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ダーツは学生スポーツになるのか? ①ダーツの魅力とは /NEW WAVE ~学生スポーツへの可能性~(3)

明大スポーツ新聞 2022.11.05

 ダーツは果たして学生スポーツになる可能性があるのか?今回は競技ダーツの普及に取り組んでいらっしゃる公益社団法人日本ダーツ協会の萩尾純子会長に取材を行った。

 第1弾は『生涯スポーツ』『教育スポーツ』『競技スポーツ』の観点からダーツの魅力に迫っていく。

※この取材は10月7日に行われたものです。

 

 ゲームセンターやダーツバーなど…。娯楽としてのイメージが強いダーツだが、そこには三つの『スポーツ』としての魅力が隠されている。一つ目に紹介するのは『生涯スポーツ』としての魅力。青少年にとっては集中力や持続力、自律神経の向上などの効果が、高齢者にとっては認知症予防効果などが挙げられ、健康という面からも長く楽しめるスポーツだ。また、体に障害のある方でもダーツはできる。マグネット型や吹き矢型など、工夫のこらされた用具を使うことで、健常者と同じように楽しめる。ダーツは年代ごとにさまざまな観点からのメリットを持ち、障害の有無など関係なく幅広い年齢で楽しめる競技である。

 

(マグネット型のダーツ)

(車いすに乗った方でも平等に楽しめるダーツ)

 

 二つ目の魅力は『教育スポーツ』という側面にある。3回投げてその合計得点を計算するのがダーツ。「算数が苦手な子もダーツを通して計算が速くなっている」。子供たちが簡単にダーツを楽しめるほかに、得点計算をすることで子供への学習効果も期待される。また、個人競技というイメージを持たれがちだが、他のチームスポーツと同様に「コミュニケーションツールにとてもいい」。実際、公立では初のダーツ部がある東京都杉並区立富士見丘中学校では部員が卒業後、指導員資格を取得して母校でダーツを教えている。指導員が地元で開催される体験会にボランティアとして参加するなど、ダーツが将来の担い手の育成や地域貢献活動の定着にもつながった結果だ。部員や指導員とコミュニケーションをとる中で、青少年の精神的な成長も促すことができ、教育的な視点からもダーツの魅力は明らかとなっている。

 

(子供向けの手裏剣型のダーツ)

 

 最後は『競技スポーツ』としての魅力だ。競技ダーツは、日本で一般的によく目にするプラスチック製のソフトダーツではなく、海外で主流のハードダーツを使い行われる。ダーツの先端が金属の針になっており、的に関しても麻素材のものになっているのが特徴だ。「ヨーロッパでは(スポーツとして)ダーツが盛ん」。ダーツの発祥地・イギリスではどこにでもダーツがあるほど親しまれている。また、プロの世界も充実している。ロンドンで開催されている『PDC ワールド・ダーツ・チャンピオンシップ』という大会は「ダーツのエンターテイメントのトップ」と呼ばれており、賞金総額は3億7500万円とかなり大きい。コーラーによる試合演出もあり、かなりの盛り上がりを見せている。プレーヤーだけでなく観客も含め、海外では多くの人が一つのスポーツとして惹きつけられている。

空港にいる人たち

低い精度で自動的に生成された説明

(競技会の様子)

 

 遊びとしての印象が先行しがちなダーツだが、その『スポーツ』としての魅力は底知れない。「ダーツは3世代スポーツ」。ダーツを一つのツールとして、家族で出掛けるのもいいだろう。あるいは、友人と競い合ったり、ダーツをきっかけに新たな友人を作ってみるのはいかがだろうか。

 

[堀之内萌乃]


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