
硬式庭球部 ラストイヤーに見た 雲外蒼天/卒業記念特別企画
関東一を決める関東学生トーナメント(以下、春関)において、最高成績が2回戦敗退であった町田晴(文4=四日市工)。4年目にして明大では8年ぶりの準優勝を成し遂げた。ケガ、2回戦の壁、苦難を乗り越え栄光をつかむ姿は、記録以上に記憶にも刻まれるものだった。
◆5・9~20 関東学生トーナメント(大宮けんぽグラウンド)
▼男子シングルス ❷町田
▼5・17
[男子シングルス4回戦]
〇町田 2{6-3、6-2}0 脇坂(慶大)
[男子シングルス準々決勝]
〇町田 2{6-4、6-2}0 石井(中大)
雨天が重なり大会日程の延期が続いた春関本戦6日目。男子シングルスの4回戦、準々決勝が同日に行われるハードな一日となった。しかし町田はどちらもストレート勝ちに収め準決勝進出を決める。「勝った瞬間は脱力できた。素直にうれしい」。2試合ともに突き上げた拳には喜び、安堵(あんど)、そして今まで乗り越えた苦労が詰まっていた。
3年次の春関は2回戦敗退に終わった町田
1年前、3年次の春関は右肘のケガからの復帰戦であった。「プレーでも気持ちの面でも負けていた」。勝負どころで弱気になってしまい、ゲームカウント1―2で2回戦敗退に終わった。「何をしているんだろう」と悔しさが募ると同時に、この経験が町田に火を付ける。「自分の中では一切妥協なく努力してきた」。1年間かけて死ぬ気で練習を重ね、技術、メンタルともに向上させた。そして1年前にはなかった自信を手にし、迎えた最後の春関。今まで一度も越えられなかった2回戦の壁を突破し、決勝進出までたどり着いた。
その後、惜しくも決勝で敗れるが、明大に8年ぶりとなる準優勝をもたらした。『どんな試練でも、努力して乗り越えれば快い青空が待っている』。まさに雲外蒼天(うんがいそうてん)と言える快進撃だ。この勢いは春関以降も続いた。8月の全日本学生選手権(以下、インカレ)で明大では6年ぶりの単複ベスト4を果たし、関東大学男子1部リーグ戦でもチームの支柱として活躍した。今年度確かな成績として花開いた努力のかたちは、残る後輩たちへ引き継がれるはずだ。
最後に少し個人的な話をします。私は硬式庭球部担当に就いた当初、テニスのルールが何一つ分かりませんでした。さらに、朝9時から長い時は夜8時までテニスコートにいたことや、酷暑のインカレ取材、寒さで震えながら試合開始を待った3年前の春関取材……と挙げればキリがないほど、つらかった思い出が硬式庭球部取材にはたくさんあります(笑)。それでも最後まで続けられたのは選手、監督をはじめ関係者の皆さんの温かさのおかげです。しんどい取材であっても「この人たちの活躍を伝えるためなら……!」とサムネイルを作成したり総括記事を執筆したりと踏ん張り、頑張ることができました。特に記者3年目は、今回記事にした試合をはじめ、感動して泣きそうになるくらい、取材に行くことが楽しみになるくらい、硬式庭球部取材に熱中できました。本当にお世話になりました。この場をお借りして感謝申し上げます。明大硬式庭球部の未来が晴れ渡る空のように明るいことを願って――。
硬式庭球部の皆さんありがとうございました!
[出口千乃]
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