
(19)東大戦事前インタビュー② 杉浦海大主将、渡辺向輝投手

(この取材は4月3日に行われました)
杉浦海大主将
――昨秋を振り返っていかがですか。
「まずシーズンを通して出られて良かったというところはあるんですけど、配球や盗塁阻止など記録に残らないところでもっといいキャッチャー、いいバッターになれるなというふうに感じました。うれしさと悔しさがどちらもあるようなシーズンだったと思います」
――この冬に取り組んだことはありますか。
「勝つとなるとバッティング陣が爆発的に打たなければいけないというふうに感じて、ロースコアで勝つというよりは殴り合いで勝てるようにするためにバッティングの強化を行いました。どういうことをしたかというと、まずバッティングコーチを2人呼んで指導を受けました。そして、試合でもっと考えて打とうというのを言っていて、配球など試合でこういうふうにするためにはバッティング練習で一球一球こういう意識で行かなきゃ駄目だよねというふうに、今までバッティングはチームで何かやるというよりは個人に任せる放任主義だったんですけど、ある程度バッティングコーチを中心に強制力もあって、普段から考えるように考えるようにというのを言って、なんとか得点力を上げられるように頑張ったオフだなと思います」
――それは杉浦主将が主導したのでしょうか。
「そうですね。まず勝つビジョンを考えた時に、3、4点ではなくて6、7点取らないと駄目だと思ったので、バッティングコーチは僕が発起人としてイチから話を進めて監督に話を通して頑張りました。でも、バッティングの意識やバッティングのメニューなどは打撃長の大原(海輝外野手)、中山(太陽外野手)を通じて提案までは僕がして、具体的な立案などは彼らに任せたという感じです」
――3月7日に行われた横浜高との練習試合は主将から申し込んだと伺いました。その意図を教えてください。
「意図はかなり単純で、記事だと僕が強い高校とやりたかったみたいに書かれているんですけど、本当のところはずばり横浜高校とやりたいという感じでした。その意図としては、僕らはオープン戦を2、3月にやってシーズンに入るんですけど、今までの課題としてオープン戦でバッターはもう少し(球速の)速いピッチャーとの打席を増やしていかないと初週の早稲田、あるいは明治戦からフルエンジンで行けないなと感じていました。いかにオープン戦の期間にいいピッチャーと対戦できる機会を確保できるかというのが最初のスタートダッシュの調子にかかっていると思ったので、その中で僕はオープン戦の相手をマネージャーに『ここにいいピッチャーいるから申し込んで』みたいなことをかなり言うんですけど、その一つとして『横浜高校にすごくいいピッチャーがいる。僕の母校の監督のつてもあるから』と言って申し込みました。単純にいいピッチャーと対戦したいというその一心です」
――明大への印象を教えてください。
「本当にいい選手ばかりだし、いい意識というかおそらく普段の練習から厳しくやっているんだろうなと思います。正直一番強いと思っています。今分析がちょうど終わったところなんですけど、個の力もありますが人間力野球と言っているようにチーム力もとてもあるので本当にいやらしいなと思います」
――明大で注目している選手はいますか。
「僕はキャッチャーなので、相手のピッチャーというよりはバッターを見るんですけど、やはり田上(夏衣外野手・商2=広陵)くんはすごく怖いというか、打ち取りようがないなと思うくらいいいバッターですよね。あと、榊原(七斗外野手・情コミ3=報徳学園)も年々進化しているなと思います。おそらく彼らが1、2番だと思うんですけど、本当に嫌だなというふうに思います」
――明大戦への意気込みをお願いします。
「明治は本当に個の力もチーム力もあって、自力では全然敵わないんですけど、分析する力や準備する力というのは、僕らは負けないようなものを持っているので、そういうところを補いながら、なんとか耐えしのいでチャンスをモノにして勝つことができればいいなというふうに思っています」
――ありがとうございました。

渡辺向輝投手
――ご自身の強みと課題を教えてください。
「アンダースローなので、普通とは違う軌道のボールを投げられることが一番の強みだと思います。逆に弱みは、アンダースローのピッチャーは緩急を使えるピッチャーが多いんですけど、自分の場合はまだそこが弱いのかなというふうに考えています」
――プロを意識し始めたのはいつですか。
「意識したのは去年の夏ぐらいですかね。去年の夏ぐらいに今まで積み上げてきたものが急にはまって、これからどんどん伸びていけるぞということに気付いたときに、どこまで伸びるのかなというふうに思って少しプロも興味あるなと思いました。(プロで活躍したいというよりは野球でもっと成長したいというような感じでしょうか)そうですね。そういう感じです」
――昨秋の明大1回戦では8回無失点の好投を見せました。どのような部分を意識して投げていましたか。
「あの試合は結果的には10―0になってしまったんですけど、その前の早大戦で少し炎上しちゃったというかいろいろあって点を取られてしまって、あの試合は自分が活躍するというよりは、なんとしてでもまず試合を作る、チームの駒になるというのをすごく意識した気がします」
――昨秋全体を振り返っていかがでしょうか。
「全体を振り返るといい試合もあって、立教とかも9回2アウトまで1点で抑えていたりとかもあったんですけど、下級生の頃からアンダースローに変えてやってきたものがはまって、それがちゃんと通用するんだなと分かったという意味では収穫のあるいいシーズンだったと思います」
――アンダースローを解説した動画をYouTubeで公開されていました。すごく反響が大きいですが、あのような発信を行った意図はありますか。
「あれはマネージャーにやれと言われたので(笑)。でも、広報というのもあるし、東大野球部の選手がこうやって考えながらやっているよというのを分かってほしかったという感じです」
――東大はSNSでの発信に力を入れていると感じますが、それは部全体として取り組まれていることなのでしょうか。
「今年はきちんと広報をやろうみたいな感じになったと思います。それまでは野球ファンに媚びるじゃないですけど、野球ファンの女子大生ウケとかを狙っていて良くない感じだったので、今年はちゃんと東大野球部自体の魅力をちゃんと見てもらおうということでしっかり広報するようになったと思います」
――今季は1回戦での登板が予想されます。各大学のエースと対戦で勝つためにどのように取り組んでいきますか。
「やはり気持ちで負けちゃ駄目だなと思いますね。(他大学の選手は)体がとても大きいんですけど見たことありますか。気持ちが一番大事だと思っています。だから整列のときとかも下からこう(見る)ではなくてこう(上から見るように)行きたいです」
――明大で注目している選手はいますか。
「今年も変わらず小島(大河捕手・政経4=東海大相模)はすごく気を付けないとなというふうに思いますね。あとは内海(優太外野手・商3=広陵)。あれが成長していたら怖いなと思いますね」
――昨春の取材でも内海選手の名前を挙げていました。意識している理由はありますか。
「本当ですか(笑)。理由というか、新人戦で一度対戦した時に抑えはしたんですけど、スイングがちょっとずば抜けてすごくて。あのまま順調に成長していたらかなり厄介なんじゃないかなと。六大学で一番のバッターになるんじゃないかなと思ったので、そこから警戒しています」
――今年度の目標を教えてください。
「チームとしては勝ち点を取ることが目標です。個人の目標は1回戦と3回戦の両方を自分が完投して勝つということが一番の目標です」
――明大戦の意気込みをお願いします。
「明治大学は今年プロに行くようなピッチャーが何人もいると思うんですけど、そいつらよりも抑えるので。見ていてください」
――ありがとうございました。
[野原千聖]
※杉浦主将の写真は東大野球部提供
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