(127)大学野球引退インタビュー 村松開人

2022.12.31

(この取材は11月2日、12月7日に行われました)

 

村松開人主将(情コミ4=静岡)

――明大での4年間はどのような4年間でしたか。

 「苦しかったです。やはりそれなりに自分にストレスをかけてやってきたので。特に主将になってからは、さまざまな取り組みをして、やり方も変えた中で、やはり見られているという立場を常に意識していないといけませんでした。自分が一番動いて、何をやるにも率先してやらないといけなくて、それはキャプテンになる前からそういう意識でやっていたので、その辺がしんどかったですね。でも、本当にすごく良い経験をさせてもらったと思います。それは間違いなく言えます。明治でしか経験できないことをたくさんさせてもらったので、そこはものすごく周りに感謝しないといけないなと思います。本当に明治で良かったなと思いますし、同期全員また先輩後輩にたくさん恵まれた大学生活でした」

 

――明大に入って良かったことを教えてください。

 「野球も人間的にも成長できたところです。野球の技術しかり、人間関係もそうですし、環境もそうですし。全てが普通ではないからこそ経験できるものがたくさんあると思います。何かもう本当に飛び抜けていますね。そうでなければ、六大学で、ましてや明治で野球なんて続けられないと思います」

 

――主将としての1年間は振り返っていかがですか。

 「正直、従来のやり方でやったらもっと楽だったと思います。でも、みんなでさまざまなことをやると決めてやってみて、いいものもできれば、もっとこうした方が良かったなということもあったので、そこは自分のキャリアの中でさらに生かせるところだと思います」

 

――主将として意識していたことは何ですか。

 「軸をぶらさないことです。自分が適当にやっていたらチームも適当になるので、軸をぶらさないようにやろうと思っていました。それに、吉平(石田・明大ラグビー部主将・文4=常翔学園)とかと対談した時に、吉平が『キャプテンはチームの鏡だ』みたいなことを言っていて、それを聞いた時に確かにそうだなと思って、より一層意識するようになりました」

 

――春季と違い、秋季はご自身がプレーしながら主将の役割をされていました。その点で違いはございましたか。 

 「だいぶ違いました。全部が違いました。これに関しては陸人(山田内野手・法4=桐光学園)に話したことがあります。自分が復帰して少し経ったくらいの、8月くらいですかね。本当にしんどかったんです。自分自身、ドラフトもあって、春出ていないから結果を出さないといけないじゃないですか。それで、チームのこともやらないといけないとなった時に、本当にしんどくて。やはり春は試合に出なくていいので余裕があったのですが、秋はもちろん余裕がないわけで。チームのことを見ながら自分のこともやらないといけない。それがすごくしんどかったです。それで、自分はあまりそういうことは言わないのですが、陸人に『俺もう本当にしんどいわ』って話しました。ミノ(蓑尾海斗捕手・文4=日南学園)にも言ったのですが『これもうしんどすぎてやばい』みたいなことを話したのは覚えています。それで、秋のリーグ戦前に、チームの雰囲気もいまいち微妙だったので、4年生を集めて『もう俺一人じゃどうしようもできないから、みんなの力を貸して』と頼みました。その時はさすがにキャプテンってきついなと思いました。何がということではないですが、精神的に。何が正解か最後の最後まで分からない状態で、決断するのも判断するのも全部自分ですし、そんな分からない中で決断を迫られてもどうしたらいいんだよ、という感じで本当に大変でした」

 

――その大変さがありながらも個人としての成績を落とさずプレーできたのはなぜですか。

 「自分の中で、俺ならできると思っていました。本当にしんどかったのですが、きついことがある中でも、これをやらないと駄目だと思っていましたし、そこで折れることはなかったです。むしろ頑張ってもっとやらないといけないと思うタイプの人間なので、苦しみとか、そういうものを力に変えて頑張っていました」

 

――そこまで自分を追い込み続けられた原動力は何ですか。

 「明確な目標があるからじゃないですかね。あとは自分、負けず嫌いなので。まあそれでストレスが溜まりすぎて顔が大きくなってしまったんですけど(笑)」

 

――副将の2人はどのような存在でしたか。

 「自分がワンピースのルフィだとしたら、ゾロとサンジですよね(笑)。自分には持っていないものを持っている2人だから、今年はそこでいいバランスが取れたと思います」

 

――今年度のチームの好きなところはどこですか。

 「子供みたいなことを本気でやっているところが好きです。馬鹿みたいにさまざまなことを真面目にやって、楽しくやって、というところが好きですね」

 

――4年間共に過ごした同期に向けてメッセージをお願いします。

 「この同期だからこそ、さまざまな価値観だったり、さまざまなところから物事を見られたりしたので、すごく感謝していますし、楽しかったです」

 

――来年度、明大はどのようなチームになると思いますか。

 「すごく優しい子が多いですが、自分のことだけやっていればいい、みたいな子も多いので、誰かに対して影響を与える選手がもっとほしいとは思っています。でもやる時はやると思います。野球の技術はそんなに心配していないので、その他のところをしっかりやってくれれば大丈夫かなと思います」

 

――来年度期待している選手を教えてください。

 「上田(希由翔内野手・国際3=愛産大三河)、堀内(祐我内野手・文3=愛工大名電)です。希由翔は唯一内野手で試合に出ているので。ある程度広い視野を持ってやってほしいですし、まだまだ人間的にも成長しないといけないと思っています。祐我ももっとやらないといけないです。でも2人ともすごく頑張っているので、結果は出ると思います。チームをまとめていく上であの2人がしっかりやらないと駄目だと思うので、その2人には期待しています」

 

――新主将の上田選手に向けて伝えたいことはございますか。

  「さまざまな出来事があるはずですが、乗り越えて行った先にいい景色があると思うので、いいイメージをつくって進んでいけば大丈夫かなと思います。自分はその不安やさまざまな出来事に打ち勝ってきたので、彼もやってくれるでしょう。というか、やってくれないと困ります(笑)」

 

――最後に明大のファンに向けてメッセージをお願いします。

 「まず4年間応援ありがとうございました。大学日本一という結果を皆さんにお見せできました。皆さんの応援があったからこその優勝だと思っています。引き続き明治大学野球部の応援をよろしくお願いします」

 

――ありがとうございました。

 

[西村美夕]

 

◆村松 開人(むらまつ・かいと)情コミ4、静岡高、171センチ・80キロ、右投げ左打ち、内野手

 退寮後は一人暮らしをしていた村松選手。取材時は引っ越し初日だったようで「テレビがつかない!」「電波時計なのに時間ずれてるんだけど!?」と電話越しに苦戦する声が……。試合中はクールだった主将の、末っ子らしい一面でした。