
(75)瀨千皓 さらなる成長を遂げ、明大の絶対的主砲へ

力強いスイングから放たれる打球に多くの期待が集まる。瀨千皓外野手(営1=天理)はリーグ戦初打席で本塁打を放ち、神宮を大いに沸かせた。持ち前の勝負強い打撃で、勝利を呼び込むアーチを描く。
見せつけた実力
小学2年次、友人に誘われて始めた野球。小さな頃から甲子園への強い憧れがあった。「生まれ育った奈良県で甲子園を目指したい」。その思いを胸に地元の天理高へ進学。すると1年次からその非凡な打撃センスが開花する。1年次秋の近畿大会決勝で本塁打を放ち優勝に貢献。その後の明治神宮大会では髙橋宏斗投手(中日)から本塁打を放つなどチームの主軸として大活躍を見せた。
追い続けた憧れ
近畿大会での優勝によりチームも選抜高等学校大会(以下、センバツ)への出場が決まる。しかしコロナの影響で部の活動が停止。寮にこもる日々が続いた。そして告げられたセンバツ中止。憧れ続けた夢は途絶え「野球を辞めたいと思った」。幼い頃から甲子園だけを夢見て続けてきた野球。「何を目指してきたのだろう」。目標を失い途方に暮れていた瀨を救ったのは当時の主将だった。「お前たちの代は絶対甲子園あるから。練習しよう」。そう声を掛けてくれた。前を向く先輩たちの姿を見て、また夢を追い掛け始めた。
その後もコロナ禍の中、ひたむきに野球と向き合い続け、3年次、もう一度センバツへの切符を手にする。「野球をやってきて良かった」。夢がかなった瞬間だった。準々決勝ではエースの達孝太投手(日本ハム)が不調に。それでも「投手がダメなときは野手が助ける」。その思いが一つとなり打線が奮起。チームはベスト4入りを果たした。瀨にとって「夢を持ってしっかり取り組むことの大切さを教えてくれた」場所、それが甲子園だった。
踏み出した一歩
瀨は今春、1年生ながら神宮の舞台で躍動。リーグ優勝も経験した。大学での目標は首位打者とベストナインの獲得。そして「チームを勝たせる打者になりたい」。新たな夢に向かって、瀨はひたすら突き進む。
[久和野寛人]
◆瀨 千皓 (せ・ちひろ)営1、天理、180センチ、84キロ、右投げ右打ち、外野手
学部は全く希望しなかった経営学部に決まり困惑。それでも案外、単位は取りやすく安心した。
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