(94)大学野球引退インタビュー 加藤珠海マネジャー

(この取材は11月22日、電話にて行われました)
加藤珠海マネジャー(商4=横浜隼人)
――ソフトボールの経験がマネジャーになって生かされたことはありますか。
「ルールは問題なく分かったというのと。最初は全然そんなこと予想していなかったのですが、4年生になってスコアラーになる時に、あまり苦労なく任されたことをやれたというのはあるかなと思います」
――スコアラーになるきっかけはどのような感じでしたか。
「私が参加できない時間帯にやったらしいのですが、4年生が全員、指導者に集められて本岡(里空マネジャー・情コミ4=明大中野)がスコアラーとして入れないけど、誰を(ベンチに)入れたいかという話し合いをしたらしく。そこで『本岡が入れないんだったら加藤で』と言ってくれたらしくて私になったのですが、意見が完全一致してそうなったのかどうかは分からないです。4年生の代だし、4年生のマネジャーでベンチに入ってほしいというふうに思ってくれたみたいです」
――ベンチに入っている時に心がけていたことはありますか。
「最初は、ベンチでみんなすごく声を出しているから、自分も声を出した方がいいのかなと思ってすごく悩んでいました。自分の知識も経験もみんなと比べ物にならないくらい浅いし、今までみんなでやってきた選手たちの空気をいきなり入ってきた私が乱すような、みんなの方向性や考え方と違うことを言っても、自分が入ったことがプラスにならないかなと思ったので、最後の方は全く声出しもせず。みんなが試合をしているのを見ていただけでした。今までみんながやってきたことを変えないようにというのは意識していました」
――ベンチに入れる気持ちはいかがでしたか。
「最初はスコアラーで公式戦に入るのは、自分としては重い仕事だなと思っていて。監督に『お願いできますか』と言われた時も、即答はしましたが、どういう気持ちで入ればいいのかなというのをすごく考えて。いざ入ってみると、スタンドからみんなが試合しているのを見るのと、ベンチからそのみんなが整列している後ろ姿、ベンチ内の空気感みたいなものは全然違うもので。ベンチに入っている方が自分も部の一員なんだなというのを感じられたと思います」
――リーグ戦で全勝した時の気持ちはいかがでしたか。
「シンプルにすごくうれしかったし、100年の中で2回しかないということだったので、その片方に自分が関われたことがまずうれしかったです。雰囲気としても、全く経験がないやつが言うなという感じですが、リーグ戦は負ける気がしなくて。技術云々というよりも、まとまりがあるなと感じていたから、結果にすごく納得できたっていうか。すごく良かったなと思います」
――加藤マネジャーから見て、選手が春から秋にかけて大きく変わったところはどういうところですか。
「早稲田には去年の秋から2シーズン連続、優勝決定戦で負けていたから、打倒早稲田の気持ちが、多分みんなもいつもよりすごく強かったと思うんですよね。とにかく早稲田に勝ちたいという気持ちだけはみんなの一つの目標だったと思っています」
――女子マネジャーが途中から代で1人になり、大変なことは多かったですか。
「マネジャーは男子と女子では仕事内容も違うし、男子は全寮制だから寮に住んでいるけれど、女子は通いだから、男子がリアルタイムで知れることも女子は分からないこともあったりして。部の全てを自分が把握できているわけではないというところで、部活の全部を自分のこととして考えることが必要になったのかなと思っています。自分が1人になったのが3年の春だったのですが、そこからは自分の中でも意識が変わったなというのをすごく実感していて。最後まで全部を自分が関わってやろうという意識に変わったのかなと思います」
――同期はどのような存在でしたか。
「仲の良い選手がいるのですが、ずっと周りの試合に出られている選手と同じくらい練習をしてきたのにもかかわらず、公式戦になると、ベンチには入れるけど打席がもらえないとか。そういう選手もいる中で、選手はマネジャーが何をしているのか分からないかもしれないけど、みんなで一緒に頑張っているというか。いろんな人の頑張りや、考えていることとかを遊びに行く時とかに、いろんな話を聞けて、自分1人ではないのだなと思えていました」
――“チーム木本”は漢字1文字で表すとどんなチームでしたか。
「“個”だと思っていて。バラバラというよりも、本当に個性がすごいので、そこでのまとまりはそんなになかったのかもしれないですが、気持ちとしてのまとまりはあったかなと思います。日常生活の中では本当に個性がすごいので、いろんな人がいるなと思わせてもらえた代でした」
――4年間で忘れられない言葉はありますか。
「二つあって。どちらもタイミングとしては自分が1人になった時で、意気消沈していた時だったのですが、一個上の女子マネジャー・小池さん(璃子・令6政経卒)が自分が1人になった時に『珠海はそのままでいいんだよ。そのまま頑張ればいいから』と言ってくれたのが一つ。もう一つは、一個下の島抜康介主務(政経3=日立一)が『最後まで珠海さんについていくから大丈夫だよ』と言ってくれたことがあって。その時は本当に、これからも頑張ろうと思えたというか。周りの助けがあってこその自分なのだなと思えました。上下の関係、自分の周りにいてくれている人にすごく感謝の気持ちを感じた瞬間だったなと思います」
――野球部の公式ブログで『野球部での出会いが一番の宝物』とおっしゃっていました。その出会った方々へ一言お願いします。
「野球部の出会いは、同期だったり、後輩だったり、公式戦の運営というところで、六大学の同期まで結構幅広くあって。同年代から大人までというところも結構幅があったのですが、自分の4年間の中で出会った人が人たちのおかげで、自分自身、精神的に強くなれたと思います。感謝しています」
――最後に、後輩たちへ向けてメッセージをお願いします。
「3年生はマネジャーだけで見ても、チームとして見てもすごく仲が良くてまとまりがあるチームだと思っています。今年のチームとは全く別のカラーになるのではないかなと思っているので、自分たちらしくやりたいようにやって、自分たちができなかった四冠を達成してもらえたらいいなと思います。頑張ってね」
――ありがとうございました。
[小松錦葵]
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