(24)慶大戦展望/東京六大学春季リーグ戦

2024.05.17

 立大戦で勝ち点を取り、優勝の可能性を残したまま明大は第6週へ。ここからは勝ち点はもちろんのこと、1勝が順位を左右する。対するは現在早大とともに首位を走る慶大だ。

 実力もさることながら、それ以上の力を呼び寄せるような采配とともに神宮にも旋風を巻き起こしているのが今の慶大と言っていいだろう。慶大の投手のキーマンは間違いなく外丸だ。1年次から神宮のマウンドで躍動している外丸。昨季はリーグ2位の防御率1.54を記録し、今季も現時点で1.32と申し分ない数字を出している。抜群のコントロールを武器としているが、今季現時点での与四死球13は既に昨季の11を上回っており、うち7つは死球とふとしたコントロールミスで外丸らしからぬ姿を目にすることも。法大1回戦では法大打線に打ち込まれ3失点し、2023年4月10日以来およそ1年ぶりの黒星を喫した。また、第4週の立大戦では3連投(うち2戦は先発登板)をしており、少なくない疲労がパフォーマンスにどう影響するだろうか。いずれにしろ、調子の良しあしにかかわらず相手打線を抑え続けているのが外丸の強さの証明となった。絶対的エースを前に明大打線はどういった攻撃を仕掛けていくかに注目したい。

 慶大野手陣は廣瀬、栗林泰などのパワーヒッターが卒業し、失った戦力の穴は大きいように思われた。だがふたを開けてみるとチーム打率こそ.238とリーグ4位だが、数字には表れない打線のつながりや勝利がかかる場面の一打が多く、早大とともに頂点に君臨している。法大3回戦の延長11回裏に代打で初出場し、サヨナラ本塁打を放った渡辺憩は以降2試合でスタメンマスクを被り、現在打率は7割5分とまさに絶好調。また4番に抜てきを受けた清原がチームトップの6打点と役割を果たしている。明大からすれば清原の前に走者を溜めないことが失点を抑えるカギとなる。慶大は規定打席に達している選手が本間、水鳥、清原の3人でリーグ最少。しかし裏を返せば調子の良い選手を起用していることの表れでもあり、今後も渡辺憩のような鮮烈デビューを飾る選手、清原のように劇的ブレークを果たす選手が出てきそうだ。

 対する明大投手陣は、藤江星河投手(政経4=大阪桐蔭)のコンディション不良、浅利太門投手(商4=興国)の不調により大黒柱を欠いている状態。先の立大戦では髙須大雅投手(法3=静岡)、松本直投手(情コミ2=鎌倉学園)、毛利海大投手(情コミ3=福岡大大濠)が先発。いずれも100球未満と比較的早くマウンドを降りており、慶大戦でも長いイニングを彼らが投げることは考えにくい。千葉汐凱投手(営4=千葉黎明)をはじめとしたリリーフ陣はこれまで健闘しているものの、本来リリーフの毛利や松本直が先発に回った影響で枚数が手薄なのは事実。仮に第3戦となった場合、外丸との投げ合いはやや劣勢か。

 昨季の慶大戦では、負けたら自力優勝が消える試合で完封負けを喫した。〝相性〟という言葉は過去の試合結果の積み重ねが生むものにすぎない。それを乗り越えるだけの戦いをぜひとも見せてほしい。

[橘里多]