(78)久野悠斗 〝負けない投手〟となり明大のエースへ

今春の全日本選手権で緊急登板にも関わらず堂々とした投球を見せた久野悠斗投手(商1=報徳学園)。持ち前の力強い投球と大舞台でも動じない強さで〝負けない投手〟となり明大を勝利へと導くエースになれるか。
理想のエース像
エースの重責を誰よりも感じてきた。「甲子園に行きたい」。その思いから地元兵庫県の強豪・報徳学園に進学。実績を買われ2年の秋には背番号1をつけた。部員数が150人を超える大所帯でエースを務める中で「マウンドに立てるのが当たり前ではない」とプレッシャーを感じていた。しかし自分の中に「負けない投手になる」というエース像を掲げる久野。「いい流れは雰囲気から持ってこれる」。マウンドでは強い気持ちで戦い、チームの大黒柱となった。
悔しさをバネに
高校入学後プロを目指すように。しかし道のりは甘くなかった。2年次秋の県大会。先発した久野は2被弾を含む3失点を喫し敗戦。試合を終え「まだ自分にプロは無理」。一度は弱音を吐いたが、この試合を機に基本に立ち返りフォームを見直すなど、夢の甲子園出場に向けて一から気持ちを切り替えた。
しかし迎えた3年次夏の準決勝。チームは2点を先制したが、その後久野が連打で6点を奪われ敗戦。「自分がやってきたのはこの程度だったのか」。またも悔し涙を流した。夢はかなわず、心残りのあるまま久野の高校野球は幕を閉じることに。そしてその後は大学でレベルアップをしてからプロに行くことを決意。高校時代に何度も挫折し味わった悔しさをバネに大学で飛躍することを誓った。
負けない投手へ
大学での見せ場は早くに訪れた。全日本選手権の2回戦。先発・蒔田稔投手(商3=九州学院)がアクシデントで降板。2死満塁のピンチで後を任されたのは久野だった。「気後れせずに自分の投球をしようと思いマウンドに上がった」。緊迫した場面だったが、動じることはなかった。そして打者を遊ゴロに打ち取ると、笑顔で大きくこぶしを握った。デビュー戦とは思えない堂々とした投球だったが「その後に失点をしてしまったのが悔しい」。自身の理想の投球とはいかなかった。結果に満足せず反省をするひたむきな姿勢で、これからも成長を続ける。
「チームが負けない雰囲気を作れる投手になりたい」。大学でも理想のエース像を追求し、その後はプロで活躍するために。久野の夢への挑戦はまだ始まったばかりだ。
[佐藤あい]
◆久野悠斗(ひさの・ゆうと)商1、報徳学園、186センチ、90キロ、左投げ左打ち、投手。
高校時代、体を柔らかくするために相撲部の練習に参加。四股を踏んだ。
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