(85)ドラフト特別企画 興国高・喜多隆志監督

2024.11.05

(この取材は10月26日、電話で行われました)

喜多隆志監督(興国高)
――浅利太門投手(商4=興国)が3位で指名を受けましたが、指名を受けてどんなお気持ちですか。
 「そうですね、率直に良かったなと。(4年)春が少し良くなかったので、いろいろな形で不安にも思いながら彼も多分やっていたと思いますが、指名されてとてもうれしかったです。(ドラフト当日、高校の体育館でパブリックビューイングが行われていたと伺いました)そうですね。高校のアリーナで映像を流して、野球部中心に残ってくれたので、そこでみんなで見てました。(喜多監督は指名の瞬間を見れなかったと伺いました)そうなんですよ。僕そんな、自分勝手なんですけど上位で選ばれると思っていなくてまだ体育館に居なくて。体育館が『うわー!』って盛り上がったので、少しびっくりして。そこで知りました(笑)。そのときはもううれしいし、良かったと思いました。プロは彼の一つの目標でもありましたし、これからは大変だと思いますけどまた頑張ってほしいという思いでした」

――指名後、浅利投手と電話をされた際にはどういった話をされましたか。
 「本当に良かったねということで。あと、いろいろな方にお世話になっているから必ずお礼の連絡をするようにという話をさせてもらいました」

――次に高校時代についてお伺いします。高校入学当初の浅利投手の印象は覚えていますか
 「入部当初からポテンシャルはすごく高くて、背も大きいので、将来楽しみだなという期待を持ちながら見ていたと思います」

――高校時代はどのような選手でしたか。
 「最後3年でキャプテンをやらしたり、ちょこちょこ腰をケガしたり、いろいろありましたけど。コロナで最後、夏大が代替大会になったということも逆にプラスになったところもあって、最終的にしっかりチームをまとめて、いいチームを作って次の代に引き継いでくれたという印象を持っています。(浅利投手は1年生の頃から公式戦で投げていましたが、やはりずっとチームの中心にいるという感じでしたか)そうですね。やはり1人だけモノが違う素材だったので。本当にもう最初からずっと軸となる選手でしたね」

――浅利投手の人柄はどのように見ていましたか。
 「結構取り組み方で怒ったりもよくしました。ご存じの通りマイペースなところもあるので、その辺りがキャプテンに指名した理由でもあるんですけど。チームのことも考えながらやってほしいというところで、キャプテンをやらせて、最終的には本当に勝ちたいというところを表現してくれたので、しっかりチームを引っ張っていたと思います」

――浅利投手がプロを目指すきっかけが、喜多監督からの『プロ行けるぞ』という言葉だったと伺いましたが、どのような意図で声をかけられましたか。
 「本当ですか(笑)。でもやはり高いところに目標を設定しないといけないと思っていて。多分指導をしている時に、おそらく自分基準で決めてしまってもっとできるのにと思ったところで、厳しく怒ったことがあると思いますが、その時にプロの話も出したのだと思います。とにかくうちのチームはそこまでレベルの高いチームではないので、うちのチームで中心選手であったとしても、外に出ると大した選手ではないという認識も持ってほしかったというところで、目標は高く設定しなさいというところで言ったのだと思います」

――高校時代に感じていた選手としての魅力はどういったところにありましたか。
 「それももう多分今と評価変わらないと思いますけど、高身長で角度のあるスピードボールが魅力的だったので。未完成なところが逆に魅力的という印象を持ったピッチャーです」

――高卒でプロへ進むことも考えていた中で、進路を決めたり大学を選ぶ際に何かアドバイスなどはされましたか。
 「そうですね。前監督も少し絡みながら、やはり東京六大学の方で、大学を挟んだ方が間違いなく良いだろうというところで、大学の方の話を進めさせてもらいました。(喜多監督ご自身も慶大からプロに行かれたと思いますが、自分の経験なども踏まえて、アドバイスや指導をされていましたか)そうですね。長い先を見る中で、やはり先の人生のことも考えた場合、何があるか分かりませんし、大学で一回勝負した方が、もしケガとかいろいろな力が出せなかった時に、就職とか、まあ少し保守的な感じではありますけど、そういう形で冷静に判断をして進学した方が良いと考えて伝えていました」

――浅利投手が自分に自信を持ってしまう性格と自身で思っている中で『喜多先生が厳しい言葉をかけてくれたから今の自分がある』とおっしゃっていました。浅利投手を指導する中で意識していたことはありますか。
 「やはり僕自身満足した時点それで成長止まってしまうと思っているので。やはり常に高い目標を持ってやれば人ってずっと成長し続けられると思っているので。でも、成長が止まるということは、おそらくもう目標も設定しなくなったとかだと思うので、満足した時点で終わりというところでその辺りは少し厳しく話はしたと思います」

――大学入学後にプレーを見る機会はありましたか。
 「実際見ていないんですよ。結局この春のリーグが終わってから、会いに行ったくらいで、実際投げてるところは見れていないです。でも彼はきっちりリーグ戦前とかその辺りに連絡をくれるのでそこで少し話したりしていました。教え子は彼だけではないですけど、各方面でやっている子らの結果というのは気にしながら見ています」

――リーグ戦の映像を見たり、話をしている中で、大学入学後で浅利投手が一番変わったと思うところは何かありますか。
 「体つきであったりとか、あとは考え方であったりとか。やはり高いレベルの選手の中で練習をさせてもらってるので、レベルアップするためにどうすればいいのかというところを多分考えながらで、工夫しながら努力したんだろうなというところが、話しながら伝わってきました。(反対に、変わらないと思うところはありますか)やっぱりマイペースのとこですよ(笑)。どこからその自信出てくるんだと思うことを言ったりとか、そこは高校時代から変わらないなというふうに見ています」

――今後プロの世界に進む中で、どのような選手になってほしいですか。
 「やはりプロに入るのも一つの目標ですけど、これからが本当に勝負だと思うので、日本だけで終わるのではなくて、メジャーとかその辺りでも挑戦できるようなピッチャーになってくれたらと思っています」

――ありがとうございました。

※本インタビューを含めた「明大スポーツ新聞第541号(ドラフト特集号)」は11月7日発行予定です。

[佐藤あい]