(25)前半戦をデータで振り返る 野手編/東京六大学春季リーグ戦

2023.05.11

 4月が終了し3カードを消化した明大。8試合6勝1敗1分で勝ち点3を獲得し、現在首位に座っている。今回は前半戦を終えた明大をここまでのデータを基に振り返り、快進撃を続ける要因と後半戦に向けてのキーポイントを分析していく。

【注】今回の記事内の成績とリーグ内順位は全て5月1日現在のものです。

 

軒並み好調の上位打線 後半戦のカギは5番打者に

 まずは上位打線から。前半戦で大きな収穫となったのが堀内祐我内野手(文4=愛工大名電)と飯森太慈外野手(政経3=佼成学園)の1、2番コンビだ。それぞれが持ち味を発揮し、チームの核弾頭となる役割を担っている。堀内は1打席目に対する集中力がピカイチで、1打席目打率が.714と驚異的な数値。トータルの出塁率も4割を超えており「1番打者は出塁率が最も重要」(田中武宏監督)という考えにもマッチしている。飯森は打力が向上し、ここまでリーグ10位の.323をマーク。走力は変わらず圧倒的で6盗塁はリーグトップだ。この2人により、好機で多く〝MU砲〟に回る好循環ができている。3番・宗山塁内野手(商3=広陵)は開幕当初不調で、心配の声もあったが徐々に復調。直近5試合で見ると.400(20―8)2打点とらしい数字に戻ってきた。4番の上田希由翔主将(国際4=愛産大三河)は相も変わらずさすがの成績を残している。打率もさることながら、すべてが高水準で※OPSは1.135を記録。得点圏も8打数4安打とクラッチヒッターぶりも健在で、まさに頼れる主砲となっている。唯一上位打線で苦しいのは5番打者。ここまで打順別の成績で.125(24―3)4四死球と課題が残る。上田が当たっているだけに5番勝負は今後も避けられない。ここまで7犠打とつなぎの役割はできているだけに後半戦では好機で一本出せるかがカギを握る。

 

突出している小島の成績 投手の打撃にも注目

 続いて下位打線を見ていく。下位打線の中で注目したいのは小島大河捕手(政経2=東海大相模)の成績だ。慶大4回戦での勝ち越し本塁打が記憶に残っているが、データで見ても素晴らしいものがある。打率.250はそこまでの成績には見えない。しかし、選球眼を生かした出塁の多さ、そして勝負所での長打。この2点が際立って良い。四死球は安打数と同じく6個で出塁率.400。そして放った安打6本のうち3本が長打になっており、長打率も高水準。そうなると必然的にOPSも高くなり.858を記録している。これはチーム内では上田に次ぐ2位の数値。捕手というポジションでありながらこの成績を残せるのは特別な存在だと言えるだろう。投手の打撃が好調なのもチームにとって好影響だ。投手の打撃成績は.333(18―6)3打点。合格点以上の数値であることは確かで、今後も注目していきたい。

代打陣にも注目が集まる

 

忘れてはいけない 勝ちを奪える強力代打陣

 最後にこの前半戦を語る上では外せない代打陣の成績を見ていく。ここまでの代打成績は.333(12―4)3四死球2本塁打5打点。しっかりと控えメンバーも準備ができている裏付けになっている。中でも際立っているのは内海優太内野手(商1=広陵)と木本圭一内野手(政経2=桐蔭学園)だ。前半戦では右投手の切り札は内海。左投手には木本という起用法をされ、お互い采配に応えている。内海はここまで安打こそ1本だが、それが慶大2回戦での勝ち越し2点本塁打。今後の相手に脅威を与えるには十分だ。木本は3打数2安打で1本塁打。法大1回戦での一発はまさにチームの雰囲気を変えた。この2人に対する警戒は前半戦以上に強くなるのは間違いないが、後半戦も勝利をつかみ取るベンチワークからは目が離せない。

 

※OPSとは

OPSは長打率と出塁率が足された値で、選手がチームの得点にどれくらい貢献できているか、得点のきっかけをどれくらい作れているのかを数字で表す。.833を超えると非常に良い打者。.900を超える打者は素晴らしいとされている。走塁面が考慮されない点では注意が必要。

 

[中村謙吾]