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(39)シーズン後インタビュー 井上千尋(2)

フィギュアスケート 2022.02.25

 思いを込めた演技で氷上を彩り、見る者の心を躍らせてくれた選手たち。シーズンを通してそれぞれが味わった思いはさまざまである。新型コロナウイルスの影響にも負けず戦い抜いた今シーズン。その振り返りのインタビューをお届けする。

(この取材は1月31日に行われたものです)


第9回は井上千尋(商4=椙山女学園)のインタビューです。(1)の続きとなります。

 

――大学生になってからリンクを移りましたがいかがですか。

 「最初は新横浜のリンクに全く慣れなくて、8時5分に練習が終わるのですが緊張して誰とも話さずに靴を脱いでダウンして8時半には家にいますという感じでした(笑)。だんだんと話しかけてくれる同期の子が増えたり、先輩が気にかけてくれたりという感じで慣れてきてからは楽しかったです。先輩方とダウンしながらずっと話してリンクに残っていて、気づいたら9時半ぐらいまでリンクにいることもあり、最初とかなり変わったなと思います。上級生になるにつれて後輩ばかりになってきて、私は先輩を目指してついていく方が好きなタイプだったので後輩とはどのように関わればいいのだろうと不安でした。しかし、後輩もとてもいい子で、明治大学に入ってきたはな(堀見華那・商1=愛知みずほ大瑞穂)も私よりしっかりしていて、練習が終わった後に一緒に家で鍋をしたりします。はなが明治に入ってきてくれてありがとうと思っています」

 

――コーチが代わったことで精神面での変化はありましたか。

 「先生は本当に厳しいですが優しい部分もあって、スケートのことだけではなくしっかりご飯を食べているかなど生活する上での心配をしてくれます。熱が出たときは『夜中でもいいから苦しくなったら電話くださいね』というLINEをしてきてくれて本当に新横浜のお母さんのような感じで助けていただいたと思います。私は試合前にとても緊張するので大変なのですが、先生は私の名前がコールされる直前に『ダッシュして』と言うんです。とても疲れるので緊張を考える前に疲れたままスタートするというような時もあるのでそこは良かったと思います」

 

――演技の面ではいかがですか。

 「スケートはもともと好きだったのですが、スケート本来の滑る楽しさを教えてもらった気がします。ずっとスケートをしているとそのような本当の楽しさを忘れがちで『練習して上達しなきゃ』となってきてしまいますが、氷の上で適当に新しい自分で滑ってみる、普段やらないことをやってみるなど『遊んでみなさい』と先生は言います。『スケートで遊びなさい』と言われて何か適当なことをしたり、適当に回ったり反対回りをしたり、適当な遊びをたまにすることで自分のスケートの感覚が変わったり『あ、自分でこういうことができるんだ』と思ったりすることが増えて、遊びをしたことで自分が本当にスケートを滑ることが好きなのだということを認識できました。そしてスケートもかなり上手になったかなと思うので、本当に新横浜に来て先生に教えてもらえて良かったかなと実感します」

 

――明大の後輩への思いを聞かせてください。

 「本当に仲が良くて切磋琢磨(せっさたくま)してみんながナンバーワンを狙っているところが明治のいいところだなと思っています。この二年間ぐらいコロナであまり大学として集まることができなくて、私が1、2年の時に味わった楽しさを今の子たちはあまり味わえていないと思うのでみんなで仲良く頑張っていく楽しさを味わってほしいなと思います。一人一人の成績も大事だとは思いますが、明大として、大学生として仲間と一緒に頑張れて良かったという思いを感じてほしいです」

 

――リンクの後輩への思いを聞かせてください。

 「新横浜の後輩でも今頑張って練習している子がたくさんいます。はなは普段から頑張っているので頑張ってほしいです。他の大学の後輩の子でも絶対に毎日朝練に来て、誰よりも頑張って練習している子もいるのでそういう子たちがその子たちなりに報われるといいなというのはとても思っています」

 

――スケート人生で一番思い出に残っている試合を教えてください。

 「初めて出た試合は今でも覚えています。何が何だか分からない中で『はいもう試合だよ』と試合に出されて、何がと具体的に言われると覚えているわけではないですが、とても楽しかったというイメージがあります。そこからは楽しくない時代もたくさんありましたが(笑)。その時はすごく楽しかった。親にも楽しかったと言って戻ってきたのを覚えています」

 

――スケートをやめたいと思ったこともあったのですね。

 「たくさんありました(笑)」

 

――やめたいと思っても続けることができたのはなぜですか。

 「最後まで諦めたくないという気持ちがあったのと、やめたいと思ってもスケートが好きだったのだと思います。どうしても最後に全日本に行きたいという気持ちや、ここまで頑張ってきたのだから何かしっかり得て、スケートをさせてくれた両親にも感謝して終えたいなという気持ちがあったので頑張ることができたのだと思います」

 

――スケートをやってきて得たものはありますか。

 「そう言われると『こうです』と言えることはあまりないのですが、今年はすごく頑張ったなと自分でも思っています。全日本に行けていたら努力すれば必ず報われるということを証明できたのですが、人生そう簡単にはいかなくて。努力すれば必ず報われるということがあるのかなと思った時もあったのですが、努力してその目標に向かって頑張った分、自信になって何か一つ乗り越えたような感覚、結果につながらなくても何かに向けて頑張るということはすごく大切なことなのだなと気づきました。周りの人の大切さも強く感じました。両親には迷惑をたくさんかけたのですが最後まで応援してくれて、先生方も突き放さずにずっと支えてくれてくださりました。後輩や先輩方に助けてもらうこともたくさんあったので、これからは自分がたくさんの人に恩返しをしていきたいです」

 

――これまでのプログラムで1番好きなプログラムを教えてください。

 「今使っている『白夜行』はすごく好きです。新横浜に来て先生に勧められた『A Thousand Years』も印象に残っています。今まで使ったことのないタイプの曲だったので最初は滑れるのかなと思ったのですが、滑ってみたらすごく気持ちよくてこんな曲もできるのかと気づくことができた、思い出に残っているプログラムです」

 

――『白夜行』はなぜ好きなのですか。

 「永井優香さん(令3早大卒)が使っていてその時の全日本がとても良くてノーミスされていてすごく感動しました。自分もみなさんを感動させる滑りができるようになりたいと思って決めました」

 

――応援してくださっているファンの方へのメッセージをお願いします。

 「上手な選手ではなかったのですがメッセージをくださったり、私のスケートが好きですと言ってくださったりした方には本当に感謝しかないです。応援してくださって、演技を見てくださったことに感謝したいです。ありがとうございました」

 

――ありがとうございました。

 

[堀純菜]


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