
(64)東大戦事前インタビュー① 梅林浩大主将、別府洸太朗外野手

(この取材は8月25日に行われました)
梅林浩大主将
――昨季を振り返っていかがですか。
「チームとしては、松岡(由機投手)や鈴木健(投手)のピッチャーを中心に、守備の面では明治大学さんとも互角に渡り合えました。強打者ばかりなんですけど、何とか自分たちにできる限りのことは尽くして抑えることができて、リーグ戦全体としてそれができたので、それは収穫だったと思います。一方で打線の得点力がなかなかなくて、せっかく守備でいい結果が残せても、そこから打って勝つことはできなかったので、それは課題です」
――立大戦では引き分けもありました。そちらのカードは振り返っていかがですか。
「立教戦も点数はそれなりに取られてしまったんですけれど、3年の山口(真之介内野手)が最後に土壇場で満塁ホームランを打ってくれて、引き分けに持ち込めました。それも結局、満塁というチャンスをみんなで粘ってつくれて、そのチャンスを1人がモノにすることができたので。自分たちは力量で言ったら他大学には劣ってしまう部分はあると思うんですけど、そこを個人個人が少しずつつないでいってチャンスをつくって、何とか点数を取っていくことがその試合でもできたので、勝てなかったので100%ではないんですけど、自分たちのやりたいこと、やってきたことがある程度出せた試合かなと思っているので。秋勝つとしたら、また少しずつつないでいってチャンスをつくって点数を取って、守備も乗り切って勝つというやり方なのかなと思っているので、ああいう形でできるように頑張ります」
――個人としては苦しいシーズンだったと思いますが、スタメンを外れた後からはどのような気持ちで試合を見ていましたか。
「結果も出せなかったので、しょうがないという思いはあって。試合に出ているとどうしても自分が活躍しないとチームの戦力になれないという思いと、キャプテンとしてチーム全体を見て引っ張っていかなければいけないところが、個人で頑張らなきゃいけないところとチームで頑張らなきゃいけないところを両立させるのが、結構いっぱいいっぱいになってしまっていた部分があるので。外れたことで個人のところは割り切って、チームにもう一回全力を注ぐという風に切り替えることができたので、その部分は良かったと思います」
――主将として初めてのシーズンを終えて、昨年までと異なる点はどのようなところに大きく感じましたか。
「去年は松岡さん(泰希選手)っていうキャプテンがいて、彼がチームを厳しくまとめ上げて、松岡さんを中心に結構個性の強めの4年生が多くいチームだったんですけど、今年はどちらかというと、とても個性が強いなっていう人はいなくて。チームとしてのまとまりは良いのかもしれないんですけど、逆に強い人がいないぶん、厳しさとかは頑張らないと生まれなくて。ちょっと気を抜いていると仲良しこよしみたいになっちゃうところがあるので。そこはキャプテンとしては気を付けなきゃいけないなと思ってやっています」
――主将として半年以上が経ち、大変だなと感じる部分はどこにありますか。
「東大の場合は全員が勝てるというところを心から信じられるように導いていくのが難しいなとは思っています。どうしても負けがちになってくるので、その中でもモチベーションを高くやって、本当に勝つってなったら本当に全員が勝つって信じて練習しないと、その結果は出ないと思うんですけど。負けが込んでしまうとどうしても勝つっていうことに対する信念というか、そういう強さが弱まってきてしまうので、そこをいかに全員にもう一回勝つとか、勝ちたいっていう思いを芽生えさせるか、維持させるか、強く持たせるかっていうところは、僕の一言とか言動とか、そういったところに懸かってくるのかなと思っているので、頑張ってはいるんですけど、やはり難しい部分であると思います」
――勝利のために、得点力の他に何か不足しているなと感じるところはございますか。
「ちょっと抽象的な話になっちゃうんですけど。自分たちは勝てるんだという信念、そこへの思いとか、勝たなきゃいけないという思いがまだ足りていないのかなとは思っていて。なかなか勝たずに芽生えさせるのは難しい部分ではあると思うんですけど、でも自分たちが秋勝つことができれば、下の学年にそういうところを残すことができて、もっともっと強いチームになっていくと思うので、まずは自分たちが勝ちたい。自分たちが勝つためにも、もっとそこの強い思いみたいなところは持っていかなきゃいけないとは思っています」
――今季の投打のキーマンはどなたですか。
「投手は3年生の平田(康二郎投手)かなと思っています。春のリーグ戦が終わってから彼自身も特に意識を高く持って練習をやってきて、最近その結果も出始めていています。秋は松岡や鈴木健が試合をつくって、最後の緊迫した場面で投げて試合を締めくくるようなピッチングをしてくれるんじゃないかなと。バッティングの方は4年のセンター・別府(洸太朗外野手)で。ずっと出ているんですけど、彼自身も春結構苦しんで、その思いを持って春終わってからとても練習していて、その結果ももう最近出始めていて彼自身も結構つかんでいるところがあるみたいですし、やはり最後のシーズンで懸ける思いもあると思うので。もともとチャンスに強いバッターなんですけど、もっともっと強くなって、どんどん得点を取っていって、勝利を呼び込んでくれるんじゃないかなと思っています」
――春の注目選手では酒井捷外野手を挙げられていました。活躍はどのように見ていますか。
「いや、すごいですね。去年の阿久津さん(怜生選手)とかも見ていて、フレッシュですごい活躍して、リーグ戦始まる前のオープン戦とかもとても打っていて期待されてリーグ戦出たんですけど、阿久津さんは最初苦しんで活躍することできなかったので、難しいんだろうなと思っていたんですけど、それを軽々と超えていったというか。しっかり期待通り、期待以上の活躍してくれたので、純粋にすごいなと、秋も頑張ってほしいなと思います」
――今秋も開幕カードが明大戦ですが、警戒する明大の選手はいらっしゃいますか。
「村田くん(賢一投手・商4=春日部共栄)はやはり、東大にもそうですけど、他大学相手にもばちばちに抑えて、東大ももう何年も前からずっと攻略できていないですし、明大から勝ち点を取る、勝つとなったら絶対に攻略しなきゃいけないピッチャーだと思ったので。もう最後なので、少しでも仕返しできるように頑張りたいと思います」
――秋はラストシーズンになりますが、ここまでの3年半を振り返っていかがですか。
「東京六大学が何もわからない状態で入ってきて、やはりとてもロマンがあふれる舞台だなと思いました。入るまでは東大にどれぐらい影響力があるかとか、六大学でどういうポジションにいるかとか、あまり分からなかったんですけど。実際に来てなかなか勝てないんですけど、その分価値を持ってるというか、勝った時にそれだけとても注目してもらえるので、それだけ注目のある舞台に立たせてもらえているのがすごく価値があることだなと思っています。でもその価値発揮するには勝つしかないと思っているので、最後にもっともっと勝って、自分の感じたロマンをもっと広げられるように頑張りたいなと思っています」
――東大に入って良かったと感じることを教えてください。
「野球もそうですけれど、野球以外でもすごく世界が広がりました。さまざまな人と触れ合えるのは明治大学とかでも一緒だと思うんですけど、それがすごく良かったなと思っていて。野球だったら六大学に入って、プロ野球選手になるような人と喋る機会もありますし、一緒に試合することで刺激をもらえますし、野球以外でもやはり東大は一歩外に出てみれば、めちゃくちゃ頭いい人もいますし、例えばもう起業とかしていてビジネスを頑張っている人もいるし、そういうさまざまな世界の一流の人と交流できる場所に来て、すごく自分の見える世界が広がったので良かったです」
――今秋の目標を教えてください。
「秋の目標は、チームとしては勝ち点を取って最下位を脱出することです。それは達成できなかったので、変わらず、絶対に。個人としては、出た時は多分勝敗の懸かっている重要な場面で出ていくことになるんじゃないかなと思っているので。守備はある程度自分の自信があるところでもあるので、緊迫した場面でアウトをしっかり取って勝利を呼び込みたいですし、打席が回ってきたらそれもすごく緊迫した場面だと思うので、何とかそこで東大に勝利呼び込めるような活躍ができるように頑張りたいなと思っています」
――秋に向けての意気込みをお願いします。
「やはり最下位脱出が僕らの最終目標なので、チームとして絶対にそこを達成できるようにキャプテンとしてチームに影響力を与えていくのが自分の役割だと思っています。最後のシーズンでこのチームに何か、さらに下の学年にいい文化を残してもっともっと土台が強くなっていけるような何かを残していけるように、秋のシーズン、最後頑張れたらいいなと思います」
――ありがとうございました。
別府洸太朗外野手
――昨季を振り返っていかがですか。
「春は個人的には結構苦しいシーズンでした。上位を打っているので結構チャンスもあるんですけど打てずに、ピッチャーは抑えてくれているんですけど打てなかったので、春はそこが課題かなと思います。チームとしては、例年に比べて大差で負ける試合もほとんどなくて、いい試合運びができたなと思っています」
――明大との開幕戦は延長までもつれましたが、振り返っていかがですか。
「みんなで勝ちにいく雰囲気があって良くて、最後まで結構明治を苦しめたんですけど、逆に勝ち切れなかった悔しさの方が大きいかもしれないです」
――立大戦では引き分けもありましたが、立大とのカードは振り返っていかがですか。
「あの試合に関しては、本当に山口がよく打ってくれたに尽きるんですけど。本当はもう少し点差が少ない状態で付いて行って、後半勝負っていう試合ができると、秋は勝ち切れるのかなと思います」
――酒井捷外野手や青貝尚柾内野手など、下級生の活躍が目立ちました。最上級生から見ていて、その活躍はいかがですか。
「2年生が出て活躍しているのはあまり多くなくて、ものすごく心強いなと思いますね。春始まるまでは上級生が引っ張らなきゃなと思っていたんですけど、下級生がいい流れをつくってくれるので、秋はそれに自分らが乗っていけるようにしたいなと思います」
――シーズンを通してベンチが盛り上がっている印象を受けました。
「特に今年のチームは雰囲気が明るいというか、チーム全体がまとまっている感じがするので、その点は秋も元気よくいけるのかなと思っています」
――個人として春の成績の満足度はどのくらいですか。
「もう本当に最悪です(笑)。もうちょっと打てるかなと思ってました。結構野球を楽しく今までやってきたんですけど、最終学年になって打たなきゃって思ったのもあるし、打てない時にちょっと野球を楽しめなくなっちゃったので。秋は成績によらずに、目の前の一球一球を楽しめるようにしたいなっていうのが一番の反省ですね。ちょっと落ち込みすぎました。今はもう、そんなに引きずらないタイプではあるので。秋は、もう思いっ切り楽しみたいなと思いますね」
――個人として良かった点はどこですか。
「頑張ったのは守備かなと思っていて、打てない中でも守備では結構役に立てる場面は、特にセンターは多いかなと思うので。打てなくても守備を頑張れたところが良かったところかなと思います」
――個人として一番印象に残っているプレーはございますか。
「法政の尾﨑くん(完太投手)から全く手が出ずに三振したのは、ものすごく自分の課題を感じた、春の一番悔しかったシーンかなと思います。あと明治の勝てそうな試合で菅原くん(謙伸捕手・政経4=花咲徳栄)に打たれたんですけど右中間に。それがぎりぎり届かなかったのはたまにスローで思い出しますね。あれ取れたらでかかったなと思います」
――今秋も開幕カードが明大ですが、警戒する明大の選手はいらっしゃいますか。
「キャプテンの上田くん(希由翔主将・国際4=愛産大三河)ですかね。全日本を見ていて、仙台大学の時にインコースをバンって回ってライトにホームラン打ったんですけど、あれ見た時にちょっと、どうやって抑えるんだろうと思って衝撃を受けました(笑)」
――この夏はチームとしてどのようなことに取り組まれていますか。
「接戦が多いので、今年は。そこで勝ち切れるチームになろうということで。終盤の強さだったり、チャンスで1本出せるように意識しています」
――個人としてはどのようなことを集中的に取り組まれていますか。
「一番は調子の波がなくなればいいんですけど、どうしてもバッティングは調子の波が出るので、調子が悪い時でもチームの役に立てればという、ゴロを出したりとか、犠牲フライを打ったりとか、そういう役に立てるごまかしみたいなものの引き出しができたらいいなと思って練習しています」
――秋はラストシーズンになりますが、これまでの3年半を振り返っていかがですか。
「結構一瞬でしたね。2浪した時の方が長く感じるぐらい(笑)。一瞬でした。楽しかった、楽しかったです」
――一番楽しかった思い出は何ですか。
「やはり連敗止めた時かもしれないです。結局連敗止めた時が一番うれしかったので。もう今では普通の1勝だとそれを超えられないと思うので、秋は最下位脱出して、それを超えたいと思います」
――今秋の目標を教えてください。
「チームはやはり最下位脱出。去年から掲げてきて達成できていないので、最下位脱出を目標にして、個人はやはり成績を気にすると打てないタイプだなと思ったので、もう野球を楽しみ尽くすのを目標に、気楽にやりたいなと思います」
――意気込みをお願いします。
「1プレー1プレー、全力で集中します」
――ありがとうございました。
[西村美夕]
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