(30)法大戦展望/東京六大学春季リーグ戦

2024.05.24

 慶大に連勝し、勝ち点3で迎える最終節・法大戦。現時点で優勝の可能性を残すのは早大・慶大・明大の3校。明大の優勝にはこのカードで勝ち点を取ることが最低条件となる。

防御率トップのエース・篠木を打ち崩せるか

 第1戦の先発が見込まれる篠木はここまで6試合に先発し防御率は1.27でトップ。昨年までのような常時150キロを超える出力には至っていないものの、与四球率は昨秋の4.84から2.32と大きく改善。奪三振率も8.87から7.80とほぼ同水準で、新たな投球スタイルを確立している。

 しかし明大とは分が悪く、通算防御率は4.28。リーグ通算11勝の篠木だが、明大からは唯一、勝ち星を挙げられていない。あくまで昨年までの成績ではあるが、この相性が重要な一戦でどう左右するか。

チーム打率トップの打線 キーマンは1、2番

(1、2番を担う直井、右 飯森、左) 

 明大はここまでチーム打率.317でリーグトップ。打率ランク10傑までに5選手が入っており、近年でも最強クラスの打線だ。注目したいのは直井宏路外野手(商4=桐光学園)、飯森太慈外野手(政経4=佼成学園)の1、2番コンビ。直井は.357(リーグ6位)、飯森は.387(同4位)と好調をキープ。また自慢の脚力を武器にこの2人で計9盗塁を記録している。この1、2番の出塁が相手に対し大きなプレッシャーになるのは、もちろんのこと、3番の小島大河捕手(政経3=東海大相模)まで左打者が続く明大ではランナー1塁の場面からワンヒットで一、三塁という形をつくることも可能だ。多彩な攻撃パターンで篠木のペースにさせないことが勝利へのキーポイントか。

最終節も総力戦 継投のタイミングがカギを握る

 (ブルペン陣をけん引する千葉)

 開幕前から不安視されていた投手起用も後半戦にかけて固まりつつある。慶大戦では髙須大雅投手(法3=静岡)、毛利海大投手(情コミ3=福岡大大濠)が先発し、いずれも5回無失点と好投。先発として起用されていた松本直投手(情コミ2=鎌倉学園)がクローザーとして登板するなど新たな形も見えてきた。そしてブルペン陣の支柱を担うのが、チームトップの8試合に登板している千葉汐凱投手(営4=千葉黎明)。140キロ後半のストレートと曲がり幅の大きいスライダーを武器に、ここまで13回を投げ13奪三振。ここ2カード全ての試合に登板しており、連投を苦としないタフさも兼ね備えている。このカードも、継投勝負になることが予想され、どのように勝利までの襷をつなぐかに注目したい。

復帰が不透明の宗山 優勝への最後のピースとなるか

 最後に触れておきたいのが上半身のコンディション不良でスタメンを外れている宗山。復帰時期は未定だが、対篠木には通算.583(12-7)と相性抜群で出場すれば大きな追い風になるとみていい。またここまでリーグ通算98安打を放っており、通算100安打まであと2まで迫っている。通算安打記録の更新こそ厳しい状況となったが、100安打もリーグ史上33人しか達成していない大記録。今季中に達成できるか。

 立大1回戦を落とし、瀬戸際に追い込まれていた明大だが、そこから4連勝で優勝戦線に踏みとどまった。ここまでの戦いは決して盤石とはいえないものの、豊富な選手層を武器にチーム力は上がってきている。きたる最終節、何としても勝ち点を獲得し早慶戦での吉報を待ちたい。

[久和野寛人]