(116)大学野球引退インタビュー 村田賢一投手

2023.11.15

(この取材は10月28日に行われました)


村田賢一投手(商4=春日部共栄)

――ドラフト会議お疲れ様でした。 率直な感想はいかがですか。

 「一番は安心しました。 選ばれるとは信じていましたけど、呼ばれるまでわからないのでね」


――福岡ソフトバンクホークスの印象はいかがですか。

 「競争はやっぱり激しいと思います。4軍までありますし、投手も先発中継ぎともにそろっていると思います。(先発をやりたい気持ちは強いですか)やりたいはやりたいですけど、宮田さんからは、 摂津選手みたいな感じで、最初はリリーフからスタートして、投げられるようになってきたら、いいんじゃないかっていう風なことを言われたので、そういう感じなのかなとは思っています。投げられるだけでうれしいので、いずれはやっぱり先発やりたいなっていう感じです」


――同期には、六大学で敵だった廣瀬選手(慶大)がいます。

 「ジャパンでも一緒にやってましたし、ドラフト終わって携帯見たら、岩井(名城大)と廣瀬で、同期会っていうグループができていたので『よろしくね』みたいなあいさつはしたから心強いです。ただ、明治の先輩がいないっていうのはありますね」


――ドラフトの前は不安な気持ちが一番大きかったですか。

 「前日は寝れたんですけど、やっぱり始まってからの方がフラッシュも強いし、カメラの数もすごいし、当日の方がどきどきしちゃいましたね。前日はちゃんと22時に寝ました」


――プロに入ったら、どういうところでまずアピールしていきたいですか。

 「やっぱりコントロールでアピールしていきたいなと思うので。そこが最初かなとは思うんですけど。コントロールを崩さず、スピードを出していくことで、より抑えられる確率も高くなると思うんで、頑張っていきたいです(村田投手のようなタイプはプロではあまりいない)スピードないからプロに行けないっていうけど、スピードない人の方が、結構勝ってるんじゃないかと思っちゃうから、伊藤将司選手とか、西勇輝選手もそうだし、村上頌樹選手(共に阪神タイガース)もそうじゃん。ライアン小川選手(泰弘・東京ヤクルトスワローズ)だって、そんな速い訳ではない。和田毅選手(福岡ソフトバンクホークス)もいて、加藤貴之選手(日本ハムファイターズ)もいて、そんだけいるから、別にいいんじゃないかなって思っちゃうけど。とりあえず、やれることをやるだけです」


――今季は振り返っていかがですか。

 「もう完全に調整不足というか、8月から肩痛めて(調整が)足りてないし、その中で投げなきゃいけなかったっていうところで、前半戦はある程度まとめてた感じはあるけど、慶應になってから打たれ出したし、何が足りないのかも自分で分かったから、最終戦では最低限はできたから、それは良かったんじゃないかなって思います。本当は法政の感じが、1戦目東大からやってなきゃいけない。調整不足っていうのが一番大きかったです。焦りもありましたし、良くなかったですね」


――気付けた課題はどういうところですか。

 「やっぱり真っ直ぐじゃないですかね、どう考えても。コントロールピッチャーとは言っても、ある程度の真っ直ぐはないとダメだなっていうので。前半戦から慶應戦にかけては全然球が行ってなかったし、分かっていたことだから、何とかしなきゃいけないなっていうようなところで、後半戦は修正していった感じです(法政戦では振り切って直球で押していく感じに見えた)ああいうことじゃないですか。やっぱり真っ直ぐがある程度あるから、変化球も効いてくると思います」


――明大での4年間も振り返っていかがでした。

 「いい大学生活だったなと思います。約半分、優勝できているわけだし。1回は全国優勝させてもらって、1回は準優勝だったけど、そこまで行けて。全日本選手権にも、2回行けて幸せだったんじゃないですか。楽しかったですね(入学してきた時は)正直1回優勝できるかどうかだったかなっていう感じで、こんなできるとは思っていなかったですね」


――4年間で一番印象的な試合を教えてください。

「全国優勝した試合は印象的だったなって感じです。それはやっぱり、あんだけ最後まで長く投げれるなんて思わなかったし。初めて日本一だし。そういう感じだね」


――エースとしての1年間は、振り返っていかがでしたか。

 「勝ち点は9合計で取れて充実した1年間だったなってのは思いますね。 秋も、慶應戦だけだったから、そこだけだったなっていう悔しさはありますけど、結果的に俺が勝った時に全部勝ち点取れていて、良かったんじゃないかなと思います」


――この4年間で、一番刺激をもらった人は誰でしょうか。

 「今でも、やっぱり竹田さん(祐選手・令4政経卒・現三菱重工West)じゃないですかね。今回も正直ちょっと残念でしたけど。でも、あの人からいっぱい教えてもらったので、そのおかげで僕はプロに行けてると思うんで、あの人のおかげだなと思っています」


――最後の1年間は蒔田稔投手(商4=九州学院)と石原勇輝投手(商4=広陵)と3人組で取り上げられることも多かったと思います。

 「そうですね、でも一人一人タイプが違うっていうのを理解してたので、そこは自覚に任せる部分だと思うんで、それが強かったんじゃないかなと思います。(自分のやるべきことがそれぞれ分かっていた)役割で、石原も(先発リリーフ)どっちもやってたし、蒔田もどっちもやったし、自分もたまにリリーフやってたし、 その役割っていうところが、全うできたんじゃないかなと思います。(2人に対してはどんなことを思っていますか)蒔田は一緒にやってきて良いピッチャーっていうのはわかっていて、2年後来てくれると思うし、石原も含めて、2人がいたから楽しかったと思うので、本当に2人がいなかったら、もうちょっと楽しくない大学野球生活だったんじゃないかなって思うと、居てくれてよかったと思います。(楽しくないというのは)結果的な面もそうだし、練習の時とかも、2人と楽しくやってきたんでね」


――明大に入ってきた時は、もちろんプロ野球選手になるという目標で入ってきたと思いますが、それをかなえることができたのは自分の中では何が大きかったですか。

 「よく言われることだと思うけど、いかに自分が足りてないことに気付くかっていうところは、必要だなって思いましたし、確実にそこに気付けたんじゃないかなと思います。これから先、まだまだ足りないことが多いので、もう1回、何回か考えの変化とかが必要なのかなとは思いますけど、4年間でそれが1回も2回もできたのはよかったなと思います」


――残りの学生生活でしたいことはありますか。

 「相変わらずやるべきことを考えると思うし。ただ、やっぱり福岡行っちゃうんで、あいさつとかしっかりやっとかなきゃなっていうのは思います。あとはゴルフです。当然あっち(福岡)でもやりますけど」


――来年度の明大はどんなチームになりそうですか。

 「今年よりは間違いなく、守備のチームになるかなと思います。やっぱり希由翔(上田主将・国際4=愛産大三河)が抜けたのもでかいし。堀内(祐我内野手・文4=愛工大名電)が抜けたのも多分でかいと思うし。さらに、これだけ下級生が出てきたから対策もされると思うしね。なかなかきついんじゃないかなと思いますけど、そこは打ち破ってきてほしいなと思います(期待している選手は)岡田(啓吾内野手・商1=前橋育英)。顔が良い。それはそうなんだけど、実力も本当にあると思っています」


――4年間終わって一番感謝を伝えたい人は。

 「やっぱ親じゃないですかね。両親ともに。やっぱり親父はずっと野球を教えてくれましたし、 母親はいろんな面でサポートいただいたんで、感謝しています」


――あだ名のナセルの意味を教えてください。

 「俺も本当によくわからないんですよね。(ではフェンは)簡単な話よ。蒔田から変人って言われてて、賢一と変人の間を取ってフェン。(それは部内で浸透してるんですか)いや、してないよ。ジャパンでは流行ってたけど、ここでは蒔田しか言ってない」


――最後になりますが、ファンの方にメッセージをお願いします。

 「ここまで応援していただいて、本当にありがとうございました。ここから先は、福岡女子が、ファン層ということで(笑)。冗談ですけど、まだ関東圏でしか広まってないと思うので、九州の人にまず知ってもらえるように頑張ります」


――ありがとうございました。


 [中村謙吾]