(62)東大戦事前インタビュー① 渡辺向輝投手、酒井捷外野手

2024.09.20

(この取材は9月19日に行われました)

渡辺向輝投手
――秋季リーグ戦が開幕しましたが現状の感触はいかがでしょうか。
 「ボールの調子自体は良くて、体の調子も良かったのですがオープン戦を組んでいた相手とは違い(開幕週の早大は)全国準優勝したチームということもあって、調子は良いのに『今日はやばいかも』と不安になってしまったのが投球が荒れたことにつながってしまった要因だったと感じています。早稲田の選手は甘く入ると全員ホームランにしてくるので、外中心に投げて短打なら仕方がないというイメージで投げていました」

――球種としてはスライダーやシンカーをはじめ、90キロ台の緩いボールなども投げ分けられているように見受けられます。
 「その遅いボールはカーブと定義して呼んでいます。カーブと110キロくらいのスライダー、115キロから出そうと思えば120キロくらいのシンカーですね。(ロッテ等で活躍されたお父様の渡辺俊介さんのスタイルを意識される部分もあるのでしょうか)そうですね、投げている球種はおそらく同じだと思います(笑)」

――2年次から3年次にかけて意識的に取り組んだことがあれば教えてください。
 「2年生のころはストライクが入れば打たれないという投手で、ただストライクが入らないという課題がありました。そこを解決するために投げ込みもそうですし、常に試合の状況を想定した投げ込みを行ってきました。冬から今年の春にかけては、ストライクが入るようになったので今度はどうやって早いカウントで打たせるかということを意識して取り組んできました」

――次戦の明大戦では走者を背負っての投球などが重要になってくると思われますが、どのような意識を持たれているのでしょうか。
 「明治は足がある選手が多いので、諦めようというかある程度は割り切っていこうという話はしています。ただ走られてはいけないランナーには走られないようにしようということは思っていて、上位の2人(直井宏路外野手・商4=桐光学園、飯森太慈外野手・政経4=佼成学園)や出てくるか分かりませんが榊原(七斗外野手・情コミ2=報徳学園)あたりは怖いなと感じます。走らせないという部分ではキャッチャー頼みになるのかなとは思います。ピッチャーとしてはリズムだけは変えようと思っていて、いくら走られると分かっていても簡単に走られることなくリズムや間を変えることで対応しようという話にはなりました」

――リーグ内の他大学の選手とご自身を比較して感じたことを教えてください。
 「足りていないこととしては、自分は生まれつき身長が大きくないということもありフィジカル的な部分では足りていないと感じています。そこで戦おうとは思っていなくて、一方で勝っている部分としては、自分は元々高校のころは上から投げていたこともあるのですが投げることのセンスであったり知識に関してだけは六大学の中でも誰にも負けないと思っています。『〇〇だからここは力を入れなくても強いボールが投げられるな』といったメカニクス的な部分であったりそれを再現する力というところだけは常に負けないようにと思ってやっています」

――大学野球を続ける中で今後どの部分を強化したいとお考えですか。
 「スピードは今の球速が一番打たれないということがデータとして分かっているので、そんなに上げようという考えはありません。例えばシンカーは同じ回転でも今より5キロ球速が上がると落ちる量が減ってバットに当てやすくなってしまったり、スライダーも伸び切るまでに届いてしまうということがあるので、バッターの錯覚を使うという点では今の球速帯がベストなんだと思います。真っすぐも130出ないくらいで、125くらいが良いのかなと思います。むしろ外角の制球などの再現性を高めていくのが今後の課題と思っています。いいボールを投げたときをひたすら再現できるようになっていきたいなと思います」

――今季をどんなシーズンにしますか。
 「3年のうちから先発をさせてもらえるのはありがたいことなのですが、その分今年は1勝もできていないチームで投げるわけなのでそのプレッシャーは当然あります。自分が投げ切って1勝もぎ取れる試合をつくりたいと考えています」

酒井捷外野手
――現状の状態について教えてください
 「自分のバッティングに関してはケガの影響もあって調整がぎりぎりになった部分があり、なんとか間に合ったという感じです。悪くはないかなと思っています。守備位置はセンターで今の代に変わったタイミングからセンターをやる予定で、結果的には秋からということになりました」

――春先にアクシデントがあったと伺いました。
 「膝に関してはもう状態が良いので、あとは失われた試合勘であったりとか技術的な部分が重要になってくると思っています。膝は95%くらいまで回復しているイメージです」

――コンパクトなスイングで安打を量産されています。
 「バットを内から出すという意識は持っていますし、逆方向への意識も持っています。体を開かずにボールとバットが接する時間を長くしたいと思っています。インコースの直球への反応などは自信がある部分で、そこは練習でついたというよりは元から自信があったところでそれがうまく生かせているのかもしれません」

――昨年度と比較して、やや上体を前に倒した待ち方をされているように見えますが、意図を教えてください。
 「そうですね、ただそうしようと思ってこの形になったわけではありません。短い時間で調整していった中で結果的にそうなったと言うか。去年の秋は試行錯誤して頑張ってあの形にたどり着いた感覚があるのですが、今年に関しては時間がなかったこともあり自然な形で打つということが最優先になりました。いかに脱力して楽に打てるかというところに終始していたら結果的にあの形になったという感じです」

――現在のチームは酒井選手を中心に外野手陣の競争が激化しているのではないでしょうか。
 「本当にバッティングが良い外野手が多いので、そこは刺激にもなりますし、いろんな選手から勉強して高め合っています。あくまで自分がやるべきことは初回1番打者として出塁して、得点圏の形をつくって中山(太陽外野手)とか大原(海輝外野手)に打たせるということだと思うので、そういった意味ではまず出塁をして足を使ったりあるいはバントなどそういった形かもしれませんがうまく得点圏に進むというのが仕事だと思っています。今年の打線は長打を打てるバッターが後ろにいるので、自分が1番を打つ形が良いのではないかと感じます」

――理想的なゲームプランを教えてください。
 「やはりうまく打撃陣で先制点を取って、相手を焦らせるかというのが大事になってくると思っています。『東大に負けたくない』という気持ちは他の5大学で戦う際よりも持たれていると思うので、そういったプレッシャーもうまく使うことができれば自分たちのチャンスがくると思っているので、まずは先制点を取って、前半をいい形で終えることができれば相手も焦ってくれるのではないでしょうか」

――個人としてはどのような課題を設定されていますか。
 「今は現状でいっぱいいっぱいになってしまっている部分があり、ここからというのが見えていない状況ではあるのですが、4年間のどこかで首位打者のタイトルを取るのが目標なので、打率や打席での安定感などは高めていきたい部分です。2年秋のシーズンはまずまず良い成績を収められたのですが、それを上回るような成績を残して復活した姿を見せたいと思っています」

――ありがとうございました。

[上瀬拓海]