(3)フィギュアスケートバー「おむすびアクセル」の見どころに迫る

 5月13日、東京・四谷4丁目にグランドオープンしたFigure Skating Bar おむすびアクセル。お店にマスターとして立つのは、明大スケート部フィギュア部門OBの鎌田英嗣さん(令2営卒)。フィギュアスケートバーを始めた経緯やおむすびアクセルならではの特徴を取材しました。

 フィギュアスケートを感じられる要素がたくさんある空間に、競技を18年続けた鎌田さんがマスターとしてお店に立つ。訪ねてみれば、フィギュアスケートの話に花が咲くに違いない。

 

 入口付近の青い壁には、明大フィギュア部門のOBOGやフィギュアスケーターらのサインが書かれている。青色は試合会場の青い幕を、白に模様のある床はリンクを、結晶の形をした天井のライトは氷をイメージ。内装は鎌田さんのアイデアを取り入れている。席はカウンターとテーブルがあり、それぞれの位置から映像モニターが見える。奥にはキスアンドクライを作り、写真に収めることもできるようにしている。

 

 ドリンクのラインナップも注目の一つ。メニューには『四回転サルコウ』、『トリプルアクセル』の文字がある。名を聞くだけでもさまざまな思いを巡らすことができるのではないだろうか。技の名前が入った『kurukuruシリーズ』は日本酒で、現在は5種類の品ぞろえ。他にも、プロフィギュアスケーターや選手の名前が入ったスペシャルドリンクなどの提供もあり、メニューを眺めるだけでも心弾む。『おまかせカクテル』は、鎌田さんがその日に着ている衣装の色をイメージしてつくられることもあるのだとか。過去に着用していた衣装は壁にもかかっており、まだ並べていない衣装は今後出していく予定とのこと。「お客さんに喜んでもらいたい。あったら喜んでもらえるかなと思って」。鎌田さんが競技生活で使用したものを近くで目にすることができるのも、このバーの見どころだ。

 

(写真:鎌田さんが選手をしていた頃に着用していた実際の衣装)

(写真:ポーズを決める鎌田さん)

 お客様を含め「お店に関わってくれた人たちみんな」に喜んでもらうことを考える鎌田さん。フィギュアスケートと関わりのある方を一日店長としてお店に呼んでいる。「お客さんに喜んでもらうのも一つですが、一日店長をやってもらう人にも喜んでもらって、このお店に来てくれた人たち、関わってくれた人たちみんなでいいお店をつくり上げることを目指しています」。鎌田さんと親交のある人をはじめとして、これまでに元フィギュアスケート選手などが一日店長を務めた。「スケート界の発展を願っている人、まだスケートに関わりを持ちたい人などを中心に、協力してもらえる人を探している状態」と、おむすびアクセルを盛り上げる顔ぶれにも注目だ。

 

 選手時代の衣装を身にまとい、お店に立つ鎌田さん。フィギュアスケートバーを始めたわけを尋ねると、一人の人と出会うところから構想が始まったと語ってくれた。

 

(写真:インタビューに応じる鎌田さん)

 おむすびアクセルは、株式会社むすびエンタテインメント代表取締役の河村渚さんが経営するお店の一つ。社員には「飲食と何か別の物を持っている人」(河村さん)が集まり、それぞれの持ち味をコンセプトとした飲食店を展開している。その中の一店舗でスポーツを持ち味とする人を一日店長として探していた頃、河村さんの知り合いの元フィギュアスケーターが鎌田さんを紹介。競技引退後、飲食の仕事に携わっていた鎌田さんは、河村さんが探していた人物像に合う存在だった。

 

 河村さんとの出会いを経て、一日店長としてお店に立った鎌田さん。そこから何度か一日店長を経験。そんな中で、河村さんからむすびエンタテインメントで働くことの話を持ち掛けられた。当時勤めていた飲食店の仕事以外のことにも挑戦したい思いがあった鎌田さんは「バーで働くことに自分も興味が湧き、僕の方からきちんと話をさせていただいてもいいでしょうか」と返事をした。河村さんと前向きに話を進めていく中で、バーと鎌田さんの持ち味であるフィギュアスケートを掛け合わせたお店を開くことが決まった。2023年3月から、むすびエンタテインメントの社員として歩み始めている。

 

 紹介を通じて2人が出会ったのは2022年8月のこと。出会いからスピード感を持っておむすびアクセルの出店が実現した。フィギュアスケートの楽しさを今も感じている鎌田さん。「後世にもフィギュアスケートという競技を楽しむ人が増えたらなと思っているので、もっとフィギュアスケートが注目される世の中を今後もつくっていきたい」。この先も思いを胸に、マスターとしてフィギュアスケートの楽しさを届けていく。

 

[守屋沙弥香]

 

おむすびアクセル ツイッターアカウント:@omusubi_AXL

鎌田英嗣さんへのインタビューはこちらから。