(5)最後は4年間共に戦ってきたライバルのために・・・後山

1999.01.01
(5)最後は4年間共に戦ってきたライバルのために・・・後山
 来る11月29日、尾川体制の集大成である団体インカレがいよいよやってきます。4年生にとって、この大会は最後の戦いです。選手の4年間を回想するとともにこの大会に懸ける思いに迫ります。

「俺には絶対に負けたくないやつがおるんよ」。
彼の取材はこの言葉から始まった。

 拳法部4年、後山真太郎(営4)。本学では唯一四段を保持しており、また2年次の個人インカレでは3位入賞を果たすなど実力はピカイチだ。尾川主将(政経4)と後山、2大エースがこの1年間拳法部を引っ張ってきた。
 普段は明るく、そして“マメ”な性格。メールの返信がとにかく早いあたりにそのマメさが伺える。しかし試合になると普段の穏やかな印象とは一変、鋭い目つきで相手を睨み得意の組み技で相手を圧倒。気迫のこもった叫び声は会場中に響き渡る。

 そんな後山には絶対に負けたくないライバルがいる。他大の選手?――違う。地元の友達?――違う。そう、ライバルは部内にいた。それは4年間ともに戦ってきた同志“尾川主将”

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 セレクション組の尾川主将と後山。学年でも2人の実力は突出しており、入部以来競い合いながらお互いを高めてきた。
“こいつには負けたくない”
この思いは2人ともにあっただろう。
もちろん仲が悪いわけではない。後山は尾川主将の実力を認めたうえで尊敬もしている。リズムのある拳法を繰り出す尾川主将のスタイルを自分の拳法にも取り入れ、さらなるステップアップを試みた。

 1年次の高幡不動奉納試合では4回戦で尾川主将VS後山という因縁の対決が実現。結果2-1で後山が勝利し、勢いづいた後山はその後も勝利を重ね、その試合、そのまま優勝を果たしている。軽やかに回り始めた人生の歯車。しかし、追い風を受けてさらに加速を続けるかと思われた後山の拳法人生は、ケガを理由に失速してしまう。
 1年次の団体インカレ、明大が見事優勝を飾ったそのコートに後山の姿は無かった。
 1年生ながら優勝に大きく貢献した尾川主将。それをはたから応援するだけの自分。

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 「4年間で1番悔しかった」あの日、あの時が後山の頭から離れない。
その瞬間から“団体インカレ優勝”が後山の一番の目標となった。

 4年生、最後の年として迎える今年の団体インカレ。2006年大会(後山1年次)以降、明大は優勝から遠ざかっているだけに今年に懸ける思いは強い。「1年の時は出れなかったし、このチームとして出場できるのもこれが最後だから頑張りたい」とその思いを語った。

 そして最後に彼はこう締めた。
 「いままでお世話になってきたし、最後の大会、“尾川のため”に優勝したい」。
4年間の長い拳法生活を経て、いつのまにかライバルは真の仲間になっていた。
 尾川主将と後山。2人の歯車が、かみ合って初めて実現する団体インカレ優勝のように思える。

◆後山真太朗 あとやましんたろう 営4 阿蘇清峰高出 178㎝・78㎏