
(81)法大戦事前インタビュー② 武川廉内野手、松下歩叶内野手

(この取材は9月3日に行われました)
武川廉内野手
――この春を振り返っていかがでしたか。
「新チームが始まってから『勝てるんじゃないか』という自分たちの期待も含めたシーズンの中で、うまくいかない試合も多くて。早慶と明治に負けたので、そこを上回っていかないとと思わされるシーズンだったかなと思います」
――主将を含め『守りから流れを』というお話がありました。そのような点では、守備から攻撃へのつながりがうまく機能しなかったということでしょうか。
「そうですね。新チームになり『守って勝つ』を目標にしていた中で、スコアボードには載らないような細かいミスというのがかなり多かったと思います。守りから攻撃という法政の野球をやっていこうと話をしていましたし、これからそこを詰めていかないといけないと思います」
――打撃に関してチーム内ではどのような課題が挙がっていますか。
「チームとしては、大きく変えようという話になっていました。みんなが長打を打てるのでそこに自信を持っていたんですが、低く強い打球を逆方向に、というバッティングの基本をもう一度研究しました。リーグ戦が終わってからの打撃の見直しというところが、一番変わったと思います」
――守備についてはいかがですか。
「球際が守備の基本になるので、勝負どころでミスをしないことです。『この法政のグラウンドで、神宮での緊張感をイメージしてできるか』というのを大島さん(公一監督)から言われました。神宮で戦うモチベーションや雰囲気は自分でしか決められないので、そこをチーム全体で確立することが大事になってくると思います」
――春から磨いてきたフィジカル、長打力についてはいかがですか。
「自分自身、プロに行きたいという気持ちが去年ありました。このままではいけないというのもあり『これで崩れてしまったら仕方ない』と割り切って冬のシーズンを取り組んできました。結果的にいえば良くはなかったんですが、それまで取り組んできた過程は無駄じゃなかったというふうに思っています。リーグ戦では結果として出ませんでしたが、最後のシーズンはやってきたことを出せるようにしたいなと思います」
――どのような対策をされていましたか。
「法政の打者は基本的に後ろが大きく、外のストレートをジャストミートできる打者が少ないというデータがありました。外のストレートはピッチャーとして生命線になる部分だと思いますし、そこを打てないと六大学のピッチャーを攻略するのは難しいので、自分のポイントで捉えてヒットにすることを目指しました。六大学のピッチャーはストレートが速く、そこを打てないとどの球種も後手後手になってしまうので、まずは外のストレートを完璧に打ち返すところから始めています」
――強みをご自身で表すと、どういうところになりますか。
「スピードを生かしたプレーがしたいので、スピードを生かした守備、バッティング、走塁です。あとは広角に打つことを目標にしているので、そういう部分を見てほしいかなと思います」
――打率ランキングでは、明大、慶大の選手が上位を占めていた中で数人法大の選手も見受けられます。チームの打線についてはいかがですか。
「チームとして強い真っすぐを打てていなかったですし、上位に食い込めた選手でも他大学の選手と比べると打てていなかったので、そこが法政バッター陣の一番の課題になると感じました」
――オールスターでは、他大学の選手と交流はございましたか。
「同じセカンドを守っていて、ベストナインを取った木本(圭一内野手・政経3=桐蔭学園)は他大学の可愛い後輩ですね。一緒にご飯に行ったりしました。(オールスターが交流の場に?)去年、自分は希由翔さん(上田希由翔・令6卒=現千葉ロッテ)に可愛がってもらって、ご飯に行ったりしました」
――明大で警戒している選手をお伺いします。
「ピッチャーでは、やはり髙須くん(髙須大雅投手・法3=静岡)ですね。春に第1先発として投げてきて一番打てなかったピッチャーなので。打席に立ってみてストレートが一番速く感じたピッチャーで、彼を打てないと明治には勝てないと個人的には思っています。野手では宗山(塁主将・商4=広陵)になると思います。春が終わって調子を上げてきた雰囲気がありますし、気持ちも入ってくると思います。下級生の時から中心的な選手で、そこを封じないと明治のやりたい野球がやられてしまうと思っています」
――これからラストシーズンを迎えますが、どのような面で存在感を発揮したいですか。
「自分は去年からリーグ戦に出ていて経験がある方だと思うので、そういうところでは自分をぶらさず、どのような展開になっても諦めずにやっていきたいです」
――試合前の円陣など、盛り上げ役的な存在はいらっしゃいますか。
「試合には出ていないんですが、大川(航駿選手)という選手がいます。チームとして助けられている部分が大きいというか、チームの雰囲気を一気に変えられる選手です。彼がいる、いないで練習や試合の雰囲気はかなり変わるので、そこは彼の魅力だと思っています」
――チームにおける武川選手のキャラクターを教えてください。
「試合に入れば和らぎますが、自分はかなり緊張しいなので。周りのみんなに何かできるという余裕はないですね(笑)」
――最後に意気込みをお願いします。
「明治には知っている選手も多いですし、かなり負けたくないというか。明治に勝って優勝したいです。早慶立東大、すごく難しい相手にはなりますが、全部勝って明治にも勝ちたいです。法明戦が最終節なのでそこまで勝って、優勝争いがしたいので、最後まで全力でやり切りたいなと思っています」

松下歩叶内野手
――今春を振り返っていかがでしたか。
「そうですね。個人的にもチームとしても、なかなか思うようにいかなくて。 特にチームとしては、ピッチャーが頑張っている中で打撃陣が応えることができず負けた試合がかなりあったので、そこが悔しかったなと思います」
――チームではどのような点を話し合われましたか。
「つなぐ意識というのがなかなかできていなかったと思います。冬場のバッティングで振り込んでいて、それがかえって『自分が打ちたい』という気持ちになっている選手が多く、チームとして攻撃できなかったのが課題かなと思います」
――守備面、打撃面で取り組まれていたことをお伺いします。
「個人的には振る量をできるだけ取るようにしていました。少しでもバットを振れるように練習中だったり、練習が終わってからの時間を確保するようにしています。チームとしてはフライが多かったので、強くライナーを打とうと声を掛けながらバッティング練習に取り組んでいます」
――具体的にはどのような練習をされていますか。
「ボールを置いて打つ練習ですね。止まっているボールをできるだけ強く、遠くに飛ばす練習をやっています。(同様の練習に取り組まれている選手のお話をよく伺いますが、自主練習中は選手同士で会話などは?)話はあまりしないんですが、夜とか自主練習に行くと、それを打っている選手は結構いる印象です。僕の場合は、調子が悪い時は体が前に突っ込んでしまうので、ボールが止まっているとその場で打てるというか。課題の修正というか、悪い時にやるとうまく戻る感じが自分には合っているかなと思います」
――ライナー性の打球を放つという意識について、全体練習などではどのような働きかけをされていますか。
「バッティング練習の中だったり、その前のミーティングでそういう話をしています。今ではティーバッティングなどから試合の実戦的なピッチャーに対してまで、逆方向に強い打球を打とうという意識で取り組んでいます」
――打球の方向に関しては作戦的な要素もあると思いますが、何か変化などはございましたか。
「エンドランやバントなどは春と変わらないと思いますが、走塁の面ではかなり力を入れています。ベースランニングの回り方だったり、リードの幅、ランナーとしてワンヒットでホームにかえること、そこはかなり細かく練習に取り入れていると思います。(ご自身の走塁に関してはいかがですか)足がめちゃくちゃ速いかと言われたらそうでもないんですが、次の塁を狙う姿勢というのは自分的にも得意かなと思っています。そういった意識については、高みを目指してやっていきたいです」
――打撃におけるご自身の強みをお伺いします。
「チャンスの場面で1本打つ勝負強さを大事にしています。(打球の弾道などについてご自身の意識は)どうしても試合だと開いてしまったり、うまく打てない部分があるので、練習ではセンター(方向)を中心にバッティングするように心がけています」
――データ的な部分として、法大の選手は後ろの部分が大きく外角ストレートに対応できなかったというお話がありました。何かお話されたことなどはございますか。
「確かにみんな後ろが大きく大振りになっていて、なかなか捉えられなかった部分がありました。(他にデータ面から指導・指摘された点は?)僕はアウトコースをしっかりヒットにできるようにと監督から言われました。六大学はストライクゾーンが少し広いので、そのアウトコースビタビタに来たボールに対して強く振れていないのが今の課題だと思います」
――オープン戦ではどのような点に着目されていましたか。
「やはり春と違ってピッチャーのボールの強さ、変化球のキレが上がってきていると思います。 社会人は大学生よりも球質がいいので、そこにうまく対応できるように試合に取り組んでいます。いろんなボールに対して対応できていて、自分の中では『意外と戦えるな』という自信もありますが、そこはこれまで振る量を増やしてきたことが、少しずつ結果として結びついているのかなと思っています。(客観的な数字では?)スイングスピード自体はそれほど変わっていないと思いますが、打球速度、飛距離はいろんな人から上がってきたねと言われています」
――三塁手として、強肩が魅力的な守備を見せました。
「今年からサードになったので距離感だったり角度の違いはありましたが、打ち取った球を確実にアウトにしようということをやっていました。(三塁手の難しさについて)セカンドは打席から距離がありますが、サードでは強い打球に対してのハンドリングという難しさがありました。(選手としてのカラーも含め守備位置の希望などは)高校までずっとショートだったのでそこで勝負したいというのはありますが、いろんなポジションをしてきて守りやすさはあまり気にならなかったので、どこでも任されたポジションで結果を残せたらと思っています。(練習での割合としては?)全体練習ではサードが多いんですが、自主練習などでセカンド、ショートと色々できるよう準備をしています」
――オールスターでは、新たな交流ができた選手はいらっしゃいましたか。
「伊藤樹(早大)と清原さん(正吾選手・慶大)ですね。伊藤樹はこの前代表があったんですが、そこから仲良くなりました。今回もチームが一緒だったのでずっと話していて、さらに仲良くなった感じです。清原さんは今回初めてちゃんと一緒になって、たくさん話しました。(お2人の人柄については?)2人ともグラウンドの中だと、怖いというかあまり笑ったりしないタイプですが、グラウンドを出たらもうめちゃめちゃ笑ってふざけ合っていましたね」
――秋のシーズンはどのような部分で存在感を発揮していきたいですか。
「守備ではとにかく打ち取ったボールをしっかりとアウトにできるようにすることだけを考えています。バッティングでは打点を大事にしていて、チャンスの場面での1本だったり、勝ちにつながるヒットを打てるようにずっとやってきました。勝敗を決めるような1本を打ちたいなと思っています」
――松下選手はチーム内でどのようなキャラクターを務められていますか。
「練習中は厳しいというか、引っ張っていく感じだと思います。ただ、僕も練習外だったりグラウンド以外のところでは野球のことを考えず、はっちゃけそうになっているので、そんな感じですかね(笑)。(プライベートではどなたと親交が?)それこそ木本(圭一内野手・政経3=桐蔭学園)とも遊びに行きますね。法政でもいろいろな人と行くんですが、武川さん(廉選手)か、あとは鈴木大照さん。同級生だったら永野(司投手)とかですかね。(プライベートでもチームの話を?)そんなときもありますね。うまく勝てていないときだったり結果が残せていないときに誘ってもらったり、逆にちょっと行きましょうよって言ったりですね」
――明大で警戒している選手をお願いします。
「めっちゃいますね明治は(笑)。全員ですけど、ピッチャーはやはり髙須(大雅投手・法3=静岡)ですね。オールスターの時、春より球速が上がって球の質も良くなっているなと思ったので、やはり髙須を打たないと勝てないと思います。バッターは宗山さんと小島(大河捕手・政経3=東海大相模)です。小島は小学校の時に選抜チームで一緒で、そこからずっと知り合いでした。彼は打率も残すんですが、とにかくチャンスに強いなと。明治との試合が1番楽しいですね。知り合いがいるというのもあるんですが、レベルも高くて、勝てるように頑張ります(笑)」
――法大の中で優勝へのキーマンとなるのはどなただと思いますか。
「今年のショートを守る石黒(和弥)ですかね。春のリーグ戦では1打席か2打席しか立っていないんですが、この夏のオープン戦期間でずっと打っています。石黒は愛されキャラというか、ムードメーカー的な存在なので、打てばチームも流れに乗れるんじゃないかと思います」
――最後に意気込みをお願いします。
「春のリーグは悔しい結果になってしまったので、とにかく優勝だけを目指しつつ先を見ずに一戦一戦を頑張って、最後明治に勝って優勝したいです」
――ありがとうございました。
[松下日軌]
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