(21)立大戦展望/東京六大学春季リーグ戦

2024.05.10

 春季リーグ戦は第5週を迎えいよいよ後半戦が始まる。明大は早大相手に惜しくも勝ち点を落とし現時点でリーグ3位。リーグ制覇に向けてこれ以上負けられない明大の次なる相手は立大だ。

 立大の第一先発を任されるのは今季からエースナンバーを背負う小畠だ。外の出し入れを中心とした投球でここまで防御率1.37とリーグ3位の好成績を残している。2年次から神宮のマウンドを経験しており、通算防御率も2.07と大崩れしないのが特徴。明大打線を苦しめた伊藤樹(早大)とタイプが似ており明大にとって厄介な相手になり得る。2回戦での先発が予想される大越は落ち着いた投球が持ち味の技巧派右腕。早大2回戦でリーグ戦デビューを果たすと法大戦、慶大戦でも第2先発を任され、ゲームメイク能力に長けている。大越はいずれの試合も5回までに降板しており2回戦では早い段階での継投が予想される。後には今季から変則気味のフォームへとシフトした沖、昨季奪三振率10.22を記録した塩野目、ここまで自責点なしの吉野らが控えており、投手層は厚い。

 対する明大打線は東大戦で好調ぶりを発揮しここまでチーム打率.339とリーグトップの成績を収めている。リードオフマン・直井宏路外野手(商4=桐光学園)はチーム最多となる9安打3盗塁をマークしており、打率も.409と絶好調。続く飯森太慈外野手(政経4=佼成学園)も規定打席にこそ到達していないがここまで打率.462を残しており俊足1、2番コンビに注目したい。また加藤巧也内野手(商4=大阪桐蔭)、小島大河捕手(政経3=東海大相模)、木本圭一内野手(政経3=桐蔭学園)が打率リーグ十傑入りを果たすなど、どこからでも得点できる打線が強み。数字だけを見ると不足のない打線だが、早大戦では1試合の平均安打数8とイニング数を下回る結果となりチーム打率も.245と大きく低迷した。また3番・宗山塁主将(商4=広陵)がここまで打率.174と本調子とは程遠い打撃が続いており打線には不安も残る。

 立大野手陣には経験豊富な選手がそろう。打線を引っ張る菅谷は昨年度に行われた大学日本代表強化合宿にも名を連ね、今季も現時点で打率.333とチームトップの打率。場面に応じた打撃が特徴で確実性の高いミート力に加え、慶大3回戦で本塁打を放ったパンチ力も兼ね備える。今季は主に5番や下位打線を務めているが最も警戒が必要な打者と言えよう。またルーキー・小林隼もマークしておきたい。走攻守抜け目がなく高校時代にU―18日本代表の主将としてチームを初の世界一に導いた実績を持つ。リーグ戦序盤は代打として起用されていたが慶大2回戦から1番・遊撃手としてスタメンを勝ち取ると、打撃もここまで14打数5安打と当たっている。他には西川や丸山らの力強いスイングが武器のパワーヒッターが打線に並び、失投による一発には留意したい。ここまでチーム打率.227にとどまっている立大打線だが一発を放つ長打力に加え明大と似て犠打で確実に走者を進める手堅い野球で得点を挙げてくるのも特徴だ。

 迎え撃つ明大投手陣は現時点で絶対的エースがおらず先発投手も定まっていない。4年生投手陣の調子が上がり切らない中、早大戦での好投が光った髙須大雅投手(法3=静岡)、松本直投手(情コミ2=鎌倉学園)の両右腕がカギを握りそうだ。髙須は後がない早大2回戦で先発を任されると緩急を生かした淡々と抑える投球で7回を投げ被安打3無失点の快投を披露。松本は今季リーグ戦デビューを果たすと早大3回戦で先発に抜てきされ、粘り強い投球で3回無失点と役割を全うした。球速以上に速く感じられる力強い直球に落差のあるチェンジアップを持ち合わせ、防御率もここまで2.25。内角を攻め切れる堂々の投球も魅力だ。現段階ではショートイニングの登板となっているがここからは長いイニング投げることも想定され、今季のブレイクに期待が湧く。その他3年生投手の台頭も目覚ましいがやはり優勝には4年生投手の力は欠かせず、浅利太門投手(商4=興国)、藤江星河投手(政経4=大阪桐蔭)らの復調を願いたい。

 立大との〝紫合戦〟における過去3年間の対戦成績を振り返ると12勝1分と黒星は一度もない。また立大は慶大と4回戦にまでもつれ込む激闘直後であり疲労の観点からも明大優勢と言えよう。立大との試合を確実に勝ち切り、弾みをつけた状態で天王山となる慶大戦、法大戦へと臨みたい。

[伊原遼太朗]