ここに来るために、自分たちは頑張ってきたんだ」って。人が入ったときの空気感が違うんですかね。自分たちが甲子園に行った時は神宮での早実戦が満員だったらしいんですけど、比じゃなかったですね。


――大池選手にとっては高校時代、甲子園はどのような存在でしたか。

大:明八は甲子園出場経験もないんですけど、なぜか自分たちの代は大会中ずっと「甲子園行けるんじゃないか」と思っていて。監督の椙原先生が在学時に準優勝していたので「椙原先生を超えよう」と言っていました。甲子園に行けば初出場ですし、椙原先生も超えられるので、そういう意味では甲子園への思いは他の高校同様に強かったです。


――高校時代を野球に捧げたお二人にとって、一番思い入れのある試合を教えてください。

米:やっぱり甲子園を決めた試合ですかね。あの日は自分は中継ぎで、周りからも「お前のおかげで甲子園に行けた」って言ってもらえて自分の中でも納得いく投球ができたので、自分の投球が甲子園につながったっていうのは、心に残っています。

大:自分はやっぱり、最後に八王子に負けた試合ですね。高3の夏に結果を残そうと思って、高校時代を過ごしてきましたし、今でも家に帰って録画を見てしまったり、思い出してしまいますね。引きずっています(笑)。こいつ(米原)もいるので、余計に思います(笑)。


――最後に、あなたにとって、母校にとっての甲子園とは。

米:八王子が〝絶対にもう一度帰らないといけない場所〟ですかね。言い方は悪いですけど、初出場した後はずっと甲子園に出られない高校って多いので、後輩たちには全国の舞台にもう一度戻ってもらいたいです。自分たちは甲子園で初戦敗退して悔しい思いをしていますし、八王子はまだ甲子園で校歌を歌った経験はないので、どんどん目標を上げて最終的には全国制覇を果たせるチームになってもらいたいです。

大:自分にとっては〝二度と目指すことはできない永遠の夢〟です。でも、それは自分に限った話で、母校にはいつか必ず出場を果たしてもらいたいですし、後輩たちにも夢のまま終わらせてほしくありません。明八の野球部はまだ誰も経験したことありませんけど、いつか絶対に甲子園に出場してほしいです。


 ――貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。


[谷山美海]


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 ◆大池 稜(おおいけ・りょう)〈写真左〉 政経1、明大中野八王子 180センチ・75キロ、右投左打、内野手

 高校3年次は主将としてチームをけん引。高校時代の最高成績は3年次夏の西東京大会ベスト8。2年次夏の八王子戦で足がつって途中交代して以来、試合前日は「絶対に足をつらないように」と2リットルのペットボトルの水を飲み干して就寝するのがルーティンとなった。


 ◆米原 大地(よねはら・だいち)〈写真右〉 情コミ1、八王子、182センチ・72キロ、右投右打、投手
 高校2年次に同校史上初の甲子園出場。小技で大物を倒す〝ありんこ軍団〟として一躍注目された。同年からリラックスするため球場へのバスの移動の際は、監督が借りてきた『ガキの使いやあらへんで!』の大みそか特番を視聴するように。監督の狙い通り、見事甲子園への切符をつかんだ。



 次回の夏の甲子園100回記念特別企画は、母校の甲子園通算100勝に王手をかけた市岡奏馬投手(情コミ2=龍谷大平安)です。お楽しみに。