
(63)秋季リーグ戦開幕前インタビュー 田中武宏監督

(この取材は8月16日に行われました)
田中武宏監督
――実際にチーム上田が始動してからの半年を振り返っていかがですか。
「結果としても、最低限の目標である天皇杯の死守は果たせたんで。でも、チームの目標としてある日本一が届かなかったっていうのが、やっぱり力の差だったのかなと思います」
――全日本大学選手権が終わってから、現在まではどのような取り組みをされてきましたか。
「終わってからは、長期オフも挟んで、7月はもう定期試験なので、そこはもう全員野球よりもまず試験なので、そこは単位取得に向けて練習は意識的に落としました。終わってから、8月からはもうキャンプ、サマーリーグ、府中の残りと分かれてやってきて、今は全員集まってもう毎日試合という当初の予定通りです」
――キャンプではどのような練習をされてきましたか。
「春と違って雨がほとんどなかったので、一時的にスコールみたいなのがあったくらいで、全然なかったので、ほぼほぼフルメニューでやれました」
――続いて戦力についてお伺いします。まず投手陣からで3年次からフル回転してきた村田賢一投手(商4=春日部共栄)と蒔田稔投手(商4=九州学院)は改めてどういった存在ですか。
「村田と蒔田に関しては日米行って、これはどこのチームも一緒なんですけど、日本代表で行くと投手が大体調子を崩して帰ってくるんで。国内でやっているのと、向こうに行くので、また食生活も変わって、やっぱり食事が全然合わなかったとかもあるので『なんで春と同じようにできないんだ』と言うのは酷なので。もう秋はあの2人駄目でもいいやって感じで思っていました」
――村田投手、蒔田投手がいなくても投手陣が回る自信はありましたか。
「久野(悠斗投手・商2=報徳学園)がいて石原(勇輝投手・商4=広陵)も。あと菱川(一輝投手・文2=花巻東)とか毛利(海大投手・情コミ2=福岡大大濠)とか大川(慈英投手・国際2=常総学院)とかどんどん出てくるんでね」
――面白い投手がたくさんいると思うのですが、その中でも田中監督から見て、特に注目している選手はいますか。
「最初に出てくるのは久野だね。シーズン通してやっぱり投げてもらいたいし、藤江(星河投手・政経3=大阪桐蔭)も先発したいっていう気持ちは強いですし、あとは浅利(太門投手・商3=興国)。この辺の3年生、2年生が4年生の負担を軽くしてもらいたいなって思っています」
――続いて野手陣の話に移ります。まず主砲でキャプテンの上田希由翔主将(国際4=愛産大三河)は打者としてはどういった印象ですか。
「あらゆる場面で全対応できる選手なんで、自分の我を捨ててチームのためにっていうのが春わかったので、それをさらに続けていってほしいなと思っています。(チーム打撃というのはベンチから見ていても)強引にいかないですよね。ライバルと言われてる廣瀬くん(慶大)があんだけホームランを打っているにも関わらず、それに触発されることなく、勝ちにつながる打撃を貫いている。彼の場合は打点ですから、そこを重要視してくれてるんだなっていうのがわかります」
――春の試合では1から4番が固定されてから、打撃陣の状態が上向いたなという風に感じていますが、上位打線についてはいかがですか。
「本当はね、走力が堀内(祐我内野手・文4=愛工大名電)よりもある選手を1番に当てたかったんですけども、出塁率という点で言ったら、堀内の方が上がってきたので、これはね上田のアドバイスというのもありました」
――2番の飯森太慈外野手(政経3=佼成学園)は首位打者を獲得しました。
「俺は全然当てにしてないです。春は春の成績なので。(やはり一番の魅力は足)それがもう塁にいること自体が走らなくても、嫌がられるっていうのが彼の存在であって欲しいので、無理やり行かないでいいからなっていうのは言っているんです」
――宗山塁内野手(商3=広陵)の昨季の成績はどのように映りましたか。
「12試合で15本打っているので、それ以上打ってとかは思わないです。あいつはもう守りだけちゃんと。怒ったのは守りの1回だけなので。打たないからは一切言ってない。 お前は守りの人なんだから守るところはしっかりやりなさいと一度言いましたね」
――5番打者が、少し苦しんだ印象でした。
「春はもう加藤(巧也内野手・商3=大阪桐蔭)が、今もオープン戦では成績いいんですけどね。すごいホームラン打ったりとかしていて、ここでよくてもね、神宮で駄目だったらね。本人にも言ってるので『また騙されそうになってるよ』って」
――今のチームの長所は何だとお考えですか。
「相手に合わせる対応能力は非常に高いなと。どの大学が来ても、それに適応できる。法政戦では守りで勝てたと思ったら、早稲田さんの投手陣にはもう束になってかかる。そういう相手に合わせた対応能力っていうのは大したもんだなと。(投打が非常にかみ合うチーム)誰であっても気を抜いたらもう居場所がなくなるんで。人と同じことやっていても、みんなが4番バッターじゃないし、みんながエースピッチャーじゃないし、25人に入りたいんだったら、自分の居場所をちゃんと見つけろっていうのをね、今の時期から言い続けています」
――少しニュアンスが違うのですが、田中監督にとって六大学野球はどういった場所ですか。
「これはもう誰もが認める学生野球界のトップのところですから。注目も実績も違うので。そこに出るためにはふさわしい人間しかユニフォームを着れない。他のリーグ以上にイメージだけじゃなくて、他の大学も含めて、そうあるべきだと思っています。学生野球の模範にならないといけないので、そのために立ち振る舞いとか、言動とか、ベンチでの過ごし方とか。球場の入退場とか。寮で常に彼らに言っているのは、ユニフォームを着てる連中だけじゃないからって。スタンドで見ているのも神宮行き帰りする間でも、野球部のブレザーとかポロシャツを着て行動するので、常に見られている意識を持ちなさいと」
――春季リーグ戦を終えて、特に警戒したい大学はございますか。
「いや、それはもう全部ですよ。もうありがたいことに打倒明治、打倒明治って皆さん言ってくれるので。うちから勝ち点を取ったら1じゃなくて、2か3になるのかなっていうくらい言われるので、もう皆さん同じ勝ち点1ですよって言っています」
――秋季リーグ戦ではチーム上田としても前回王者として臨むシーズンになります。
「天皇杯、9月9日の開会式の時、一時的にお返しするけども、その8週間後にはもう一度こちらの手元に持ってくるようにやろうと、チームでは話しています」
――秋季リーグ戦に向けての意気込みをお願いします。
「もう天皇杯の死守だけです。それしかないです」
――ありがとうございました。
[中村謙吾]
関連記事
RELATED ENTRIES