
硬式野球部 感動をありがとう/卒業記念特別企画

今年度、春秋連覇、日本一というこれ以上にない成績を残した明大野球部。しかし、春季リーグ戦開幕前は、コロナ禍で練習中止、主将の離脱、エース不在と、決して前評判は高くはなかった。それでも、日本一の称号をつかむことができたその要因の一つに、選手たちの〝勝ちへの執念〟を私は取材を通して感じた。
◆5・23 春季リーグ戦(神宮球場)
▼対立大3回戦 ◯明大1―0立大
個人的な話になってしまうが、私は、春季リーグ戦では、番記者の選手を持たず、毎週異なる4年生選手を取材していた。ほとんどの担当部員は番記者の選手がいて、毎週取材をしている一方、私は、毎回が初めまして。お互い顔も見えない電話取材で本当に選手の良さを引き出せるのか。心を開いて話してくれるのか。毎回が緊張と不安の連続だった。だが、そんな不安も今となってはいい思い出。マネジャーの方を含めてたくさんの4年生を取材していく中で気付いたのは、全員が最上級生としての自覚と勝ちへの強い執念を持っていたことだ。選手たちはそろって「今年は勝ちへの執着心が強い。自分たちの代で絶対に優勝したい」と口にしていた。限られた出場機会しか与えられず、レギュラーや先発投手として活躍していた選手は後輩ばかり。絶対に悔しい思いや負けたくないという気持ちはあるに違いない。だが、誰もそのような気持ちを取材中、口にすることはなかった。むしろ後輩たちをたたえる言葉ばかりだった。「頑張ります!」。最後に全員が口にする一言。強い口調から放たれるその言葉からは、顔は見えないけれど、強い覚悟と責任を感じた。
そして迎えた立大3回戦。優勝に大手を懸ける一戦だっただけに私自身、緊張していた。それでも、行くまでの電車で『神風』を聴き、今まで選手たちから感じた強い勝ちへの執念を思い返した。「大丈夫!明大の選手なら絶対に優勝をつかむはず!」と信じて、今日は選手たちの頑張りをカメラにしっかり収めようと決意した。試合は、両者一歩も譲らぬ展開に。試合が動いたのは、延長11回裏。1死満塁の場面で打席には、蓑尾海斗捕手(文4=日南学園)。振り抜いた初球は、右翼手のグラブに入り、犠飛に。その瞬間、明大の3年ぶり41度目の優勝が決まった。選手たちのうれし涙を見て私も思わず涙をこぼしながらカメラのシャッターを切った。
硬式野球部担当として走り続けた3年間。本当に色々な方にお世話になった。私たちの取材に毎週応えてくださり、野球を通じた感動を与えてくれた選手の方々。どんな時でも、笑顔で親切なマネジャーの方々。記事やツイッターを見てくださった読者の方々。私たちにもパワーをくれた応援団の方々。一緒に切磋琢磨(せっさたくま)しながら選手の活躍を発信した六大学スポーツ新聞の方々。全ての人に感謝を伝えたいです。ありがとうございました。そして、1人のファンとして再び神宮の地で歓喜の輪を見られることを楽しみにしています!
[宮本果林]
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