

麻雀は学生スポーツになるのか? ②学生スポーツへの展望と課題 /NEW WAVE ~学生スポーツへの可能性~(4)
麻雀は果たして学生スポーツになる可能性があるのか?今回は麻雀のプロスポーツ化を目的に発足し、今年度で5年目となるM.LEAGUE(以下、Mリーグ)を運営している一般社団法人Mリーグ機構・事務局長の畑敦之氏に取材を行った。
第2弾は学生スポーツになる可能性についてまとめていく。
※この取材は10月28日に行われたものです。
麻雀は果たして学生スポーツになる可能性はあるのか。畑氏は「(学生スポーツに)なる可能性はかなりあるのでは」としつつも「まずはスポーツであるという認識を持ってもらうところから始めなければいけない」と述べている。eスポーツなど、多様な競技がスポーツとなる現代において麻雀もスポーツとして認められる可能性はある。特に、前回の記事で述べたが頭脳スポーツの世界大会が国際オリンピック委員会(IOC)主導で行われるなど、世界的に見ればスポーツ競技化への階段を着実に上がっていることは確かだ。
スポーツになる可能性はあるとはいえ、学生スポーツとして麻雀を行うにあたっては、厳格なルールが絶対に必要だ。主要な麻雀プロ団体でも、偶然要素をできるだけ排除したルールを適用している団体や、ある程度取り入れている団体など、ルールがプロの間でも定まっていない。「学生スポーツとしての麻雀をどう見せたいのかを考え、みんなが納得できる形で(ルールを)制定できるか」がカギになってくる。また、それに付随してレギュレーションも重要だ。学生スポーツではリーグ戦がどの部活でもよくあるが、麻雀も例外ではない。リーグ戦における1部や2部を設けるのであれば、昇降格などは他の部活と同じように制定するべきである。
「大学という大きな抽象的なものに対しては、やはり全体に対しての規律なるものが必要だと思う」。まだまだ『ギャンブル』としてのイメージが付いて回る麻雀において、学生スポーツになるにはしっかりとした組織体系づくりが必須となってくる。まずはスポーツとして認められなければいけないなど課題は山積みだが、体育会麻雀部ができる可能性は決してゼロではない。
(Mリーグ機構主催で開催された夏休み小学生麻雀大会。Mリーグは下の世代への普及も精力的に行っている)
[菊地秋斗]
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