
(43)春季リーグ戦後インタビュー 宗山塁主将

(この取材は6月8日に行われました)
宗山塁主将(商4=広陵)
――今季は不運なアクシデントで後半戦を欠場し、チームとしても2位に終わりました。
「個人的には試合にもあまり出られずに2位で惜しかった分、余計悔しいと感じています。試合には出られない中リーグ戦はベンチに入らせてもらって、ベンチから雰囲気を作ることがリーグ戦では大事だなって特に感じましたし、出られなくてもチームとして一つのチームとして相手に立ち向かうことの大切さというのを感じたので、自分の結果どうこうではなくそこはしっかりやるべきだなと思っていました」
――ベンチから戦況を見守る中で、後半戦は徐々にチームの状態が上がっていきました。
「序盤の立教1回戦までとそれ以降だとチームの状態が全く違っていました。チームでこれをやろうと決めて試合をやるというところの大事さを感じました。自分からも監督に立教1回戦負けた後に『このままではダメと思ったので、監督から指示を出して明確にやっていけばチームがまとまると思います』という風に伝えて、全員で打席に立つ位置をベース寄りに詰めて立つようにしました。相手の先発ピッチャーを早い段階で降ろすということが重要になってくるので、統一して同じことをやって崩しにいったという感じです。勝ち方というのも少なからず選手は感じていた部分だと思いますし、戦い方の部分が一つの要因だったと感じています」
――1カード目の東大戦は引っ張り方向の強いファールもいくつか出ていましたが、その当時について覚えていることはございますか。
「一番大切だと思っているのはピッチャーとのタイミングです。自分の一番いい形でスイングをしようとするのは自分の自主練習でもできるのですが、対ピッチャーで打席に立つ機会はあまりありませんでしたし、開幕前のこのグラウンドのシートバッティングでも打席に多く立たせてもらっていました。ピッチャーと対戦していく中で見えてくることというのは自主練習のマシンを打つのとは全然違います。毎年そうですがどうやったら今の自分として一番いい打ち方をすることができるかや、タイミングをしっかりと取っていけるかということを考える中で、今思えばそこがうまくいかなかったかなと。東大戦も自分としてはヒットは出ましたがその内容はそんなにいいものではありませんでした。ライト線のファールもあそこまで捉えたらフェアに入れないといけませんし、状態も上がってないと感じました。リーグ戦への入り方もイレギュラーな形で、オープン戦で実戦を積めなかったことが響いたのかもしれません」
――東大2回戦では3点ビハインドで迎えた第1打席に適時打を放ちましたが、以前からビハインド時の打席でのアプローチや有利なカウントに持ってくる能力の高さが目立ちます。
「守っている側だとリードしてる場面ならピッチャーにどんどんテンポ良く行ってほしいと思うのですが、負けてる場合はそれを逆にやらせたくないと思います。こちら側がどんどんランナーを出してやっていかないといけないとなれば、逆にこちら側は攻撃の時間を作っていかないといけないのでそこを意識した上で、試合の流れをつかむようにはしています」
――続く早大戦では1回戦の2回表、4番・印出選手(早大)の打球を処理した際に悪送球を記録しましたが不安視された肩甲骨の状態に関してはいかがでしたか。
「肩の不安は始まる前から全くありませんでした。あの打球は印出ということで、最初の守備位置が三遊間に寄っていて結構さばくのが苦しかった打球だと記憶しています。映像で見るとそんなに厳しくないのですが、二遊間寄りに飛んで自分の中では横に動きながら一塁に投げる、苦しい体勢でした。結果指にかからず送球が抜けてしまいました。今季の早稲田は上位打線が守っていて嫌な感じがありましたし、こちらはチームとしての勝ち方がその時点では決まり切っていなかった中で、早稲田は型を持っていたのだと思います」
――前半戦終了時点では『もう少し始動の早いフォームで入るべきだった』と発言されていました。
「早稲田戦が終わってからのシートバッティングなどでの状態はとても良い感触でした。それまでは少し突っ込んでいたというか上体が前に出ていました。歩幅が少し広くなって、体の軸が一つ前に出てくるだけでバット遅れてしまいなかなか思うようなところに当たらないのですが、そこを修正して対ピッチャーの中でどうしたらしっかり自分のスイングができるかっていうか。そうなることが一番ダメなパターンなので、スイングがそんなに悪いわけでもないしそこのちょっとの差を直していけてて、すごくボールの見え方も変わってきていい感じだなっていう状態だったので、秋に向けてはそこを継続していきたいとは思っています。(2年次のような早い段階で足を上げるフォームに近づけるということでしょうか)そうですね。ボールの見方を変えようとしていて、早稲田戦はピッチャーがリリースした瞬間から打ちにいくような感じにしていたのですが、体の始動はもう少し早くしないといけないと思いました。見え方はそれでも良いのですが、それと一緒に始動も遅くしてしまっていたので、始動の部分は今まで足を上げて打っていたのと変える必要はないというのは感じています」
――5試合とサンプルは少ないながら、他大学バッテリーの徹底した内角攻めが目立ちました。
「結構しつこく攻めてくるなとは感じていました。特に近めの速球をしつこく来られていたのですが、あれで打ち取られてしまうと他のチームもその配球でやってくると思うのでそこをまずは1回打たないといけません。引っ張れるようになればそこは克服できると思っています」
――フィジカル的な部分での進化も顕著で、年々体格が良くなっていると感じます。
「しっかりと食事をとるっていうのもあるし、トレーニングもいろいろなものがある中でも自分に合っていると思うことをどんどんやっていくように変わって来ました。最初は提示されるメニューをやっていってそこからこれが要る、これが要らないと見えてくるのでそこの積み重ねです。すぐに体が大きくなるわけではありませんが、日々の見えないところの積み重ねが一冬超えたときや次のシーズンに入ったときにつながると思います。基本的に食べるのが肉、魚、野菜、ご飯、卵などタンパク質が含まれているもので、そんなに脂質が多くないものです。あとは糖質、砂糖が多いものは食べないですし、油物も取りません。自分で調べたり聞いたりしてやっています。やろうと思えば誰でもできることです」
――続いてグラブに関して、毎年ZETT社製のグラブを使用されています。
「サイズ的には変わっていなくて、中村奨吾選手(千葉ロッテマリーンズ)のモデルを使っていました。こだわりとしては手にフィットする感覚を大事にしています。よく手のひらの部分が浮いているものがあると思うのですがあれをしたくないんです。ゴロを捕ったときに力が伝わりやすいので、土手のところが手に引っ付くような感じの捕球面を作っています。ポケットは2つ作っていて、グローブの一番音が鳴る部分で(親指付け根あたり)ライナーやフライやピッチャーの球などを捕って、ゴロは逆に土手のちょっと上側で捕っています。捕球面がフィットしていることとポケットを2つ作ることは意識しています」
――各種報道などで連日宗山選手の報道を耳にします。
「そういった声は入ってくるので下手なプレーはできないですよね。ダメだったら言われますし、いい状態が普通と見られます。でも個人としてはハードル上がって周りの見る目が肥えるっていうのはいいことだと思っています。自分の一番いい状態はどういうときなのかということを見直して、周りからどう言われようと自分のいいパフォーマンスを出すだけなので、自分のやるべきことをやるだけです」
――3月の選抜高校野球に母校・広陵高が出場しました。
「そうですね。1番の濱本(遥大選手・広陵高)なんかはあのような舞台で結果を残せるやつなので中井先生(哲之広陵高監督)としてもあんな選手が一人居れば楽だと思いますね。(遊撃の白髪零士選手・広陵高は打撃フォームが高校時代の宗山選手に似ているように見受けられます)確かに白髪は3年になって一気にいい選手になりそうだなと勝手に思っています(笑)」
――来季はラストシーズンで目標とするプロ野球のドラフト会議も控えています。
「ここで結果が良かろうが悪かろうが自分ができることを最大限やって秋に挑むだけだと思っていますし、試合に出る以上は『自分がダメなら負ける』というくらい、チームの勝敗を自分で左右すると思ってやろうと思っています。チームがどれだけ束になって戦えるかが重要だと思っているので、言葉と行動でみんなを勝つ方向に向かわせたいです。そのための日々の練習であって、ここが神宮につながってくるのでそこを日々考えて4年生中心に話し合って、次は早稲田を倒したいと思います」
――ありがとうございました。
[上瀬拓海]
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