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(33)伸び上がる直球を武器に 努力の天才が目指すは聖地のマウンド 森田健介

硬式野球 2021.02.01

 一度でも神宮のマウンドへ。そう目標を語ったのは森田健介投手(法1=静岡市立)。直球の回転数とキレを武器に、高校時代は右のエースとして母校の躍進に貢献。2つの転機を経て六大学の舞台にたどり着いた努力の天才は、夢への歩みを止めない。

 

 「努力してやっと人一倍」。地元函南の星として名をはせた中学時代。その裏には自信を見つめ努力する才能があった。函南中野球部では、1年次から持ち前の身体能力を生かし出場機会を得ると、3年次の中体連では全国大会に出場を果たす。初戦で大会を後にしたが、県内トップクラスの選手として静岡県トレセンにも選出。紅林弘太郎(オリックス・バファローズ)ら逸材がひしめく舞台での経験は、最初の転機となった。「地元では見ないような質が高い投球を見てボールを見る基準が変わった」。指のかかり方を意識し、ボールの質を改善。球速は出ないものの、浮き上がるような直球を手に入れた。

 高校進学時には「野球も勉強も」という思いから進学校の静岡市立高に入学。家族と共に学校のそばに移り住み、文武二道に没頭した。1年次秋から同学年の左腕、渡邉幹樹投手(名古屋商科大)とともに二枚看板として活躍。「野球人生の糧になっていて忘れたことはない」一戦が2年次秋の島田商業高戦。7回表、3点を追い掛ける状況で渡邉の後を受けてマウンドに立つと「ゾーンに入っていた」。それまで不調に陥っていたとは思えない投球を見せると味方も加勢。登板直後に追いつくと試合は延長戦へと突入した。しかし、タイブレークに突入した14回表。先頭打者のバント処理に失敗。そこから5点を失い勝負あり。死闘を落としたが「悔しかったけど自信にもつながった」。

 2年次秋、もう一つの転機が訪れる。毎年秋静岡県で行われるオータムフレッシュリーグで「勉強でも野球でも憧れがあった」明大と対戦。1イニングを完璧に抑える投球を見せ、紫紺の門戸をたたく決意を決めた。

 そんな文武兼備の努力の末たどり着いた夢舞台。しかし、一般入部生がすぐに活躍できるほど甘い舞台ではなかった。入部直後、練習中にイップスを発症。懸命のリハビリの末、12月に行われたオータムフレッシュリーグで登板を果たすも、一死しか取れずに降板。「情けなかった」と語る表情は悔恨の念に満ちあふれていた。奇しくも明大を夢見た舞台で思い知らされた現実。目標は変わらず「一度でも登板することと、法学の分野で働くこと」。神宮のマウンドへの道のりも、法曹への道も、甘い道ではないだろう。それでも「すぐに結果は出ないと思いますけど地道に」。努力に勝る天才なし。森田の夢への進歩はやまない。

 

[土屋秋喜]

 

◆森田 健介(もりた・けんすけ)法1、静岡市立、175センチ、79キロ、投手 憲法学と民法学に苦戦中。腰を患った中学時代から、体幹トレーニングに力を入れている


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