(92)大学野球引退インタビュー 今井英寿外野手

(この取材は11月30日に電話にて行われました)
今井英寿外野手(政経4=松商学園)
――最後の秋季リーグ戦は優勝という形で終えましたが、振り返っていかがでしたか。
「春とは違ってピッチャーが安定していたのと、スタメンで出ている人たちももちろんそうなんですけど、後から出る人たちも役割をしっかり果たしていて、チーム全員で勝てたので。補欠の人たちもしっかり結果を残したというのが結構大きかったかなと思います。(マウンドに集まった瞬間はいかがでしたか)これ以上にないくらいにうれしかったです」
――法大戦では勝ち越し本塁打を放ちました。
「ベンチに戻った時にみんなが温かく出迎えてくれて、それを見てみんな応援してくれていたんだなとか、そう考えたら結構感動しました。声を掛けられたというのは特にないんですけど、笑顔でみんな出迎えてくれました」
――慶大戦では瀨選手(千皓外野手・営4=天理)にも本塁打がありましたが、その瞬間を見ていていかがでしたか。
「本当にうれしかったですね。スタメン出場も少なかったし、僕と同じでね。だから、同じ身として2人で頑張ってきたところもあって。それと、自分は千皓の親とも仲良くて、瀨の親が喜んでる姿とか、そういうのを考えたらめちゃくちゃうれしかったです」
――リーグ戦でのMVPを1人挙げるとしたらどなたですか。
「やはり毛利(海大投手・情コミ4=福岡大大濠)ですね。点を取られなかったら負けないというのができていた感じがして。他大学のピッチャーに比べて抑えてくれたから、ピッチャーが良ければ勝てる、勝てるピッチャーというのを体現してくれたと思います」
――「今季は今井さんたちのおかげでベンチの雰囲気がよく、それが結果につながった」と、他の選手が何人か仰られていましたが、ベンチではどういう声掛けをしたり、どういった雰囲気をつくろうと心がけていましたか。
「(神宮大会の)立命館戦の話をするんですけど、負けていて結構ピンチになったときに、監督含めてベンチが一番焦っていました。ベンチは『本当にこのままじゃやばいぞ』とか、何かいつもと違った声を出していました。『落ち着け』とか『まだ勝ってんだぞ』とか。もう、そういうのはいらないじゃないですか。冗談じゃなくて、僕は本当に打てる気がしたから『代打に俺いるじゃん!』みたいな言葉を言って。いつも通りに、例えばオープン戦とか、そういうノンプレッシャーな雰囲気に近づけようととにかく明るい声掛けというか、負けてる時も勝ってる時も、変えずに冷静に冷静にというのを特に意識して声を掛けていました」
――秋の下級生の活躍をどう見ていましたか。
「ピッチャーで言ったら、髙須(大雅投手・法4=静岡)がケガして、第2先発がなかなかいないというところで、大室(亮満投手・文2=高松商)が髙須の穴埋めをしっかりしてくれたのが10連勝につながったと思います。なんなら一番つながったんじゃないかって思っています。あとはもちろん、田上(夏衣外野手・商2=広陵)ももちろん頑張ってくれました」
――ドラフトで同級生が3人指名された感想はいかがでしたか。
「やっぱりこいつらは呼ばれるだろうと思っていたので驚きはなく、でもいい刺激になりました。自分もプロ行きたいって本気で思っているので、その中で仲間がプロ決まって、喜びつつ悔しい一面もあり、2年後絶対に抜いてやろうと思いましたね」
――神宮大会では9回裏に代打として出場しました。どのような気持ちで打席に臨みましたか。
「俺に任せろという感じで、本当に打てる気がしていました。不安は全く無かったですけど、ツーストライクに追い込まれた時だけはちょっと(笑)。それで追い込まれて、(有馬投手(立命大)は)スライダーがいいと聞いていたのでスライダーだけ見逃していたら、だいぶ気持ちが楽になりました。でもとにかくそこで俺が打てなかったことが、無力感が半端なくて悔しかったです」
――4年生としての1年間を振り返っていかがですか。
「3年生までは自分がレギュラーになろうなろうって感じだったんですけど、4年生になると(チームで)本当に勝ちたいっていう気持ちになって。チームのために動くこともできるようになったし、一番早かった年ですね。そして、一番濃くて一番頑張りました」
――次に4年間の大学野球生活を振り返っていかがですか。
「4年間を振り返って、まず本当に辛かったっていうのはあります。とにかく自分の思うようにいかない、もう最後の最後まで思うようにいかない野球人生だったんですけど。でもその中で、思うようにいかない中で諦めずにやり続けたっていうのが、最終的にこの4年間楽しかったなって思える4年間だったので。頑張ってよかったなというか、高校野球とか中学野球とか比にならないぐらいいろんなことを学んだし、いろんな苦しい思いだったり、その分ヒット1本とかでいつも以上にうれしいし、いろんな思いをした楽しい4年間でした」
――一番感謝を伝えたいのはどなたですか。
「家族ですね。2年の秋からベンチを外れて、その時から正直心折れてたんです。心折れてて、もう親にも家族にも『もう俺の野球には期待しないでくれ』と言ったぐらいなんですけど。でも『じゃあそれならもうどうなってもいいぐらい、思いっきりやってみろよ』みたいな、そういう声をかけてもらったり、とにかくやる気を起こしてくれました。あとは、自分の人生は自分だけのものだと思っていないので、家族がいるから、野球を家族のためにっていう思いで頑張れたから、家族に感謝しています」
――同期へのメッセージはございますか。
「まず、木本(圭一主将・政経4=桐蔭学園)とか試合出ていた人たちは、僕が全然試合出られなかったときに僕を必要としてくれて。その言葉がめちゃくちゃ頑張ろうとやる気になったからうれしかったし、とにかくありがとうという感じです。そして、出てない人たち。同じように代打で出た瀨と吉田(匠吾内野手・文4=浦和学院)は、僕も本当にスタメンで出たかったんですけど出られなかったので、途中で諦めようって思うぐらいだったんですけど。瀨や吉田、衛藤(晃太内野手・営4=大分舞鶴)、そいつらが頑張ってんのに、俺がこんなところで負けちゃダメだっていう気持ちにもなれたので感謝しています。あとは、就活生とか野球やってない人たちは、試合に出て打てないとか、スタメンになれなかったとか、そういう悩みに『悩めることですら、それだけでも幸せだから、俺らは野球で悩めるレベルに来れなかった』ということを僕に話してくれて、それだけで羨ましいよと言ってくれたことで気持ちが救われたので、感謝しています」
――明大の野球部で良かったと思ったことはありましたか。
「とにかくレベルが高いので、自分があまり強くない大学に行って試合に出ているよりも、周りに素晴らしい選手がいてその中で野球ができていることは、個人のレベルアップにもなるし、高いレベルの人たちと一緒にできることによって自信もつくから、それが良かったなと思います」
――来年度のチームでは誰に期待していますか。
「津田基(文3=近江)です。理由は、俺と同じような野球人生を歩んでいて、なかなか花開いていなくて。他の選手が試合に出ていて、津田みたいになかなか出られないような、そういう選手に僕は諦めず、とにかく頑張って最後報われてほしいなと思います」
――次のステージでの目標を教えてください。
「1年目から4番バッターを任されることと、中心メンバーになって2年後には絶対にプロに行きます!」
――ありがとうございました。
[平良有梨奈]
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