
(61)秋季リーグ戦開幕前インタビュー 宗山塁主将

(この取材は9月6日に行われました)
宗山塁主将(商4=広陵)
――ここまでのオープン戦でもコンスタントに長打が出ていますが、状態はいかがでしょうか。
「そうですね、いい感じにはきていると思うので、最後リーグ戦でいい形に持っていきたいと思っています。キャンプでは量をしっかり振ってきて、後半は実戦も入ってくる中で自分の感覚と擦り合わせていったのですが、キャンプの段階からある程度は感覚としていいものが出てきたかなとは感じています」
――春のシーズンを経て、直近の試合では右足を上げるタイミングが早い、かつてのフォームに似た打撃の形に回帰されたように見受けられます。
「いろいろなタイミングの取り方を試してみた中で、遅れてしまうと全てがはまらない感覚があります。始動を早くして、こちらから仕掛けていくということを常に意識しています。打つべき球を1球で捉えることを考えれば、トップからいかにムダのないスイングをするかということに加えてまずタイミングが重要になると思ったので、タイミングが合った中でムダのないスイングができたらと考えています。以前に比べてスイングの回転が小さくなったと考えていて、小さい円の中で中心から回っていきたいというイメージがあります。1本の棒を軸に、体は回るのですがバットがボールのラインに入っていくような感じで、小さく回った中で、いいラインでバットが出ることで様々なボールに対応できますし、それだけボールも長く見れるようになると思っています。感覚的な話ですが足を上げて早めに準備した中で打った方が自分的には良くて、引っ張るべき球は引っ張れていると思います。そのスイングワークの部分は変わったところで、タイミングの合わせ方も今はいい感覚でできていると感じます」
――普段から『ヒットの延長が長打だ』と発言されていますが、一方で打順やキャリア的な部分において長打の要素は重要になると思われます。
「いいときは勝手に長打が出るという感じで、反対にヒットしか出てないときは自分の感覚的にはあまり良くないときです。狙うというよりは自然と長打が出てくれるというイメージで、その中で率を求めていかないといけないバッターだと思うので、その中にある長打、くらいのイメージです」
――苦しいシーズンが続いた3年春から4年春にかけてをどう振り返りますか。
「考え方が違ったという感じがあります。打てるときは自分の感覚がすごく鋭いし、自分の中で正解を出せると思っているんです。ただしそこをいろいろな意見を聞いたりしていく中で、それを自分なりに落とし込むというよりまずそこを取り入れてやってみた結果自分の良さとは違ったものになってしまった部分があったとは思っています。ですがやってみたこと自体はいい経験だったと思っていますし、マイナスには捉えていません。『あ、これじゃだめなんだ』と気づけることもあるのでむしろそれを経たから良くなっている部分もあります。(田中武宏監督が以前『宗山は打球を上げようとすると状態が落ちる』と発言されていました)3年のときはそもそも手で打ち過ぎている感じがありました。手主導で、手で軌道をどうにかしようと思っていた部分があって、それが状態が上がらなかった要因だと思っています。いい時は勝手に打球も上がるものなんで、上げようとしないというのは大事だと思います」
――リーグ戦の2ヶ月間調子を維持するためのチェックポイントを教えてください。
「例えば前の足のステップ幅は大きくなりがちかもしれません。踏み込むときに右足が前に行きすぎると、軸で素早く回転することができません。元々その癖があったのでそこは大学に入って直した部分です。あとは振り出す時に体からバットが離れすぎないことと、前の肩が入り過ぎない、下に落ち過ぎないことですね。落ちると反動で上がってしまうので。ポイントに関しては同じところで打ちたいですし、できれば呼べた方が良いと思っています。呼べた方が良いのですが、呼び込んで打つのは難しいですし、パワーも必要になってきました。前で打つというよりかはバットが出てきてくれるから自然と前で捉えられるイメージで、ポイントを自分で前にしようというよりかは、少なくとも練習の時点では近くで真っすぐを合わせておかないと、それより遅い時に対応できません。近くで合わせて練習をしておけば幅ができるので、幅を取りたいなとは思っています」
――『チームの勝ち方を形成する』というお話も普段からされています。
「今年は本当につなぐ野球ですね。とにかく次につないでいくということです。もちろんその中でホームランが出たりすることはあるのですが、つなぐということは真骨頂だと感じています。投手陣も先発・リリーフと決まってきていて、打順も固定されてきているので、このままいけばある程度はいいものが出てくるのではないかと思っています。(犠打を多用する戦術の中で、唯一犠打のサインが出ないのが宗山選手です)2年のときからある程度は自由に打たせてもらっています。打ってどうにかできるバッターだと思われているということだと思うので、そこはランナーのいる場所によって飛ばす方向も決めて場面によっては進塁打的な打撃をしてという感じです」
――守備に関しても、握り替えやスローイングなどは改めて今日までに何をして作り上げられたのでしょうか。
「常に実戦を意識して、全てアウトにしないと意味がないので、アウトにし切る力は意識してやってきました。全ては一歩目の動き出しだと思っていて、特に一歩目と判断というのは試合の中で鍛えられた部分だと思います。もちろんフィジカルの強化というのもありますし、それが結果的に強い送球にも関わってきているので、大学に入って磨かれたところだと思います。ノックは福王さん(昭仁コーチ)に打ってもらっていて、逆シングルもそんなに得意ではなかったので、意識的に打ってもらって捕る練習ってのはかなりやっていました。村松さん(開人選手・令5卒=現中日ドラゴンズ)にスローイングのことを聞いたりすることもありました。自分ではそこまでスローイングが良いとは思ってなくて、今でももっと良くなりたいとは思っています」
――夏は母校の広陵高が4季連続の甲子園に出場しましたが、どうご覧になりましたか。
「これからの選手が多いし、これからうまくなっていくんだろうなとは見ていて感じました。広陵の同期では渡部(聖弥選手・大商大)や天野(幹太郎選手・高知工科大)、山川(大輝選手・駒大)あたりの活躍に期待しています」
――大学4年目、ラストシーズンを迎えます。
「早稲田には借りがあります。力量差はないと思いますし、自分たちのゲーム展開をしていけば絶対に勝てると思っています。いいも悪いも経験してきて、個人としてもチームとしても最後4年目で大きくなったところを見てもらいたいですね。ドラフトもあるので、その日までとにかくやるべきことをやって、その上で一番はリーグ戦で活躍できることです。打率も4割5割と行きたいですし、ホームランも3〜4本打ってヒットも20本以上。これがいい状態かなと思います。そこで実力を出せないと意味がないですし、今までやってきたこと、感じたことを全部いい方向に生かして、そこを見てもらえればと思います」
――ありがとうございました。
[上瀬拓海]

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