
(93)ドラフト指名特別企画 言葉と写真で振り返る村田賢一4年間の軌跡

10月26日、ドラフト会議にて福岡ソフトバンクホークスから4巡目指名を受けた村田賢一投手(商4=春日部共栄)。その大学野球生活を、弊部記者が4年間取材したコメントをもとに振り返る。
憧れの明大で野球をする喜び
「本当に小さい頃からのあこがれだった」
高校入学時から口にしていた明大入学の夢を叶えた。高校代表対大学代表で見た柳裕也投手があこがれだった。
「自分のレベルで抑えられないバッターがごろごろいる」
1年次の秋季リーグ戦でいきなりデビュー。手応えを感じると共にレベルの高さを実感した。
「本格派だと自分を思ってたけど、新しいスタイルを確立したい」
1年次の考え方の変化が今のスタイルに結びついた。
ケガを乗り越え、新たな自分へ
「この期間がなければ今の自分はない」
学年が上がる頃に肘を手術。
2年春はリハビリ期間となったが、今の村田を作る原点となる時間だった。
「竹田さんとの出会いが自分を変えた」
明大のエースたる姿勢を竹田祐選手(令4政経卒・現三菱重工West)から全て教わった。
野球と本気で向き合う時間が増えたとこの時期を振り返る。
「投手が粘りきれなかったから勝ちきれないシーズンだった」
慶大2回戦では3回無失点の好投していたが、9回2死から同点の本塁打を浴び、1球の大切さを思い知るシーズンになった。
芽生えた自覚 開花の年
「3年生が中心にならないといけない」
春季リーグ開幕前に話した覚悟。春から先発でフル回転することを開幕前から想像できた人は少なかっただろう。
「この春のテーマは脱力なんですよ」
負けられない慶大2回戦で、7回無失点の好投。先発4試合目にしてやっと力が抜けましたと語っていた。
「最初から最後までいくつもりで投げてました」
勝ち点を取った方が優勝の立大カード。1戦目を引き分けで迎えた2戦目に先発し、142球で初完投。試合を通して無四球とらしさ全開で、優勝を大きく近づけた。
「ベストナインはなんで蒔田なんだっていうのは正直ね(笑)」
リーグ戦終了後の蒔田村田対談の際の会話。これに対して蒔田稔投手(商4=九州学院)は「顔がやっぱり」と返答。
このコメント後「蒔田がMVPだと思います」と照れながら話した。
「マダックスは常に目指しているものです」
秋季リーグ戦早大1回戦でリーグ戦初完封。100球以内でマダックス達成となった。
「日本一になることはチームの目標であり、六大学代表としての責務でもある」
リーグ戦連覇を果たし、神宮大会に挑む意気込みにて。
「最初から一人一人相手をしていたら気づけば9回でした」
神宮大会決勝・国学院戦で完封勝利。神宮大会では18イニングを投げ、1失点のみとまさにMVPの活躍だった。日本一を達成し〝村松世代〟の最後を有終の美で飾った。
〝11〟と向き合い続けた1年間
「秋が終わった時からこの春の開幕投手は一つの目標でした」
4年春はエースナンバーの11をつけ、開幕投手。
チーム内での競争をオープン戦の結果で勝ち抜いた。
「これで六大学の名球会入りはできましたかね(笑)」
法大2回戦は通算10勝目。完封で花を添えた。
「研究すればするほど打てないピッチャーを目指しているので」
4年春はキャリアハイの成績。1年間投げ続けて研究はされている中でもそれをずらすだけ、という発言ができるのは村田だけだろう。
「大学からプロに行きたいです。だからこの春はとにかく結果にこだわりました」
春のリーグ戦終了後の取材にて。強いプロへの思いを語ってくれた。
「ここで負けてよかったと思えるようにしたいですし、しないといけないです」
全日本大学選手権決勝・青学大戦で約1年ぶりに敗戦投手。全国大会決勝では東都対村田の構図が2季連続になったが、やり返される結果に終わり、リベンジを誓った。
「あの試合を見た時からいつか大学代表になりたいと思っていました。率直にうれしいです」
明大入学を憧れるきっかけでもあった大学日本代表。
候補合宿でもアピールを続け、見事にその座をつかみ取った。
「2回同じ相手に負けるわけにもいかないですし、東都に負けるわけにもいかない。まずそのためにリーグ戦勝ちます」
秋季リーグ前の意気込みにて。日本一に向けて自身もチームも燃えていた。
「もうこれでやり残したことはなしに近いよ。あとは優勝するだけだね」
立大1回戦での大学初本塁打を振り返って。入学時から思い描いていたものはほとんど叶えてきた。
「正直感覚は良くないです。投げたいように投げられていない。痛い中で投げてしまって、感覚の違いがあるのかなと」
ラストシーズンでの投球は全くうまくいかず。そんな中でも試行錯誤を毎週繰り返す村田の姿を見てきた。
「本当に呼ばれるのかなって思っていました。呼ばれた瞬間ほっとしたのが一番大きかったです」
10月26日、運命のドラフト会議にて福岡ソフトバンクホークスから4位指名を受けた。自分だけのスタイルを見つけ、それに向き合い続けた4年間。今度はプロの世界でオンリーワンの投球を披露する。
[中村謙吾]
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